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曝露療法とは!?手順、効果、特徴について

心理療法にはいろいろな種類があります。認知行動療法や森田療法はその中でも有名な心理療法なので一度は聞いたことがある人も多いのではないかと思います。

その中でも認知行動療法は不安障害に対して一定の効果をあげていますが、その認知行動療法の治療プログラムの一環となっている曝露療法(エクスポージャー法)というものについて、今回見ていきたいと思います。

曝露療法に関しては認知行動療法の括りとして扱われることもありますが、曝露療法を単独で行うこともありますので、ここでは一つの心理療法として具体的にどういう手順で行われ、どのような特徴を持っているのか見ていきます。

曝露療法とはどんな療法か

不安障害を持つ人は不安を目の前にした時、その不安に対して逃げるか戦うかの選択に迫られます。この選択は不安障害を抱えた人以外でも当てはまるもので、人間の本能的な部分と言ってもいいでしょう。

そしてたいていの人は、当然のようにそういった状況から逃れたり避けたりする気持ちに駆られてしまいます。

ただ不安障害の場合は、一般的に考えて不安を感じる必要がないことに対しても不安を感じてしまうので、日常生活において様々なことが不安対象となってしまい、強い生きづらさを感じているのです。

例えば、社交不安障害であれば人と接するような場面、広場恐怖症なら多くの人が集まるような場面、全般性不安障害なら自分の身体から日常生活のことに対して不安を感じてしまいます。

不安を感じる程度は人それぞれではあるものの、不安障害の人が感じる不安は客観的に見ても度を超えており、結果的に回避行動に繋がっていきます。

回避行動が続くことで不安を感じることから避けてしまい、不安障害を改善する機会を持てずに自分の人生が台無しになってしまうような喪失感を覚えてしまうことも多く、また症状を維持させてしまう要因でもあります。

望まない回避行動から脱却するためにも、敢えて不安を感じる状況に身を置くというのが必要になり、その手助けとなる方法が曝露療法なのです。

曝露療法について細かく見ていけば、小さな不安から徐々に大きな不安へと段階的に不安を感じる状況を作り上げて不安に対する免疫力をつけていく段階的曝露、不安に対する曝露は一度だけでは効果が期待できずに、何度も同じ状況を繰り返す反復曝露、この2つのタイプの曝露をベースとして行っていきます。

曝露療法のやり方

曝露療法をするためには、最初に不安階層表を作成します。

不安階層表を作る目的は、不安に対する過敏性を徐々に減らしていくために、不安対象となるものにどの程度の不安を感じるかを客観視する必要があるからです。

不安階層表を作成する際にはSUD尺度を用いるのが一般的です。

SUDとはSubjective Units of Distress(不快さの主観的な単位)の略で、当事者が体験した感情の強さと不快さを見積もる方法のひとつです。0~100までの数字で表し、大きい数字ほど不快さが強いことを表します。

では具体的に不安階層表をどう作るのか見ていきたいと思います。

ここでは私自身が実際に取り組んだ事例を参考に、ひとつの例として最終目標として外食できるようになることを掲げて作っています。

目標を設定する時には以下の点に気をつけると効果的です。

  • 目標に向かって取り組んでいる時に一緒に取り組める人はいるか
  • 個々の目標は具体的であること
  • 課題をいつ実行するのか
  • 課題をどこで実行するのか
  • 課題をどれくらいの時間的長さで取り組むのか

では実際に不安階層表を書いてみるとこのようになります。もちろん一例ですので、いろいろな書き方があるでしょう。

課題 SUD
初対面の人と一緒に注文した料理を食べる 100
職場の人と一緒に注文した料理を食べる 95
ひとりで注文した料理を食べる 90
友達と一緒に注文した料理を食べる 75
カフェなどで飲み物だけを注文して飲む 60
自宅で友人と一緒に料理を食べる 50
自宅で親戚と一緒に料理を食べる 40

段階の数は、課題の難しさの程度にもよるので、自分自身の課題に応じて変えていくのがベストです。また自分ひとりで作成できない場合はカウンセラーや支援者と一緒に作るのもいいと思います。

曝露療法で大切なのは、実際に不安を感じる場面に直面することです。

不安や恐怖という感情は長く続くものではなく、生理学的には20分ほどで落ち着いてきます。身体のメカニズムの知見が曝露療法を下支えし、不安を感じてもその場にとどまり敢えて不安を感じる状況に身を置くことで効果が発揮されます。

しかし場合によっては、現実生活の中で曝露療法を取り組むのが難しいケースもあります。いきなり不安場面にさらしてしまうと不安や恐怖を増大させ、ますます回避行動を助長させてしまう可能性があるからです。

その際には系統的脱感作法という選択肢が有効になるかもしれません。系統的脱感作法はやり方自体は曝露療法に似ていますが、系統的脱感作法では課題に対して想像上で実践することができ、不安場面での曝露が難しい場合は、想像上の脱感作から現実での実践という流れが期待できますので幾分ハードルを下げることができると思います。

いずれの場合であっても正しい知識、対応力を持った専門家のサポートが必要となりますので、臨床心理士や認定行動療法士などを頼ることをお勧めいたします。

曝露療法のメリット

曝露療法のメリットは何と言っても自分に自信が持てることです。

例えば社会不安障害を持つ人は否定的な評価に対して過度に敏感になりすぎてしまう面があります。この背景には、自分に自信がないから他者の評価に依存してしまうことが一つの要因として考えられます。

もちろん誰しもが他者からの評価に対して気になる部分があるかもしれません。しかし自信がある人はたとえ周りから批判的な評価を受けたとしても、その評価に左右されることなく主体的に人生を歩むことができるので、生きづらさを感じることなく、また何かに縛られるような感覚を覚えることもないのです。

結果的には自分に自信が持てるようになることで行動にも表れ、今まで回避していたことで狭まっていた行動範囲が広がり、様々なチャンスのきっかけにもなるのです。

その他のメリットとしては、お薬を使った時よりも症状をぶり返しにくいということです。

お薬を服用することで一時的に不安を軽減することは出来ますが、自分の判断で薬の服用をやめてしまったり、体質的に合わない薬を飲み続けたりすると、かえって逆効果になってしまうことがあります。

その反面、曝露療法は根本的な部分から不安障害を治療していくので、改善の兆しが見えてくると以前ならパニック発作を起こしたり、身体症状を見せていた状況に対して、治療後に同じような状況に直面した際に、不安に対するコントロール能力を身につけているので、同様の症状が表れにくくなります。

不安障害というのは症状のバリエーションが多岐に渡ります。現状、不安障害に対する効果的な治療法としては、お薬の服用と認知行動療法を併用する形が最も効果が期待できると研究からも示唆されていますので、お薬を服用するという選択肢は完全に排除することはできないものの、症状の程度次第では、曝露療法だけでも十分に価値はあるでしょう。

曝露療法の問題点

曝露療法にもデメリットがあります。

曝露療法のデメリットは何と言っても、その効果が得られるまでに時間がかかるということです。

現に私自身も曝露療法を実践した経験がありますが、最初の頃は全くと言っていいほど効果を感じられず、ある程度の期間を要してから徐々に効果を感じるようになりました。

なぜ効果を感じられなかったかというと、曝露する時間が短いことが原因にありました。

正直、曝露療法は敢えて不安に直面する必要があるので酷な部分もあります。自分の意識ではどうしようもなくパニック発作や身体症状が起こり、直ぐにでも回避したい気持ちに駆られます。

しかし曝露療法は最低でも20分ほどその不安に直面しなければいけませんから、不安感が軽減する前に曝露療法を終えてしまうと、身体はその不安を覚えており、軽減するどころか強化されてしまうのです。そして次回以降は容易に反応が起こってしまうようになります。

人間という生き物は不安に支配されてしまうと、その状況から早く抜け出したいという思いが焦りを生んで、ますます悪い状況に陥ってしまうケースが多々あります。

曝露療法においても同様で、早く終えたいと思って不安感が下がる前にやめてしまうと嫌な記憶が定着してしまい、治療の継続が困難になってしまいます。

回避行動を取ってきた時間が長ければ長いほど不安に対する免疫が不十分であることは明白なので、短期間で効果を得られるのは難しく、即効性を求めるのであれば曝露療法は不向きと言わざるを得ません。

また曝露療法をいきなりやるというのはオススメできません。何故かというと場合によっては回避行動を助長することになり兼ねないからです。

突然不安を感じるような場面に直面してしまうと、その人自身の中で不安に対する反応が過剰になってしまい、それ以上の状況で感じる不安に対しては、ますますパニックや身体症状を引き起こしやすくなります。

まさにアレルギーのように、その不安が本来であれば当事者自身にとって脅威となるようなものではないものであっても脅威と感じてしまい、結果的に回避行動に繋がり自信を築き上げる機会を失ってしまうのです。

人間は本能的に不安を生じさせるような状況を回避する能力を持っています。例えば、目の前の道に大きなヒビ割れがあったら、たいていの人はその道を通らず別の道を探すでしょう。もちろんそれが自然的な判断だと思います。

しかしながら時として何かを回避することがその不安をより強めてしまい、程度によっては不安が強すぎるあまり当たり前の生活を送れないこともあります。

そのような場合、不安を克服する手段の一つとして、不安を感じているものに対してあえて自分の身を置き、段階的かつ反復的にその状況に直面して自信を形成していく曝露療法が効果的な役割を果たすかもしれません。

また曝露療法を行うことにより、取り組む以前よりも自分のことに対して客観視することができます。さらに今まで生じていた認知的な思考の歪みに関しても、曝露療法を用いることで検証することが可能です。

曝露療法は認知行動療法における行動療法の領域を担っているので、認知行動療法に取り組むということは曝露療法にも取り組むことになるでしょう。

自分自身の不安を克服できるのは自分しかいません。本気で向き合ってこそ、曝露療法の持つ有用性を最大限に発揮できるのではないでしょうか。

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