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全般性不安障害とはどんな病気!?症状、原因、治療法について

全般性不安障害という心の病気を聞いたことがありますか。

以前は不安神経症という名称で知られていましたが、医学の進歩とともに病気の全体像がはっきりしてきたというのもあって、不安神経症はパニック障害(パニック症)と全般性不安障害(全般不安症)に分かれて定義されるようになりました。

ただ不安神経症という名称は旧名扱いとなったものの、臨床現場で用いられなくなったわけではなく、一部では不安神経症という名称をそのまま診断名としているところもあります。

ところで全般性不安障害はパニック障害と比較すれば世間的な知名度も低く、どういった症状なのか分かりずらい部分も多いのではないでしょうか。

ということで今回は、できるだけ多くの人に理解してもらいたいという願いも含め、全般性不安障害の原因、症状、治療法などについて分かりやすく述べていこうと思います。

全般性不安障害とは何か

全般性不安障害(全般不安症)とは明確な理由がないにも関わらず、「何か悪い出来事が起きるのではないか」、「身体が病気に侵されこのまま死んでしまうのでないか」などといった、いくら考えても仕方がない心配や不安を持ち続け、その結果、強い緊張感や疲労感、集中力の著しい低下、睡眠障害などの症状を招いてしまいます。

不安は誰しもが持っている感情なので、正常と病気の境い目が難しいと思いますが、『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』を見ると以下のような基準を持って診断されます。

  1. (仕事や学業などの)多数の出来事または活動についての過剰な不安と心配(予期憂慮)が,起こる日のほうが起こらない日より多い状態が,少なくとも6カ月間にわたる
  2. その人は,その心配を抑制することが難しいと感じている
  3. その不安および心配は,以下の6つの症状のうち(またはそれ以上)を伴っている(過去6カ月間,少なくとも数個の症状が,起こる日のほうが起こらない日より多い)
    • 落ち着きのなさ,緊張感,または神経の高ぶり
    • 疲労しやすいこと
    • 集中困難,または心が空白になること
    • 易怒性
    • 筋肉の緊張
    • 睡眠障害(入眠または睡眠維持の困難,または,落ち着かず熟眠感のない睡眠)
  4. その不安,心配,または身体症状が,臨床的に意味のある苦痛,または社会的,職業的,または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
  5. その障害は,物質(例:乱用薬物,医薬品)または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症)の生理学的作用によるものではない
  6. その障害は他の精神疾患ではうまく説明されない[例:パニック症におけるパニック発作が起こることの不安または心配,社交不安症(社交恐怖)における否定的評価,強迫症における汚染または,他の強迫観念,分離不安症における愛着の対象からの分離,心的外傷後ストレス障害における外傷的出来事を思い出させるもの,神経性やせ症における体重が増加すること,身体症状症における身体的訴え,醜形恐怖症における想像上の外見上の欠点の知覚,病気不安症における深刻な病気をもつこと,または,統合失調症または妄想性障害における妄想的信念の内容,に関する不安または心配]

-American Psychiatric Association(高橋三郎、大野裕、染矢俊幸ほか訳)『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』医学書院より引用-

本来、不安という感情は生理学的な側面から見ればずっと続くということはありません。しかし全般性不安障害のケースでは、不安のきっかけとなる対象が次から次へと途切れることなく現れ、その都度、不安がわき起こり心身ともに安らぐ時がないことが多く見受けられます。

またいくら周囲が「大丈夫、心配しなくていいよ」と言ったところで、本人が不安をコントロールできていない状態にいるので、周囲との関係が悪くなってしまうことも往々にしてあります。

全般性不安障害は、他の不安障害やうつ病などの精神疾患と併発していることがよくあり、また症状としてもうつ病と類似する点が多く見受けられます。ただ、うつ病の症状が過去に起きたことがきっかけとなって生じているのに対し、全般性不安障害の症状は将来起きるであろうことに対して生じています。

全般性不安障害を適切に治療するためにも正確な診断と情報が欠かせませんが、全般性不安障害の重症度を測定する評価尺度としてハミルトン不安評価尺度(Hamilton Anxiety Rating Scale:HAM-A)がありますので、こういった尺度を用いた検査が役に立つと思います。

全般性不安障害になってしまう原因

全般性不安障害について直接的な原因は未だ知られていません。またパニック障害やPTSDのように何か具体的なきっかけとなるエピソードを持っていないことも多く、違う病気を疑って医療機関を受診したら全般性不安障害と診断されたというケースが少なくありません。

ただ原因は分かっていないものの、「複数の要因が関与しているのではないか」というのが現代医学での共通認識です。

全般性不安障害の発症を高めてしまうリスク要因として、生まれつき不安や恐怖を感じやすい気質、過保護や過干渉、虐待などの生まれ育った環境などが考えられます。

また親や兄弟が全般性不安障害を患っていた場合には、その発症リスクが高くなることが知られています。

気質といった遺伝的要因や生まれ育った環境的要因などが相互に関係し合い、脳の部位や神経伝達物質に影響を及ぼし全般性不安障害の症状が表れていると言えます。

脳内には様々な神経伝達物資が存在していますが、その中でもモノアミンと総称されるドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンが大いに関係しており、モノアミンの働きが低下することで不安をより一層感じやすくなったり気分の低下を招いたりします。

全般性不安障害の主な治療法

全般性不安障害は不安障害のひとつなので、治療法の候補としてはお薬によるものと心理療法が考えられます。

また同じ不安障害に属する社交不安障害と違って医療機関への受診率が比較的低くないので、容易に治療介入を望むことができます。

しかし全般性不安障害の症状が、いくら考えても仕方がない心配や不安感情ということもあり、身体症状の管理が上手くいかない、用法・用量を守らずにお薬を服用してしまうなどのトラブルが生じやすく、一向に症状が改善しないことから医者に対する不満を抱いてしまい医師と患者の信頼関係が上手く築けないケースが多く見受けられます。

治療を円滑に進めていくためにも、第一歩として本人が全般性不安障害がどういう病気なのかを理解することが求められます。そして本人がしっかりと理解した前提で本格的な治療に取り組んでいきます。

全般性不安障害は不安を主体とする精神疾患なので、お薬によるものでは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬がメインとなるでしょう。また全般性不安障害に対してベンゾジアゼピン系抗不安薬が奏功するという研究結果も出ているので、症状次第ではベンゾジアゼピン系抗不安薬も使われますが、長期使用による依存性の危険も指摘されているため主治医と相談して最適な服用を心掛ける必要があります。

一方、心理療法では認知行動療法や森田療法などが候補になります。

認知行動療法については心理療法の中でも主流になってきているので、その言葉を一度は耳にした人も多いと思いますが、認知行動療法というのは、モノの捉え方や考え方の歪みを直していき、現実的で柔軟な捉え方を身につけて不安を上手にコントロールすることを目的とします。

森田療法とは、不安や恐怖そのものは誰もが抱く感情であることを理解し、そのような感情を抱くのは異常なことではなく、むしろ、そういう感情を含めてあるがままの自分を受け入れることを目指す心理療法です。

どの治療法にも一長一短はあります。また当事者一人ひとりの背景が違うため、適宜治療を組み合わせて自分に適した治療が良い結果を生むでしょう。

不安スペクトラムに注意

全般性不安障害が最も発症しやすい年齢層は30代前後と言われています。

しかし不安障害は年齢とともに病態像が変化することが分かっており、時には二つ以上の不安障害を示すこともあります。不安障害を不安スペクトラム(不安の連続体)として考えると、幼少期の頃の不安に対する捉え方というのが非常に重要で、その後不安障害と呼ばれるレベルにまで達してしまうのかを把握するうえで参考になります。

幼少期の不安障害と言えば、分離不安障害や社交不安障害が有名ですが、分離不安障害にしても社交不安障害にしても不安を感じる範囲が限定されているのが特徴です。

ところが歳を重ねるごとに不安を感じる範囲や領域が広がり、ありとあらゆることに不安を感じるようになってしまうと全般性不安障害の可能性が出てきます。

また全ての不安障害の中で全般性不安障害が最もうつ病や何かしらの気分障害との併発が多いと示されています(Grant et al,2005)。

それだけ不安の構造が複雑化しており、不安が慢性化することで心身ともに休まることがなくうつ病のリスクを高めてしまうと言えるのではないでしょうか。

全般性不安障害の症状は年齢を重ねるごとに不安に思うことが多岐に渡るのでどんどん深刻化していきます。できることなら比較的年齢が若い時に不安に対するコントロール術や柔軟な考え方を身につけられれば、全般性不安障害の予防に繋がっていくと思います。

不安は誰しもが感じるものですが、全般性不安障害と呼ばれる状態ではその不安が過剰であらゆることに対して不安を抱いてしまいます。

その不安を抑えるためにアルコールを過剰に摂取したり、不安感から眠れないので睡眠薬の量も自ずと増えていき、アルコール依存や薬物依存に陥っているケースも少なくありません。

当事者に対して周囲にいる人は「大丈夫、気のせいだよ」、「そこまで不安になることなんてないよ」と声をかけることも多いと思いますが、本人は不安をコントロールできていない状態にいるので、その声も伝わりにくくなってしまいます。

また本人も自分自身が他の人と比べて心配性で気にしすぎる性格と思い込んでしまい、性格的なものと認識してしまい病気の可能性に気がついていないこともあります。そして適切な治療を受けていないことで日々不安を避けるような行動となり生活の質も低下してしまうのです。

全般性不安障害は周囲の人が思っている以上に不安を感じるレベルが違います。だからこそ理解に結びつかない原因となっているのかもしれませんが、少しでも当事者が今の世の中を生きやすいと感じられるようになるためにも、この精神疾患の存在を知ってほしいと思います。

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