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HSP気質を持つ人が過剰同調性になりやすい理由について

日本人の約5人に1人の割合で存在するHSP(Highly Sensitive Personの略称)。

HSPという言葉はアメリカの心理学者Elaine N. Aronが生みだしたもので、敏感すぎる人や極めて感受性が強い人が生まれながらにして持っている気質的なものとして認識が広まっています。

HSPはその特性から周囲で起きていることに対して極めて過剰に反応してしまう特徴があり、それゆえ過剰同調性を引き起こすものを備えているのではないかという指摘があります。

私の個人的な見解としても、HSP気質と過剰同調性の間には関係性が存在すると感じています。

ではどうしてHSP気質を持つ人が過剰同調性になりやすいのか、今回その理由を探ってみたいと思います。

共感とは違う過剰同調性

そもそも私が過剰同調性という言葉を知ったのは、日本ではまだ非科学的存在として見られることの多いHSPについて、先駆的に医療の現場で取り入れている精神科医である長沼睦雄先生の著書『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』にその名前が出てきた時でした。

HSPの多くは、相手の心に寄り添い、喜びや悲しみといった相手の感情に深く共感する能力を備えています。
けれど、HSPの中には共感性が高いというレベルを超え、周囲の人に対して、過剰に同調してしまう人も少なからずいます。
このような状態は「過剰同調性」といわれ、共感性とは似て非なるもの、まったくの別物です。
(中略)
過剰同調性は自分の中に相手が入り込んでしまう状態をいいます。私が診察したHSPの方々は、このような状態を「相手の心が自分の中になだれ込んでくる」とか、「自分の中に相手が、水が上から下に流れるように入ってくる」といった表現で説明してくれました。

-長沼睦雄著『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』青春出版社(p.44-45)より引用-

引用文の中に、過剰同調性と共感は違うという点に言及されていたので、少しこの点について補足したいと思います。

多くの人は相手の気持ちに対して理解を示し、思いやる気持ちを持ち合わせています。特に日本人は文化的な背景もあって、そういう傾向にあるのではないか思います。この思いやる気持ちを私たちは「共感」、あるいは「共感性」という言葉を使って表現します。

この共感や共感性というのは、しばしば音叉に例えて説明されますが、具体的に見ていくと次のような説明になります。

同じ周波数の音叉を2個並べた状態で片方の音叉を鳴らすと、もう片方の音叉も共鳴するように音を出しますね。この共鳴する状態が共感なのです。この時、当然ですが、それぞれの音叉は距離を保った状態で個々に音を鳴らしているので、共鳴していても音叉そのものが一緒になることはありません。

しかし過剰同調性というのは、このような共感とはまた違った捉え方になります。

それは過剰同調性というのが相手の心が自分の中まで入り込んでしまって、侵食するかのように相手の考えや思いでいっぱいになってしまうことがあるからです。

共感や共感性は他人に対して気持ちを理解しようとする働きはありますが、そのことで自分の中にある考えや思いというのが相手と同じものになってしまうことはほとんどありません。

一方で過剰同調性というのはまるで相手の気持ちが乗り移ったように、ややもすると自分自身が体験していないのにも関わらず、相手と同じようにひどく苦しんだり、また逆にものすごく楽しんだり、周りからもびっくりするくらい相手や周りの環境に左右されるのです。

HSP気質と過剰同調性の似ているところ

HSP気質と過剰同調性がどのような点で似ているのか、その共通点と思われるものを挙げると以下のような点があるでしょう。

自己と他者を分ける「境界線」の話

多くの人は、自分と他者の間に「自分は自分、他人は他人」といういわば境界線のようなものを持っています。

しかしHSP気質の人というのは、この境界線をうまく引けていないケースが往々にして存在しています。

過剰同調性も同様に、相手の考えや思いが自分を侵食するかのごとく押し寄せてくるので、境界線がない状態であったり引けていてもすごく薄い状態にあったりするのです。

もちろんこの境界線が薄いからこそ他人の心に敏感に反応できるのですが、その反面、自分を苦しめてしまうのも境界線が原因なのです。

敏感すぎるゆえの防衛反応

HSPの人が持つ敏感さは様々な外的刺激に対して反応します。そのため周囲の刺激から自分を守ろうとする防衛反応が働きやすいと言われています。

HSP気質は、はじめての空間、はじめての人、はじめての場面に対して直感的にセンサーが察知し、行動を抑制しようとする働きがあります。言い換えれば危機意識が非常に高いのです。

人間社会というのは少なからず人と人との繋がりが存在します。ですがHSP気質の人はその危機意識の高さゆえ、相手から攻撃されないような行動を取る傾向にあります。

過剰同調性もまた相手の攻撃を回避するために同調行動を取ります。

同調行動は一種の防衛反応として捉えることができますが、その過程において、本来の自分の気持ちを偽ってまで無理をしてまでとことん相手に同調するのです。

相手にしてみれば考え方に賛成してくれるし、頼まれごとも素直に聞いてくれるし、過剰同調性を持つ人というのは必要な存在として映ります。しかし当の本人にとってみれば、それはすべて自分を守る防衛反応にすぎないのです。

自己肯定感の低さ

HSP気質は生まれつきのものです。そのため相手の気持ちを慮って深読みしてしまうことも多いです。

例えば、HSP気質の子供に対して、勇気づけようと親が叱咤激励しようと声をかけたつもりが、その口調を深読みしてしまい心の中にずっと残ってしまう一種のトラウマのように感じてしまうことがあります。

そして最も愛情を感じている親から自分は認められていないという感覚に陥ってしまい、自己肯定感を構築できなくなってしまうケースもあります。

しばしばHSP気質の人に自己肯定感の低さが見られるのは、相手を思いすぎて自分の負の感情を表に出すことができず、また自己主張の経験が乏しいので、自分さえ我慢していればいいという形になってしまうからです。

この自己肯定感の低さは過剰同調性につながっていきます。自分の中に確たる自信がないから他者に同調するようになっていくのです。

HSP気質、そしてそれが土台となって生まれてしまう自己肯定感の低さが次第に発展して過剰同調性へと陥ってしまうこともあるでしょう。

今回、HSP気質の人が過剰同調性になりやすい理由について見ていきました。

気をつけたいのが、HSP気質だからといって必ずしも過剰同調性になるかというとそうではありません。

しかし周りに対して敏感すぎるゆえ危機意識が高まり、また直観力の鋭さから置かれている状況次第では過剰同調性に陥ってしまうこともあると思います。

過剰同調性というのはどのように捉えるかによってそのイメージが変わってくると思います。

相手の負の感情を自分も同様に感じ取ってしまって疲れ果ててしまうこともあれば、自分が体験していないのに幸せな感情に浸れることもあります。

仮に過剰同調性に陥っていても、それをひとつの個性としてポジティブに捉えるか、それとも生きづらさを感じる原因として捉えるかはその人次第です。

過剰同調性の良い面、悪い面を知って自分の人生に活かしていく、もちろん過剰同調性は後天的に身に付いたものなので改善しようと思えば改善することは可能です。もし過剰同調性によって苦しんでいるのであれば、過剰同調性と向き合う姿勢が求められてくるのではないでしょうか。

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