不安障害に関する症状や原因、治療法などについて、その当事者や家族、また不安障害を知らない人に向けての正しい理解を目指した特化サイトです。

不安障害ラボ

不安障害に関する症状や原因、治療法などについて、その当事者や家族、また不安障害を知らない人に向けての正しい理解を目指した特化サイトです。
>>当サイトの詳しい説明はコチラ

  1. TOP
  2. 人の特性
  3. あがり症は病気なのか!?人前であがってしまうメカニズムを詳しく

あがり症は病気なのか!?人前であがってしまうメカニズムを詳しく

このページをご覧になっているということは、現在、あがり症で困っているか、あるいはあがり症を克服しようと何か良い策を探しているか、そういった人たちなのではないかと思います。

そもそも「あがる」という現象は、人前で何か発表しなければいけない時や自分に注目が集まる時に湧き起こるひとつの生理現象と捉えることができます。

また一説には日本人の9割の方が「人前で何かを話す」ことに苦手意識を持っていると言われており、程度の差はあれ、大半の人が”あがる”ということを経験していると思います。

タイトルにある、あがり症は病気なのかということですが、私個人の見解では、あがり症を病気とするよりも、あがりやすい気質を持っていて、人前で話すことを考えた時に条件反射のようにあがってしまう癖があがり症であると捉えたほうがいいのではないかと思っています。

しかしながら、あがり症を軽視することはできないと思います。あがり症の背景には対人関係がもととなって不安を感じていますので、これが慢性化し重症化することで生活に支障をきたしてしまうのであれば何かしらの対処は必要となってきます。

あがり症に似たもので、人前で何かを発表したり披露したりすることに対して著しい不安や恐怖を感じ生活の質を低下させてしまう社交不安障害という心の病がありますが、この社交不安障害の前段階としてあがり症の存在を指摘する専門医もいらっしゃいます。

大半の日本人が緊張から「あがる」ことを経験し、あがり症という癖を身につけてしまいます。

ではどうして人前であがってしまうのか、あがってしまうメカニズムやあがり症の改善策、そして社交不安障害へと発展させないための予防法について見ていきましょう。

人前であがってしまうメカニズム

あがり症で悩む人の多くは、あがり症は自分の性格であり精神的な弱さに原因があると思うのではないでしょうか。

確かに日本人は欧米の人と比べれば不安を感じやすい遺伝子を持っており、また文化的な背景からあがりやすさを育んできたと言える部分があります。

しかし「あがる」という現象は人間が生まれ持った本能的なものなので、この部分を完全に無くすというのは難しいです。

歌手や歌舞伎役者などの大舞台でパフォーマンスすることが仕事の彼らであっても、やはり緊張してあがってしまい、歌詞を途中で間違えてしまったり、台詞が出てこなかったりすることもあります。

また元知事の方が、天皇・皇后主催の園遊会で今まで感じたことがないくらいに緊張してあがってしまい、スムーズに受け答えが出来なかった経験を話していたことがありました。

つまり人間であれば、大なり小なり「あがる」というのは致し方がないことなのです。

ではどうして人はあがるのでしょうか。

あがりは本能的なものなので、脳における警戒機能と強い結びつきがあります。

例えば、初対面の人と会って話す時、初めて経験する場所やシチュエーションでスピーチをしなければいけない時、それは自分自身にとって何もかも初めての経験なので、脳内では警戒モードに突入します。

脳内が警戒モードになることで交感神経が優位になり心臓のドキドキが速くなり、発汗も増え、声が震えたりします。このような身体症状はあがっている人に見られる特徴でもあります。

さらに人間は自分の身を守るために学習する生き物です。過去にあった嫌な出来事に遭遇した時には、反射的にその時に感じた不快な感情が湧き起こり、その感情に同調するかのように脳内では警戒モードに切り替わります。

つまり「あがる」とは警戒モードに突入した証であり、生まれ持った本能的な合図なのです。

そして人によっては「あがる」ことが当たり前のような癖になってしまうと、以前経験した同じような場面やシチュエーションであっても、話す相手が同じ場合であっても条件反射のようにあがってしまいます。この段階になってしまうとあがり症であると言えます。

間違ったあがり症の改善策

あがり症は学習によって誤って身につけてしまった癖なので、訓練次第ではその癖を改善することが可能です。

しかし逆に間違ったやり方で訓練してしまうと一向に改善するどころか、かえってあがり症を深刻化させてしまいます。

では間違った改善策とはどういう方法なのでしょうか。

場数を踏む

私たちの周りの環境は絶えず変化しています。そのため同じ条件を持っている場が常に存在しているというのはほとんど不可能な話であり、どんな場であっても初めてのもので性質も各々で異なっています。

「習うより慣れろ」という言葉がありますが、全ての場が異なった性質を持っていることを前提とするならば、多くの場を経験したところであがり症が改善されるかというとそうではなく、むしろ強化されてしまい、あがり症を重症化させてしまいます。

そのため場数を踏むことに焦点を置くよりも、たとえ場が変わっても不安をコントロールするため技術であったり、話し方に関する基本的な型を身につけていくことで、頭の中が真っ白になってパニックに陥りにくくなることが期待できます。

聞き手を人と思わないようにするイメージトレーニング

緊張しないように、聞き手をかぼちゃやジャガイモと思いこむようなイメージトレーニングをした経験がある人も多いのではないでしょうか。このイメージトレーニングは自分に注がれる他者の視線を排除しようとする狙いがあります。

しかし大勢であろうが少数であろうが、人前で何かを話すという行為は自分の意見を相手に伝えるコミュニケーションの一つです。聞き手である人を自分の視線から排除したところで、はたして自分の意見が相手に伝わっているのでしょうか。

もしかしたら聞き手を置き去りにするあまり、自分の伝えたいことが相手に伝わらなかったり、誤って伝わってしまったりすることがあるかもしれません。

緊張しないために聞き手を無視するよりも、緊張してもいいから聞き手を大切にした方がいいのではないでしょうか。また緊張するということは真剣にその場に挑んでいることの裏返しだと思います。

話の流れで予期せぬアクシデントがあるかもしれません。しかしそれもまた自分のスピーチのうちの一つです。もしかしたらそのアクシデントが一つの話題になる可能性だってあります。

聞き手を野菜などに見立てるようなイメージトレーニングはあまり得策ではないでしょう。

準備を完璧にする

話す内容を何日もかけて丸暗記したり、入念な予行練習で段取りを完璧にしたり、人は不安な時ほど完璧な準備を心がけます。

しかしコミュニケーションというのは生ものであり、必ずしも準備した通りに物事が進むわけではありません。

むしろ完璧に暗記するまで準備すると、「本番では絶対に間違えてはいけない」、「段取りした通りに完璧にやり遂げなければいけない」という誤った認識を持ちやすくなってしまいます。そしていざ本番で、たった一言言い間違いをしたり、ワンフレーズが出てこなくてつまづいたりすることで、焦ってミスが続きやすくなってしまいます。

場合によっては、その後の話す内容全てが飛んでしまう危険性もあり、何を言いたかったのか分からないスピーチに終わってしまいます。

大事な会議や面接といったものでは最低限の事前準備は必要になりますが、本番では事前に準備した通りに話す必要はなく、アドリブで言いたいことを付け加えてもいいですし、多少なりとも言い回しが変わっても問題はないのです。

重要なのは相手に伝えたいことを伝えるということなので、完璧にしようと意識しすぎるのではなく、ありのままの自分で表現することが求められると思います。

あがり症と社交不安障害の違い

あがり症と似たものに社交不安障害がありますが、注意してほしいのがあがり症=社交不安障害ということではありません。

現に当事者側の大方の意見として、あがり症と社交不安障害はイコールではないことが示されています。

ここではあがり症と社交不安障害の違いについて見ていきたいと思います。

細かく見ていけば、あがり症と社交不安障害との違いはいくつかありますが、その中でも大きく違う部分を挙げるとするなら、当事者サイドの私個人の見解ではありますが、発症する前と後では行動スタイルが様変わりするということにつきると思います。

そもそも社交不安障害当事者の中には、もともと人前で何かをすることが好きで活発に行動していた人が多く、社交不安障害になってしまったがゆえに、人が群がる場所であったり、人と接する場面であったり、多少なりとも人から注目を浴びるような場所を自ずと避けるようになります。

当事者もまた、本当はそういう場所に行きたいという欲求がありながらも、身体的症状が表れたり、予期不安が強かったりして断念してしまい悪循環に陥ってしまっています。

もちろん社交不安障害の症状にも程度がありますが、症状が酷い人だと家から一歩も出られなくなりひきこもりになっているケースもあります。いくらあがり症だからといっても日常生活を送ることはできていると思いますし、他者からの視線が気になるせいで家にひきこもるというのは考えにくいと思います。

ただ、あがり症と社交不安障害は完全に別物かというとそうではなく、部分的ですが似ているところもあります。『DSM-5』によれば、社交不安障害の中には、前時代の残りとしてパフォーマンス限局型が存在しています。

このパフォーマンス限局型というのは、公衆の前で話をしたり何か動作をしたりすることに対して恐怖を感じてしまうというものです。しばしば聞かれるスピーチ恐怖やパフォーマンス恐怖というのは、パフォーマンス限局型に該当する社交不安障害ということになります。

そのため社交不安障害の中にはあがり症と重なる恐怖対象を持つものもあり、完全にあがり症と社交不安障害を分けることはできませんが、ただ社交不安障害の方が日常生活に与える影響が強く、病態としても深刻なものがありますので、あがり症と社交不安障害をイコールで結ぶことはできないことが分かるのではないでしょうか。

あがり症から社交不安障害にならないための予防策

冒頭にも社交不安障害の前段階としてあがり症の存在があることを話しましたが、では、あがり症から社交不安障害にならないためにはどうしたらいいのでしょうか。

社交不安障害は、生まれ持った気質的なもの、育ってきた環境的なもの、そしてこれまで生きてきて身についた経験的なものが作用し合って発症しているという見方が有力です。

そのため、日常的に身体が不安を感じやすい状態になっていればお薬を処方して不安に対する過敏性を緩和しようとしますし、環境的・経験的なものが大きく影響してモノの見方にズレや歪みがあれば、心理療法を用いてその見方を修正しようとします。

社交不安障害の特徴は社会参加に影響を及ぼすほどの回避行動と日常生活に支障をきたす予期不安なので、あがり症の人がこの段階にならないように予防策を講じなければいけません。

これまであがり症は癖であることを説明してきました。故にこの癖を改善できれば、あがり症が重症化し慢性化することはありません。そして社交不安障害へと発展することもないでしょう。

では具体的に癖を改善していく方法を見ていきましょう。癖を改善するためにはまず理性を働かせる必要があります。

あがり症になっている人の多くは自分に対して自信がありません。だからこそ自分のしぐさや言葉遣い、発言する内容に対して不安を感じやすい状況を自ずと作ってしまいます。不安を感じやすい状況というのは、言うなれば脳内における警戒モードが発動しやすい状況ということです。

つまり理性をもって、意識的に自分に対して良いイメージを構築することができれば、警戒モードは発動しにくくなります。

ただ「自信なんてそう簡単につくわけがない」、「今まで自信を感じたことがない」という声もあると思います。

実は、自分のダメなところに意識が向いてしまうというのは、もともとの脳の機能として備わっているものであり、むしろこういった声が上がるのは自然なことです。そのためネガティブな思考に抗うためには意識的な行動がどうしても必要不可欠になります。

例えば、自信を感じるために今からでもすぐにできる行動としては、自分のよいところを書き出してみたり、寝る前に今日一日の中で自分の良かったところ、褒めてあげたいところを自分に言い聞かせたりするなどがあります。

自分のよいところに着目する習慣ができれば、それが結果的には自分に対する自信に繋がり、緊張してあがることはあっても反射的にその時に感じた不快な感情に支配されにくくなります。

歯列矯正を経験したことがある人もいるかもしれませんが、一度形成された歯並びを治すには長い月日を要します。それと同様で、あがり症という癖を治すにも長い月日を要することでしょう。しかし癖というのは絶対に治らないというものではありません。

癖を治すためにも、まずは自分自身が自信を感じられるように理性を働かせて、意識的に自信を感じる行動を心掛けていきたいですね。

「あがる」という現象は人間が生まれ持った本能的なものなので、あがるということを感じたことがあれば脳が正常に働いている証でもあります。

しかしその一方で「あがる」という現象があるがゆえに社会生活を営む上で苦しんでしまうのも事実です。

自尊心を守るために人前で恥をかきたくない、社会的な成功を望むためにプレゼンを失敗したくない、他者から高い評価を得るために素晴らしいスピーチでなければいけないなど、このような願望を邪魔するかのごとく、人はあがってしまうものです。

さらに皮肉なことに、あがらないようにあがりを抑えようと思えば思うほど、人はあがりやすくなってしまいます。そしてあがり症という厄介な癖を身につけてしまいます。

そしてあがり症が重症化してしまえば当然回避行動が表れやすくなり、ひいては社交不安障害へと繋がってしまいます。

ただあがり症は学習によって誤って身につけてしまった癖であり不治の病ではないので、あがってしまうメカニズムを理解することであがり症を改善することは十分可能です。

また改善するやり方は今日からでもできるものです。少しずつでもいいので行動に移していきたいものです。

アーカイブ

月別一覧
年別一覧

profile

管理人:ミヤシタソウジ

プロフィールの詳細はコチラ

当サイトの説明はコチラ

Twitter:@soji_miyashita

当サイトに関すること、その他個別の問い合わせがありましたらメールにてお願いします。

Gmail:soji.miyashita★gmail.com
(迷惑メール防止のため、送る際は★を@に変えてください)

PAGE TOP