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HSPとアダルトチルドレンに違いはあるのか!?特徴、性質の違いを分かりやすく

HSPに関する情報がネット上にも増えてきていますが、その中で、同じ状態を示すことがある発達障害との違い、あるいはその他の病気との関連性について関心を示す人が増えているように感じます。

特にHSPという気質に関して言えば、今まで生きづらさを感じてきた人に対して、自分を知るための重要なピースになっているのではないかと思います。

だからこそHSP気質を自認し、自分を知ることのようにHSPについて調べているのではないでしょうか。

ところで、生きづらさを感じているのは何もHSP気質の人だけの話ではありません。

アダルトチルドレンと呼ばれる状態にいる人もその類に含まれるでしょう。

アダルトチルドレンにはいくつかのタイプが確認されていますが、アダルトチルドレンの中にもHSP気質を持つ人と似たような状態を示すケースがあります。

今回はアダルトチルドレンとHSP気質の類似点や相違点について確認して見たいと思います。

アダルトチルドレンとは

「アダルトチルドレン」という言葉は、アメリカのソーシャルワーカーであるClaudia Blackが、家族システムや依存症の研究の中で、アルコール依存症の親のもとで育った人たちに共通した特徴があり、その人たちをACOA(Adult Children Of Alcoholicの略)と名づけたことがはじまりです。

今日では、機能不全家族のもとで育った人を表す言葉として、アダルトチルドレンという言葉が定着しています。

よくある間違いですが、「アダルトチルドレン」という病名はありません。

あくまでも本来のあるべき家族システムから逸脱してしまった状態なので、アダルトチルドレンそのものの概念については、懐疑的な医者や専門家がいることも事実です。

ただ、人が育つうえで家庭環境というのは極めて大切で、機能不全家庭のもとで育ってしまうことで、生きづらさを感じたり、自分の人生に主体性を持って歩むことができなかったりするのです。

特にアダルトチルドレンに当てはまるような人は、そうした生きる辛さが顕著に表れています。

アダルトチルドレンには大まかに5つのタイプがあり、以下に示すのがそのタイプです。

  • ヒーロータイプ
  • スケープゴートタイプ
  • ロスチャイルドタイプ
  • クラウンタイプ
  • ケアテイカータイプ

アダルトチルドレンと一言に言っても、それぞれのタイプが存在しており、また特徴も正反対な部分もあったりするので、一緒くたにして語ることができません。

ただどのタイプであっても一様に機能不全家庭で育ち、「家庭的な理由でいつも良い子でいなければならなかった」、「ひどい言葉や心無い言葉を言われ続けても我慢しなければならなかった」、「家庭が心休まる場所ではなかった」など、何かしら心のどこかにモヤモヤを抱えながら生きてきたという特徴があります。

またアダルトチルドレンは愛着障害とも関係が深く、アダルトチルドレンに当てはまる人は、同様に愛着障害にも当てはまっている可能性があります。

愛着障害とは

「愛着障害」という用語は、発達心理学や児童心理学、また「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」という診断名があるので医学分野で用いられることの多い言葉です。

愛着障害はアダルトチルドレンよりももっと幼い頃に見られる問題です。概念的には、養育者との間での不完全な愛着形成、それによって起こる行動障害がセットになって、日常生活において問題が生じてしまいます。

愛着障害のケースでは、目に見えるような虐待や育児放棄がなくても、生後半年から1歳半までの「臨界期」と呼ばれる愛着形成に最も大切な時期において、愛着の対象者となる親が不在になりがちになってしまうことで起きてしまうことがあります。

特に母親との関係は重要です。その時期に母親と分離してしまうことで、後々、愛着障害に発展していく可能性が高いといわれています。

また臨界期を過ぎても油断してはいけません。子どもが2~3歳ぐらいのころは、母親から離れることに対する不安が高まる時期なので、この期間に無理やり母親から離されるような出来事があると「分離不安」が強く残ってしまい、その後の子どもの精神面、行動面に悪影響を及ぼしてしまいます。

愛着障害もアダルトチルドレンと似ている部分がありますが、あくまでもアダルトチルドレンは機能不全家庭のもとで育った人を指す言葉です。

例えば、日常的に母親が父親に暴力を振るわれていて家が落ち着ける環境ではなかったケース、小学生の頃に両親が離婚して父親の方に引き取られてしまったケース、過干渉や過保護などの一方的すぎる愛情を受けたケースなど、どれもアダルトチルドレンを招きやすい状況です。

ここで、日常的に母親が父親に暴力を振るわれていて家が落ち着ける環境ではなかったケースを考えてみると、このような状況では、もしかしたら子どもと母親との間では十分な愛着形成は出来ていたけれど、母親と父親の関係が良くなかったせいで、子どもがアダルトチルドレンになってしまうことがあります。

こうしたケースだと、兄弟構成にもよりますが、アダルトチルドレンの中でも親の代わりとなって下の子を世話する「ケアテイカータイプ」、親にとってはあまり手のかからない子どもに映る「ロスチャイルドタイプ」などが考えられます。そして生きづらさを抱えながら人生を歩んでいくのです。

家庭環境の問題と愛着障害の問題はよくよく見ると区別することができます。もちろん家庭環境が悪く愛着形成が未熟で、結果的に愛着障害になってしまうこともあると思いますが、家庭環境、養育者との関係性、こうした個々の要素を把握していくと、それぞれが抱える問題というのが明らかになっていきます。

なお、愛着障害については以下の記事で詳しくまとめていますので参照してください。

HSPとは何なのか

「HSP(Highly Sensitive Personの略称)」という言葉は、アメリカの心理学者Elaine N. Aronが生みだした言葉で、日本語に訳せば「とても敏感な人」となります。

日本では約5人に1人が持っている気質と言われており、生まれつき備わっている特性でもあります。

HSPの特徴について、主なものとして以下のような特徴が見受けられます。

  • 自分の外の世界に対して注意深くなる
  • 感情的な反応が強く、共感力が高い
  • ほんの些細な刺激に対しても察知する
  • 物事に対する深い洞察力がある
  • 慎重さ、正確さ、小さな違いを見つける作業が得意
  • 自分についてあれこれ考えることが多い

HSP気質が持つ敏感さは、他者に対する繊細な気遣いや心配り、石橋を叩くかのような慎重な行動が目立ち、そういった特性を生かせるような環境に身を置くことができれば長所となり、生きづらさを感じにくくなります。

しかし一方で敏感さがマイナス方面に働いてしまうと、自分のことを過剰に責めたり、小さなことにもクヨクヨしたりと、些細なことで疲れやすく、そして生きづらさを感じやすくなってしまいます。

こうした敏感さはあくまでもHSP気質によるもので、生まれ持った先天的なものです。

気質と性格はよく混同されがちですが、気質は先天的に持っているその人自身の特性的な反応で、物事に対する敏感さであったり鈍感さであったり、その反応スピードは気質によって異なります。

一方で性格は、気質という土台の上に成り立ち、行動や意欲の傾向を示すもので、例えば、慎重な人と大胆な人では、前提として気質が異なっており、その気質によって作られた行動様式が性格としてあらわになり、物事に対して慎重な人と大胆な人という具合に形取られるのです。

そのためHSP気質の人には「敏感さ」が見られることが多いですが、その敏感であることは性格ではなく気質であり、敏感だからこその行動を取り、その行動が相手から見てその人自身の性格として認識されるのです。

ただ残念ながらHSP気質は、周囲からはなかなか理解されません。逆に周囲の人の気持ちに左右されることがあり、怒ったり悲しんだりしている人が周りにいると、自分まで辛く感じてしまい、二重の生きづらさを抱いていることが往々にしてあります。

自分の外の世界に対して注意深くなることは良い面もあるのですが、それが災いとなり、いくつものストレスを抱えているケースも多いので、HSP気質ゆえの辛さというのが存在しているのです。

なお、HSPについては以下の記事で詳しくまとめていますので参照してください。

HSPとアダルトチルドレンと愛着障害は関連性が深い

ここまで、アダルトチルドレン、愛着障害、HSPと、それらの特徴を簡単にですが確認してきました。

そして各々の特徴や性質について、共通した「生きづらさ」という視点で捉えると、やはりそれぞれ関連性が深いのではないかと思います。

以下の図のように、それぞれが重なってくる部分があるでしょう。

HSPという視点から見れば、HSP気質ゆえの敏感さが、母親や父親の気分に強く反応したり、親の言うことを何でも聞いて、自分を消し「いい子」に徹したりすることを助長したりすることもあるでしょう。

結果的に、親にとってはあまり手のかからない子どもとなり、自分の存在感に疑問を持ち、常に「自分なんていなくてもいいのではないか」と感じてしまいます。

ひいては大人になっても、絶えず自己肯定感を持てず、他人に左右されながら理想的な生き方を求めたり、愛情欲しさに過剰な依存に走ってしまい人生を棒に振ったりする可能性にも繋がっていきます。

このような親に対して気を配らざるを得ない状態というのは、アダルトチルドレンに陥りやすい人の特徴でもありますし、親から適切な愛情を感じることなく育ったというのは愛着障害の可能性がでてきます。

敏感すぎるからこそ、親の気持ちに深く共感して本来の自分の姿を偽り続けて生きたり、「親に十分に愛されていないのではないか」と感じ、親以外の他者に対して強すぎるほどの愛情を求めたりするのです。

HSP気質を持っていなくても、アダルトチルドレンや愛着障害という形になってしまうことももちろんありますが、傾向として敏感すぎるHSP気質がアダルトチルドレンや愛着障害という形を助長することも十分考えられるのではないでしょうか。

HSPとアダルトチルドレンの似ているところ

アダルトチルドレンにも色々なタイプが確認されています。そのため個々のタイプを見るとHSPとは正反対な特徴を示すタイプもありますが、その一方で似ているタイプもあります。

例えば、アダルトチルドレンのタイプのひとつである「ケアテイカータイプ」は、相手が何を望んでいるのかを常に心がけてきたために、相手の表情やしぐさに敏感に反応しやすい傾向にあります。

これは、HSP気質の相手に対する共感力の高さと似通うところがあります。

他には「クラウンタイプ」に見られる、その場の気まずい雰囲気を即座に察し、冗談やおどけた仕草で周囲を和やかにしたりするのは、ほんの些細な刺激に対しても察知して、かつ物事に対する深い洞察力があるHSP気質と共通しています。

アダルトチルドレンは一様に本来望ましい家族システムが欠如しているという背景があるものの、アダルトチルドレンのタイプが異なっているのは、生まれた順番であったり、その人の生まれ持った物事に対する敏感さであったりが少なからず影響していると思います。

またHSP気質によって生きづらさを感じている人には、幼い時から何かと我慢するケースが多かった傾向にあります。これはアダルトチルドレンにも同じことが言えます。

HSP気質は表面的には理解が難しく、ゆえにHSPを理解してくれる人が身近におらず、ある意味では自分の居場所らしい居場所がなかったというのが十分考えられます。アダルトチルドレンもまた、本来落ち着ける場所である家庭の場が、落ち着けるようなところではなかったことがアダルトチルドレンを招いているため、自分の居場所が無いというのも両者に共通して見られる特徴だと言えます。

HSPとアダルトチルドレンの異なっているところ

HSP気質というのは、生まれ持ったものであり、後天的なものではないと言われています。

一方でアダルトチルドレンというのは、機能不全家庭で育ったことによるものなので、これは後天的なものと言えます。

HSP気質にも、アダルトチルドレンにも「敏感さ」という特徴が関係していることが指摘されますが、その敏感さが生まれ持ったものなのか、それとも成長過程で心が傷ついてしまった結果、敏感で繊細にならざるを得なかったのか、捉え方の違いで見方が変わってきます。

ただHSP気質がベースにあって、アダルトチルドレンに陥りやすい家庭環境で育った場合は、敏感さがより際立つということも十分ありえるでしょう。

その敏感さがいつ頃から目立ち始めたのか、もし機会があれば親に聞いてみることではっきりすると思います。幼少期の頃から他者に対して深く共感を示す子どもであったり、ほんの些細な刺激にも察していたりした場合は、可能性の話ではありますが、HSP気質の傾向にあるのではないかと思います。

その一方で、機能不全家庭で育った経験を持っている場合であれば、その敏感さが家庭環境による影響を受けている可能性を否定できないので、先天的なもの、後天的なもの両方のケースが考えられるでしょう。

本人がどのような家庭環境で育ったのか、このあたりをしっかり把握することで、両者の違いが明確になっていくのではないでしょうか。

今回はHSPとアダルトチルドレンの特徴や性質の違いを見ていきました。

本来であればHSPにこだわる必要はありませんが、生きづらさの理由を知るためにHSP気質を受け入れることで、HSPが抱えやすい特有の問題を上手に対処に、どのようなことに注意したらいいのか心構えを持つことが可能になります。

これはアダルトチルドレンや愛着障害にも同様のことが言えます。そして各々の特徴の違いを知ることは、より詳しく自分を知ることに繋がっていきます。

アダルトチルドレンは背景に、機能不全家庭がそもそもの問題です。その結果、自分自身が我慢せざるを得ない状況だったり、周囲に気を遣わなければならず、必然的に敏感になってしまったりしています。

またアダルトチルドレンにも様々なタイプがあり、今回比較したHSPと正反対の特徴を示すタイプもあります。どのようなタイプに自分が当てはまるのか確認してみるのも自分を知る手立てになるのではないでしょうか。

HSPもアダルトチルドレンも「生きづらさ」という視点で見れば共通しています。なぜ生きづらいと感じているのか、生きづらさを緩和するために何かできるのか、そのひとつとしてHSPの性質を知ったり、アダルトチルドレンの特徴を知ったりすることは役に立つのではないかと思います。

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