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不安障害に苦しむ当事者と周囲のズレについて

当サイトの記事でも再三、周囲の人の適切な支援、そして理解というのものが重要であることを伝えてきました。

しかし現実ではパニック障害や社交不安障害、うつ病もそうですが、病気として捉えるのではなく単なる「甘え」や「逃げ」として捉える人が多いと感じます。

当事者側としてはなりたくてなったわけではないですし、不安障害になってしまったが故に人生を台無しにしてしまうことも少なくはありません。

心の病というのは、「経験した者にしか本当の苦しみは分からない」といいますが、そう感じさせるのは当事者と周囲の人たちの間に多少なりとも隔たりが存在するからでしょう。

ではどうして当事者と周囲との間に隔たりが生じてしまうのでしょうか。隔たりが起こる原因について不安障害をテーマにして見ていこうと思います。

不安障害に対する理解不足

不安障害(不安症)とは不安を主体として引き起こされる症状の総称です。パニック障害や社交不安障害、全般性不安障害などが不安障害に該当します。

ところで不安障害という言葉そのものよりも不安障害に該当する疾患名の方が有名であることがあります。

例えば不安障害とパニック障害という言葉を比べた時、不安障害という言葉よりもパニック障害という言葉の方がより馴染みがあるのではないかと思います。

もちろんそれには理由があり、そのひとつとして多くの有名人がパニック障害を経験し、その症状や辛さについて公言しているからです。有名人効果なのでしょうけど、おかげでパニック障害と聞けばイメージがわきやすくなっています。

ところがその一方で、社交不安障害や全般性不安障害などについてはまだまだ理解不足な面が多々あり、どういう症状が見受けられ、どういった部分で生活に支障をきたすのか、病気について周囲の人に勇気を出して話しても分かってもらえないことが多いです。

一般的に心の病というのは周囲からは見えずらいものです。また病気の診断基準が患者本人の主観的な部分に基づいている部分もあるので、性格なのか病気なのかその境い目が非常に難しいと言わざるを得ません。ましてや基礎知識のない人にとってみれば「どこが病気なのか」と思っても不思議ではないと思います。

健康な人が「心の病は気の持ちよう」という言う気持ちは当事者目線から見ても分かります。しかし心の病の代表格であるうつ病、そして不安障害になりやすい人というのは、総じて、なるべく他者に対して迷惑をかけたくない、規律や規則を尊重し、真面目で思いやりのある性格の持ち主であることが多いので、そういった人たちが病に苦しんでしまうわけですから、「気の持ちよう」と言って叱咤激励するのはむしろ逆効果だと言えるでしょう。

またそういった声をかけるのは明らかに理解していない証拠でもあり、当事者は周囲に対して不信感を抱き、周囲は当事者に対して疑念を持ち、双方の間で溝が深まってしまうのです。

不安障害を都合よく利用する者

本来であれば、不安障害のような見えづらい病であっても、病気として診断名をわざわざ付けなくても済むように周囲の人が自然と受け入れ支え合う環境であれば、たとえ症状を抱えていても日常生活を円滑に送ることが可能であると言えます。

しかし現実的には当事者と周囲のズレが生じ、日常生活においても支障をきたしているので、診断名として不安障害という名称があり病気として認知されているわけです。

ただ不安障害という病名があることで厄介な問題が現れてしまうのも事実です。その厄介な問題がきっかけで、逆に当事者と周囲のズレを深めてしまうこともあるのです。

それが疾病利得(病理利得)です。

この言葉を聞いたことがある人もいると思いますが、見えづらいという心の病の特性を都合よく利用して、相手の迷惑を顧みず自分勝手に振舞ったり、何でも病気のせいにして自分を正当化したり、治す努力を放棄してしまうと支援を得られにくくなってしまいます。

一昔前、「うつ病は心が弱い人がなるんだ」、「精神的に未熟な人がなるんだ」という風潮があり、うつ病を周囲の人に話すことを憚られた時代がありました。しかし時代とともにうつ病に対する理解が深まり、うつ病を周囲の人に話しやすくなったと思います。

もちろん今でもうつ病に対する偏見はあるでしょうけど、うつ病患者に対してむやみに「頑張りなさい」と言うのではなく、「脳の病気なんだからゆっくり休みなさい」と言う機会の方が増えてきていると思います。

しかし世間がうつ病に対して寛容になってくることで、一部の人が意図的にうつ病を自分の都合のいいように利用するケースも増えています。

個人的には、そういった人はうつ病というよりも、別の精神疾患や性格的な部分が絡んでうつ病に似た症状を引き起こしていて、周りからはうつ病を都合よく利用しているように思われているという解釈をしていますが、もし仮にそうであっても、うつ病を盾に好き勝手されてしまうと、うつ病に対する偏見はなくなりません。

このようなケースはうつ病に限らず不安障害にも見られます。ただ不安障害の場合はうつ病と違って、まだ世間的な認知度が低いので(ネット検索数がうつ病比べて約5分の1)、うつ病よりも間違った理解をされることが多いように感じます。

世間が不安障害に対する正しい知識がない状態で都合よく利用されてしまうと、今もなお不安障害に苦しんでいる人が、適切な治療プロセスを踏めない可能性がでてきてしまいます。さらに言えば、周囲の支援も得られにくくなってしまうのです。

当事者と支援者がかみ合うと…

不安障害のひとつである社交不安障害は人前で注目を浴びてしまうことや人と交流することに対して著しい恐怖や不安を感じてしまう心の病です。

そのため社交不安障害を患っている人の中には、客観的に見て能力的に優れているものを持っているのにも関わらず、人前で何かをしなければいけない、社交的なやりとりをしなければいけないという理由から、その能力をくすぶらせているケースが往々にしてあるのです。

しかしそういった状況であっても当事者と支援者がかみ合うことで双方にとって良い作用をもたらすことは可能です。

一例ではありますが、社交不安障害に詳しい渡部医師のクリニックで働いているスタッフの中に社交不安障害を抱えながら勤務している方がいます。渡部先生はそのスタッフの能力を活かすために、症状が表れるような状況をなるべく排除し、病気を抱えながらも働ける環境を作っています。もちろんスタッフの中で仕事量が偏らないように配慮もしてあります。

ところで症状が表れるような状況を排除するというのは、社交不安障害の改善や克服を遠ざけているのではないかと思ってしまいますが、本質的な部分の症状の改善を図る前に、その治療に専念できる環境づくりというのが必要となります。

それゆえ経済的な部分での不安、社会的な繋がりという部分での不安が大きいと治療を妨げてしまいかねないので、働きながら治療を実現させるために、そのような対応をとっているのだと思われます。

そして結果的に見れば、当事者は病気の症状を改善・克服することができ、支援者もまたクリニックに訪れる人に対してひとつの事例としてアドバイスすることができます。

病院だからこそという部分はありますが、当事者と支援者が上手にかみ合えば、双方にメリットが生まれるのです。

不安障害当事者は出口の見えない暗い迷路を一人で歩き続けています。そこに道しるべとなる光をもたらしてくれるのは周囲にいる人たちだと思います。

当事者が一人でやみくもに頑張ってもどうしようもないこともあります。回復の過程では周囲の人たちの支えがどうしても必要になります。

ところが当事者と周囲の間にズレが生じていれば、適切な支援を確保することができず、症状は慢性化し治療も長期化してしまう可能性が高くなります。

不安障害を患う人たちはこういう性格の持ち主であると一括りにすることはできませんが、傾向としては他者配慮ができていたり、真面目で律儀な人たちであったりすることが多いように感じます。適切な治療を受けて症状がよくなれば、きっと支援してくれた人の力になると思います。

今後、当事者そして支援者双方の理解が深まり、両者の間にある溝やズレが小さくなっていくことが求められ続けるのではないでしょうか。

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