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不安障害は遺伝するのか!?7つのパーソナリティ因子から不安障害を考えてみる

社交不安障害やパニック障害、強迫性障害などの不安障害の原因については未だ断定できるものは見つかっていません。

色々な要素が絡み合って発症しているというのが、現在の段階で多くの専門家や研究者の方が唱えている見解です。

とは言うものの、それらの要素の中で生まれつきの気質として不安に陥りやすい、不安に対する感受性が高い人というのは不安障害を発症しやすい傾向にあることは知られています。

このことはパーソナリティ(人格)というものが不安障害と密接に関わってくることを意味し、気質というものは遺伝的な要素を大いに含んでいるので、不安障害というものに「遺伝的な要素が関係してくるのではないか」という見方が生まれてくると言えます。

そこで今回は不安障害と遺伝の関係について、よく知られているCloningerが唱えた7つのパーソナリティ因子に着目しながら考えていこうと思います。

7つのパーソナリティ因子とは

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アメリカの精神医学者であるCloningerが、人間のパーソナリティ形成(人格形成)には遺伝的な影響を受けているものと環境的な影響を受けているものに分けられるものとして、7つに分類しました。

その7つのパーソナリティ因子を見ていくと、遺伝的な影響を受けている因子として、「新奇性追求」、「損害回避」、「報酬依存」、「持続」の4つの因子が挙げられます。

遺伝的な影響を受けている4つの因子

新奇性追求

「新奇性追求」は新しいものや好奇心をそそるものに対する行動志向、衝動的な行動志向に関与します。

実際、この「新奇性追求」に関わる遺伝子というのが見つかっており、DRD4遺伝子という名前が付けれています。

この遺伝子を基にドーパミン受容体D4というタンパク質が作られています。

一度は名前を聞いたこともある「ドーパミン」ですが、ドーパミンとは快楽や満足感に関与する神経伝達物質であり、そのドーパミンを受容するタンパク質に関わっているのがドーパミン受容体D4です。

もちろんドーパミンを受容するタンパク質というのはいくつも存在し、そのひとつにドーパミン受容体D4が存在するという位置づけなのですが、このドーパミン受容体D4の基になるDRD4遺伝子は新しいもの好き以外にも、冒険やスリルを追求する気質にも関わっていることが知られています。

損害回避

「損害回避」は将来のものごとに対する心配や不安に対する回避行動のような行動抑制に関与します。

報酬依存

「報酬依存」は他者に対する思いやりや配慮、自分以外の他の人との繋がり、社会的な関係性を築くのに関与します。

持続

「持続」は物事を最後まで粘り強く行うことに関与します。

環境的な影響を受けている3つの因子

次に環境的な影響を受けている因子としては「自己志向」、「協調」、「自己超越」の3つの因子が挙げられます。

自己志向

「自己志向」は自分の内面的なもので自分に対する信頼感や自身を律することに関与します。

協調

「協調」は自分の外の世界に目を向けて、他者との関わり合いや協調性に関与します。

自己超越

「自己超越」は自分自身の存在を超えるもの、いわばスピリチュアルなことに関与します。

パーソナリティ因子をもとにした子育て

パーソナリティ因子の中で、不安と密接に関わる因子として挙げられるのが「損害回避」でしょう。損害回避が強く表れてしまう人というのは予期不安が強かったり、何事にも用心しすぎて心労が絶えなかったりします。

では損害回避が強い人は必ず不安障害になってしまうのでしょうか。

その答えは「いいえ」です。

損害回避が強く表れる人であっても置かれている環境次第では不安障害にならずに済みます。ただし「損害回避」の気質を受け継いでいるということは、その人の親もまた「損害回避」を示す傾向があるため、場合によっては子どもを不安にしてしまう子育てに繋がってしまう可能性はあると言えます。

子どもを不安にしてしまう子育てには過保護や過干渉が挙げられます。必ずといっていいほど過保護や過干渉の背景に親の著しい不安が隠れています。

「将来この子が失敗しないようにしないといけない」という気持ちから、子どもの失敗を未然に防ぎ、あたかも子ども自身の力で成功したように見えますが、本人にとってみれば自分自身で何かをしたという感覚を覚えることができず、自信をつける機会を親が奪ってしまい、いつまでも不安の気持ちを抱いたままになってしまいます。

過保護の対極にいる虐待や育児放棄も同様です。こちらも批判的に育てられることで、自己肯定感や自尊心が低くなってしまい絶えず不安な状態にさせてしまいます。

先ほども言いましたが、「損害回避」は遺伝的な要因であるために変えたくても変えることができません。しかしながら自分に対する信頼感や肯定感であったり、自分のやり方に自信を持たせるというのは「自己志向」が関与しており、こちらは環境的要因なので、この因子をいかに向上させられるかが大きなポイントになります。

子どもを過保護に育てたり、その一方で子どもに無関心であったり、こうした子育ては将来的に子ども自身を不安障害にさせてしまう可能性を高めてしまいます。そこで子どもの「自己志向」というものに焦点を当てた子育てが不安障害のリスクを下げることに奏功すると言えるでしょう。

アメリカの精神医学者Cloningerが提唱した7つのパーソナリティ因子を見ると、確かに不安を感じやすいかどうかというのは生まれ持ったものであり、生まれ持った気質から不安障害になりやすく、結果的になってしまったというケースは存在すると思います。

またタイトルにある通り、「不安障害は遺伝するかどうか」というものについては、不安体質は遺伝するかもしれないが不安障害になるかどうかは、その後の子育てや家庭環境であったりという環境的な要因が少なからず関与してくるものと言えます。

残念ながら子どもは親を選ぶことはできません。貧困も連鎖すると言われますが目に見えない不安もまた連鎖すると言えます。

言葉で言うのは簡単で、実行するにはなかなか難しいとは思いますが、現在子どもを育てている親御さんには、先の見えない世の中だからこそ子どもの不安を助長させるのではなく、「大丈夫」という安心感を与えながら子ども自らが自分の道を歩めるよう後押ししてほしいと思います。

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