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不安障害とひきこもりの関係性について

厚労省によれば、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」をひきこもりとして定義しています。

またこの他にも、「健康であるものの様々な要因の結果として社会参加が難しく、家族以外の人との接触がない場合」や「外出可能で、外出する機会があっても他者との交流が6カ月以上ない場合」も、ひきこもりの状態を表すでしょう。

ひきこもりは日本だけではなく海外でもみられますが、日本の場合、文化的な背景から潜在的にひきこもりを生みやすい土壌があるため各国と比べても割合は高くなっています。

今となっては、ひきこもりは心理学や精神医学の分野にとどまらず、社会問題として教育や労働分野でも主要なテーマとなっており、様々な角度から議論が繰り広げられています。

一緒くたにできないひきこもりの背景

様々な要因から心の病を抱える人が増えています。それは子どもであっても大人であっても変わりありません。

厳密に言えばですが、何かしらの精神疾患を抱えた人が6か月以上自宅にひきこもっている状態であっても、それはひきこもりとは言いません。厚労省の定義では精神疾患を対象外としているからです。

しかし客観的に見てしまえば、そのような精神疾患を抱えていてもひきこもりと見なされてしまうのが今の世の中ではないでしょうか。

ひきこもりは本人の気質的なもの、時代や文化などの社会的状況によるもの、本人のトラウマ体験によるものなど、様々な背景があります。

年齢に関しても小学生から中高年の大人まで、条件が整ってしまえばひきこもり状態を招いてしまいますし、性別も男性が多いと言われていますが、女性の方でもひきこもり状態にいる人はいます。

つまり可能性としては誰にでも起こる状態ですし、「自分はひきこもりにならない」と自負する人がいたとしても、ふとした出来事でひきこもり状態になってしまい、それがずるずると長引いて5年、10年、15年と長期化していくこともあるのです。

周囲から見ればひきこもっている人の背景が見えづらいので、ひきこもりを一緒くたにして考えてしまう傾向にありますが、根底にあるものは一人ひとり異なっており、そう簡単に考えられるものではないのです。

ひきこもりに対するスティグマ

スティグマとは簡単に言えば社会的な集団から押しつけられた負の烙印を指し示します。つまり偏見を助長してしまうネガティブなレッテルと言ってもいいでしょう。

特にひきこもりに対してはネガティブなイメージが付きまといやすいです。もちろんイメージ通りのケースもありますが、それでもひきこもり当事者の気持ちと周囲にいる人たちが思っていることの間には大きなズレがあるのではないかと感じます。

ではどのようなスティグマが生まれやすいのでしょうか。考えられるものを以下に示してみました。

ひきこもりは他者に対して暴力的である

特徴的な性格として几帳面で繊細、完璧主義である人ほどひきこもりになりやすいと言われています。そのため小さな失敗でもすぐに落ち込んでしまい、自責的な感情に支配されやすいです。

また他者からの評価や言動に対する感受性も強く、誰かを傷つけるというよりも自分の殻に閉じこもり自己防衛的な行動の延長としてひきこもりになっているケースが往々にしてあります。

このように、ひきこもりの心理状態を深く探っていくと、他者に対して必ずしも暴力的とは言えないのではないかと思います。仮に、ひきこもり状態の人が他人に危害を加えるような行動、過剰な反社会的な行動にでた時は、ひきこもりの表層に隠れたまた別のパーソナリティ障害や精神障害などを抱えていると理解した方が賢明なのではないでしょうか。

ひきこもりは社会に適応出来ない社会不適合者である

社会参加できていない状態をひきこもりと表すため、社会不適合者であると言われても間違いではないのかもしれません。

しかしどうして社会参加しないのか、その理由を考えずにひきこもり=社会不適合者と短絡的に結びつけるのは少々乱暴ではないかと思います。

ひきこもり状態にある人は外部からの刺激に対して過剰に反応してしまう傾向があり、また性格傾向としても自分から自己呈示するよりも他者を受容するタイプの人が多く見受けられます。他者を受容するということは寛容性が高く、相手への気配りや優しさがなければ難しいものです。

そのような寛容性が高くて優しい、他者配慮もできる人が社会不適合者扱いになってしまうのは残念です。

今の世の中を見渡してみると、「これはおかしいんじゃないか」、「理不尽じゃないか」ということがごく自然にまかり通っているように感じます。見方を変えると、ひきこもりの対極にいる人たちはこの変な社会にどっぷり浸かって世渡りしている人と言えます。

変な社会に適合する人、その一方でしない人。もう少し俯瞰してひきこもりについて考えると違った捉え方ができるのではないでしょうか。

ひきこもりは嫌なことから逃げてる人、甘えている人

最近、いじめによる自殺のニュースを頻繁に聞きます。その中で「自殺するくらいなら逃げればいい」という声を聞かれることが多く、私自身も本当にそう思います。

しかしこれが大人と呼ばれる年齢に達した時、また大人であってもいじめに遭った場合、そのような時に同様の声かけをできるでしょうか。逃げた結果のひきこもりだったら世間はどのように捉えるでしょうか。

世間的な目で見れば、ひきこもりというのは社会的な責任や義務を果たさずに、単に怠けてだらけている人に映るかもしれません。きっと大半の人がそのような認識を持っているのではないかと感じます。

ところが内情としては、ひきこもりの人は一日でも早く社会参加したいと思いつつも、「長期間ひきこもっていた自分を雇ってくれる職場なんてない」、「長い無職期間について叱責されるのではないか」、「これといって特技や資格もない自分にできることはあるのだろうか」、「このまま永遠に社会参加できないのではないか」、「いつまでも家族に迷惑をかけられないのは分かっているけれど、なかなか一歩を踏み出せない」など、このような思考に囚われ、葛藤を繰り返しながら日々を過ごしています。

「べき思考」や「全か無かの思考」に囚われている状況では、物事に対する考えが狭まってしまい行動に移すまでの時間がかかってしまいます。結果的に時間ばかりが過ぎていき、ひきこもり期間の長期化、負のスパイラルへと陥ってしまうのです。

周囲からは甘えている、逃げているように思われるかもしれませんが、実態としては周囲からの批判に怯えつつもそのきっかけ探しをしているのです。

ひきこもりからの不安障害に注意

ひきこもりの定義のところでも話した通り、何かしらの精神疾患を抱えた者はひきこもりの定義から除外されます。しかしひきこもりと精神疾患がまったく関係ないというわけではありません。

インターネットのコミュニティーサイトであるYahoo!知恵袋にこのような質問がありました。

引きこもり歴15年ほどの30代です。
完全な引きこもりの時もありましたが、実家の自営業の手伝いをすることもあり、ここ5年ほどは特に手伝いの時間が増えてきました。
ただ一人で家から出ることはなく、休日も家族と一緒です。
一年ほど前から不安症の症状があり、今年になってからは特に怯えることが多くなったため、現在精神科に通っています。
軽い不安障害と、強迫性障害?と診断されました。
薬を飲むようになってからは世界が明るくなり、一人で外に出ることができるようになりました。
5分ほどの散歩が1時間の散歩になり、自転車で買い物などにも行けるようになりました。
症状には波があり、急に不安になることもありますが考えすぎてしまうことも減ってきました。
(中略)
私の不安障害の症状は、パニックになるようなものではないと思います。
元々の内向的な性格のせいか、不安な時は大丈夫大丈夫と自分を落ち着かせるまで動けなくなります。
声をかけられるとイライラしてしまうこともあります。ただ、不安な時はいつも家にいるか家族と一緒の為、一人でその症状が出た時に自分がどうなるのかは分かりません。

出典:Yahoo!知恵袋「不安障害の引きこもり克服について」https://m.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/q10104652715__ysp=5LiN5a6J6Zqc5a6zIOOBsuOBjeOBk%2BOCguOCig%3D%3D

このような形でひきこもりから不安障害へと発展していくケースがあるので注意が必要です。

今回のケースはパニック発作を伴う典型的な不安障害ではないものの、お薬を正しく服用することで症状が改善され、外出が可能になっています。長期的なひきこもりの背景には何かしらの精神疾患が隠れているかもしれませんので、早めの医療機関への受診が奏功すると言えるのではないでしょうか。

ひきこもりと不安障害に関して、両者は言葉上では区別されるものの心理的な背景は似通うところがあります。

不安障害に含まれる社交不安障害や分離不安障害、そしてパニック障害などは症状が重症化・慢性化することで自宅からの外出を困難にさせてしまいますが、その原因として、身体的な症状に対する恐怖や不安感に加え、破局的な思考や白黒思考といった極端な認知の偏りがあります。

破局的な思考や白黒思考といった極端な認知の偏り、さらには自分自身に関する否定的な思い込みというのは、ひきこもり状態にいる人にも見られる心理状況で不安障害と共通するものがあります。

もちろん、ひきこもり状態にいる人の中には誤った万能感や全能感ゆえ、攻撃的な言動や他罰的な姿勢が見られ、地道にコツコツと努力したくない人もいることは事実です。

そのため完全に不安障害とひきこもりは一致するものではありませんが、ひきこもり状態にいる人の中には治療対象となる人も隠れていることを知っておく必要があるでしょう。

今回、不安障害とひきこもりの関係性について見てみました。ひきこもりになってしまうと、社会的な適応能力が著しく低下してしまいます。そして長期化することで、一生を棒に振ってしまう状況に陥る可能性もあります。

ひきこもりは精神疾患の有無に関わらず起きてしまうものですが、ひきこもってしまうことで本人にとっては非常にストレスフルな状況が続き、次第に二次的なものとして精神疾患を引き起こしてしまうことがあります。

そのためひきこもりになった原因に精神疾患がなくても、結果として精神疾患の症状が見受けられるのならば病院で診察を受ける必要性があるでしょう。そして治療することで何かしら社会と接点を持てるようになれるのであれば、治療を行う意義は大きいと言えます。

ひきこもりの背景にある様相は人によって様々なので、単一的な対処法に固執するよりも様々な可能性を踏まえたうえでの対処法を考えた方がより効果的だと思います。

もしひきこもりの背景に不安障害があるのであれば、お薬による治療と認知行動療法の併用が効果的であることが示されていますので、適切な治療介入がひきこもりからの突破口になるかもしれません。

もちろん周囲の協力なしには上手くいきませんので、周囲の人にもひきこもりの心理背景や精神疾患について理解を深めておくことが大切になってくるでしょう。

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