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回避性パーソナリティ障害とはどんな病気!?

私たちにはパーソナリティ(人格)と呼ばれるその人自身を表す特徴を持っています。

性格とも呼ばれることもありますが、パーソナリティ(人格)はもう少し広い意味で用いられ、例えば言葉づかい、振る舞い、モノの見方、感情表現の仕方、他者との関わり方などがそうであり、パーソナリティがあることで私たちは一人ひとり違う存在であることが確認できます。

またパーソナリティというのは同じ両親から生まれてきた子どもたちであっても、モノの考え方や行動の仕方が違うことから、まさにパーソナリティというのはその人の人柄であり、その人らしさでもあるでしょう。

そのため本来であれば無理に変える必要性はありません。

しかし場合によっては、各々が持つパーソナリティが極端に偏ってしまい、それが原因で社会の中で生きていくには邪魔になってしまうケースがあります。それがパーソナリティ障害というものです。

パーソナリティ障害はいくつも種類がありますが、今回は回避性パーソナリティ障害に焦点を当てたいと思います。

回避性パーソナリティ障害とは何か

回避性パーソナリティ障害とは、他者からの否定的な評価に対して極端に傷つきやすく、そのため何か新しいことに挑戦するのをためらったり、新しい人間関係を築くのに抵抗があったりするのが特徴です。

回避性パーソナリティ障害については専門家の間でも色々な見解があって、パーソナリティ障害群のひとつとして考えられるものの、症状自体は重度の社交不安障害と重なる点も多く、「両者の間に明確な差異は無いのでは」と考える研究者もいます。

また同じパーソナリティ障害群に属する自己愛性パーソナリティ障害のサブタイプである過敏型が「他者から注目されることを避ける」、「抑制的で自分自身の存在を消したいと感じる」、「容易に他者から傷つけられたという感情を持つ」といった特徴を持ち、回避性パーソナリティ障害と似通っている部分もあります。

回避性パーソナリティ障害は社交不安障害や自己愛性パーソナリティ障害と重なる点もあり、精神医学的にどのような位置づけがされているのか分かりづらいところもありますが、回避性パーソナリティ障害について『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』を見ると以下のような基準を持って診断されます。

  • 社会的抑制,不全感,および否定的評価に対する過敏性の広範な様式で,成人期早期までに始まり,種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される
      • 批判,非難,または拒絶に対する恐怖のために,重要な対人接触のある職業的活動を避ける
      • 好かれていると確信できなければ,人と関係をもちたがらない
      • 恥をかかされる,または嘲笑されることを恐れるために,親密な関係の中でも遠慮を示す
      • 社会的な状況では,批判される,または拒絶されることに心がとらわれている
      • 不全感のために,新しい対人関係状況で抑制が起こる
      • 自分は社会的に不適切である,人間として長所がない,または他の人より劣っていると思っている
      • 恥ずかしいことになるかもしれないという理由で,個人的な危険をおかすこと,または何か新しい活動にとりかかることに,異常なほど引っ込み思案である

    -American Psychiatric Association(高橋三郎、大野裕、染矢俊幸ほか訳)『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』医学書院より引用-

    アメリカの精神科医であるKernbergは、パーソナリティ障害の全体概念を「神経症性」、「境界性」、「精神病性」に分けて考えられるとし、そのうち回避性パーソナリティ障害は「神経症性」に当てはまるとされています。

    つまり症状としても神経症に似た症状を呈すると言えるでしょう。

    回避性パーソナリティ障害はその特徴から、人との交流を避けてしまう傾向にあるため、周囲から「人嫌い」と思われてしまいますが、本人の中では人との触れ合いを好意的に捉えている面があります。

    しかしそうは言いつつも、自分に対する自信のなさが根底にあり、人に対する不信や不安の方が勝ってしまうので、結果的に回避行動が表面化してしまうのです。ケースバイケースではありますが、ひきこもり状態に陥っている人の中には回避性パーソナリティ障害の診断基準を満たしている方もいらっしゃいます。

    回避性パーソナリティ障害の主な原因

    全てのパーソナリティ障害に共通することですが、パーソナリティというのはその人自身を表す特徴でもあるので、生まれ持った気質と生まれ育った環境が何よりも重要です。そしてその二つの要因にこれまで生きてきた中で経験した出来事が相互に組み合わさって、パーソナリティに偏りが生じているのです。

    とりわけ回避性パーソナリティ障害に見られる要因としては、当事者と養育者の関係性、いじめをはじめとした本人にとって逃げ場のない体験、この二つの因子が主な原因となって回避性パーソナリティ障害を生みだしていると言えます。

    具体的に見ていくと、親が何かしらの理由で本人に対して褒めることもなく否定的な態度を取るような家庭環境だと、いつまでも自己肯定感を構築することができず、何をやるにしても消極的な行動をするようになってしまいます。

    また自己肯定感が乏しいことで自信も無くなってしまい、「どうせ自分なんて嫌われている存在なんだ」という思い込みが強くなり、他者との接触を拒むような行動を取ってしまいます。

    そしていじめによる心をえぐるような忌わしい体験も回避行動に繋がってくるので見過ごすことはできません。

    小・中・高校生の頃に同級生や担任から傷つけられ、周りの誰ひとりとして助けてくれないような境遇、いじめの原因を自分の性格によるものと指摘された経験があると、本人は人との関わりに対して著しい不安や恐怖を感じてしまいます。

    もちろん学校のいじめだけではなく家庭内暴力も同様で、自分が安らげる空間がない、自分の居場所を感じられない状況に陥ってしまうと回避行動が強化されてしまい、あらゆる活動に対して回避的な姿勢になってしまいます。

    回避性パーソナリティ障害を持つ人への接し方

    回避性パーソナリティ障害の人は親からの義務的な行動を強いられてきた経験が多いので、今さら義務を説いても糠に釘で、むしろ逆効果になってしまう可能性があります。

    冒頭で、回避性パーソナリティ障害と重度の社交不安障害には差異がないことを指摘する研究者もいると述べましたが、行動的な視点から見れば、確かに社交不安障害も回避性パーソナリティ障害も「回避行動」という部分で共通しています。ただ回避性パーソナリティ障害の方が、回避行動自体が様式化されてしまっている状態なので、その行動自体に正当性が見てとれます。

    社交不安障害の場合では回避行動は見られるものの、その回避行動自体に強い罪悪感や自責の念が先立つ傾向にあります。本当は回避したくないけれど身体症状が著しいために結果的に回避行動に繋がっていき、さらなる不安感情を引き起こし悪循環に陥っているケースが多いです。

    話を回避性パーソナリティ障害に戻して、回避行動に対して周囲が指摘したところで本人にとってみれば当たり前の行動であり、声が届きづらいのが現状です。

    しかし行動様式が慢性化してしまうとひきこもり状態に陥ってしまい人生の質を著しく低下させる恐れがあります。慢性化しないように対応が求められるのは明らかです。

    では周囲はどのような対応をとっていったらいいのでしょうか。

    回避性パーソナリティ障害の人は何も相対的に能力が劣っているというわけではありません。周囲の期待に応えようと努力を続けた結果、その副作用として自分の居場所を失ってしまい、対人関係を避けている状態なのです。本当は素晴らしい力を持っています。

    しかし残念なことに力を発揮できる場所もなければ、失敗を恐れ自らの能力を見せる機会もないために、自分に対する自信を獲得することができません。

    そのため周囲としては、できる限り本人の主体性を尊重させるような接し方が求められます。何をするにしてもそうですが、自分の希望で主体的に取り組んだ場合と周りから強制的にやらされて取り組んだ場合とでは、達成感、充実度、自己評価などに大きな違いが生まれます。それは苦痛や心的疲労においても同様で、いやいや取り組んだ方が疲れやすく、より苦痛に感じてしまいます。

    いかに回避行動に繋がらないようにするかが重要なので、周囲があれこれ言うのではなくあくまでも本人の主体性を最優先にして接していかなければいけません。

    また接する際には否定的な言葉は使わずに、本人を肯定するような声かけが求められます。ただし本人との距離感は重要で、可哀想だからと守りすぎてしまうと回避行動が長引いてしまうので過剰すぎる接し方は避けなければいけません。

    さらに本人が何かに挑戦しようとする際には必ず逃げ道を用意しておく必要があります。回避性パーソナリティ障害の人は過剰なほど失敗に対する恐怖心が強く、「失敗したら全てが終わってしまうのではないか」と心の中で思っていることが往々にしてあります。

    失敗しても他の道があることを周囲が教えてあげることで、本人の中で気持ちの余裕が生まれ、変化が起こりやすくなります。

    人に対する不信感や拒否感が表面化しているので一筋縄ではいかないと思いますが、根気よく接し続けることで以前とは違った反応が返ってくるでしょう。

    回避性パーソナリティ障害を克服する方法

    回避性パーソナリティ障害の人は他者からの否定的な評価に対して極端に傷つきやすく、そのため何か新しいことに挑戦するのをためらってしまいます。

    しかし現状を変えるためには少なからず行動しなければいけません。またいつまでも行動しなければ人間が持っている能力を弱体化させてしまい、あらゆることに対する抵抗力を失わせてしまいます。

    そのため回避性パーソナリティ障害を克服するためにはどうしても行動が必要になってきます。

    ただし回避行動が様式化してしまっているため、すぐに行動するのは容易なことではありません。本人の気力も必要ですし、適切な動機付けも不可欠です。

    だからこそ周囲のサポートの有無は回避性パーソナリティ障害の克服を大きく左右し、接し方を見誤ればどんどん悪化してしまいます。

    周囲のサポートは家族が中心になることが多いですが、回避性パーソナリティ障害を招いた原因として家族関係が深く関与していることから、場合によっては家族のサポートが逆効果になってしまう可能性があります。本人がどういった経緯でなったのかを把握することが求められるでしょう。

    また行動を阻む要因に本人の著しい恐怖や不安感情があるのであれば、医療機関を受診してお薬を処方してもらい、服用しながら行動に移していくという選択肢もあります。

    克服の方法はひとつではありません。本人の訴えや生活環境に応じて臨機応変に対応を変えていくことが良い結果を生むと言えます。

    回避性パーソナリティ障害は、対人関係において敏感で傷つきやすく、特に否定的な言葉や拒絶するような態度に過剰に反応し回避行動を取ってしまうのが特徴です。

    また、回避性パーソナリティ障害が原因で本当は能力や才能があるにも関わらず、対人接触や交渉ごとを求められるのが苦痛で仕事が出来なかったり、本当は人と親密な関係になりたいけれど、相手の一言一言に過剰に反応してしまい傷つくことを恐れて関係を持つことを諦めたりするケースが往々にしてあります。

    さらに心をえぐるようなトラウマ体験から、「人から笑われるのではないか」、「恥をかくのではないか」という思いが生まれ対人関係を避けてしまうきっかけになる一方で、「他の人と仲良くなりたい」、「親密な間柄になりたい」という気持ちもあり、両者の相反する考え方が交錯している状態というのも回避性パーソナリティ障害の深刻さを物語っているのではないでしょうか。

    人と関わることに辛さを覚えてしまうと、それこそ生きることをやめてしまう人も出てきてしまいます。しかし人と関わることにほんの少しでも喜びや楽しさを感じられるようになると、それは生きる糧に繋がっていきます。

    回避性パーソナリティ障害の人は自分ひとりで事を解決しようとするあまり悪循環から抜け出せないケースも多いので、少しずつ理解してくれる人を増やし、今置かれている状況に変化を起こしていくことを目標にできたらと思います。

    また多くの人が回避性パーソナリティ障害というものの存在を知ることで、当事者の克服に繋がっていくと言えるでしょう。

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