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HSPと発達障害に違いはあるのか!?特徴、性質の違いを分かりやすく

最近注目を集めている「発達障害」。テレビや雑誌でも取り上げられる機会が増えており認知度も高まっていますね。

また合わせて「HSP」という言葉も聞かれるようになってきていると感じます。

発達障害の人には感覚過敏、独特の感性を持つ人がいますが、HSP気質を持っている人もまた周囲の物事に対して敏感に反応してしまう傾向があります。

しばしば両者は区別があいまいで混同して捉えられていますが、HSP気質というのは病気ではなくひとつの特性や個性として考えられています。その一方で、発達障害は生まれつきの脳の機能障害として精神疾患に分類されており病気と考えられています。

発達障害とは

発達障害のメカニズムはまだ完全に解明されていないものの、遺伝的な要因が強く、幼少期の親の育て方が原因というわけではありません。

また生まれつきの脳機能障害なのでいわゆる「治る」というものではなく、発達障害によって表れる症状を抑えたり改善させたりするために適切な訓練が必要となり、場合によってはお薬によって症状を緩和する処置もあります。

そもそも発達障害といってもその領域が幅広く、以下の図を活用してもう少し解説していきたいと思います。

広汎性発達障害

『DSM-5』になってからは自閉スペクトラム症という名前に変わっていますが、もともとは広汎性発達障害と呼ばれており、ここには自閉症やアスペルガー症候群といったものが該当します。

皆さんが思い浮かべる自閉症、アスペルガー症候群というのはどのようなものでしょうか。

「場の空気が読めない」、「相手の立場になって考えられない」、「たとえ話や遠まわしの表現を察するのが苦手」、「ある物事に対するこだわりが著しく強い」などが思い浮かぶのではないかと思います。

広汎性発達障害もしくは自閉スペクトラム症と診断されるには、他者と目が合わせられない、対人関係の形成が難しい、情緒的相互性の欠如を示す「社会的相互作用の障害」。話し言葉の遅れ、会話を維持するのが難しい、会話がかみ合わないといった「コミュニケーションの障害」。限られた対象への興味と過度の集中、常に同じ行動の連続が見られる「想像力の障害」が条件としてあります。

また「社会的相互作用の障害」、「コミュニケーションの障害」、「想像力の障害」が主な症状として見られますが、それに加えて極端な感覚過敏を持っている人もいて、突然の大きな音で取り乱してしまうケースも見受けられます。

学習障害

『DSM-5』では限局性学習症という名前ですが、学習障害というのは全体的な能力や機能は年齢相応ですが、それが読み書き、数字の計算など、ある特定の学習能力に著しい機能の遅れが見られるのが特徴です。

学習障害(Learning Disorders:LD)は、学習上の問題という概念で扱われ、学習障害の問題が顕在化するのは小学校に入学した直後になります。

LDを抱えた子どもたちは、読み書きができない、計算ができないのは「自分の努力不足のせい」と思ってしまうことで自己評価が著しく低下し自己肯定感が乏しくなってしまう二次的な障害への懸念があります。

そのため二次的な障害を生まないためにも、周囲は個別的できめ細やかな対応、弱い部分を補完しながら得意な部分を伸ばして自信をつけるように心掛ける必要があります。

文字が霞んだり、歪んだり、鏡文字に見えてしまうことで文章の読み書きができない「ディスレクシア」という学習障害の一種がありますが、アメリカの映画俳優であるトム・クルーズやキアヌ・リーブスがこの障害を患っていたことを公表しており、この障害の存在を知っている人も多いのではないかと思います。

注意欠如・多動性障害

注意欠如・多動性障害(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder:AD/HD)は、診断名よりも略称のAD/HDもしくはADHDのほうが有名だと思います。

特徴としては、「不注意」、「多動」、「衝動性」の3つの行動様式があります。それぞれについて簡単に説明すると「不注意」とは、ひとつのことに注意を向けることができずに気が散りやすい状態、「多動」とは、同じ場所にじっとしていられずに状況関係なしに動き回ってしまう状態、そして「衝動性」とは、自分の順番や適切なタイミングを待てない状態を示します。

ADHDにはいくつかのタイプが存在しており、それらの特徴の強さに応じて「不注意優位型」、「多動・衝動性優位型」、「混合型」の3つのタイプに分類されます。

近年では「仕事や家事がうまくできない」というきっかけから、学齢期の子どもの頃に診断されなかった人たちが大人になって診断されるケースが目立ち「大人の発達障害」として認知度が高まっています。

ADHDが背景にあることで「生きづらさ」、「生きにくさ」を感じる人も多く、どんなに頑張ってもみんなと同じようにできない辛さや周囲の理解が得られない困難さから、自己否定へとつながり二次的な障害に発展している事例も数多く存在しています。

HSPとは

HSP(Highly Sensitive Personの略称)という言葉は、アメリカの心理学者Elaine N. Aronが生みだした言葉で、日本語に訳せば「とても敏感な人」となります。

HSPの人がどのくらい存在するかというと、日本ではだいたい5人に1人が持っていると言われています。30人学級ならクラスの6人前後はHSP気質を持っている計算になります。

ちなみに成人における発達障害の有病率というのが土屋政雄研究員による調査結果(2012)によれば、自閉スペクトラム症が1.0%、注意欠如・多動性障害(ADHD)が2.5~3.4%というデータがあります。

また学齢期の子どもでは自閉スペクトラム症が約2%、注意欠如・多動性障害(ADHD)が3~7%と言われていますが、診断基準の違い、研究者の捉え方の違い、地域などで数にかなりの変動があり、見過ごされているケースも往々にしてあるため、実態は潜在的な患者も含めて数字以上だと考えられています。

HSPの特徴について、主なものとして以下のような特徴が見受けられます。

  • 自分の外の世界に対して注意深くなる
  • 感情的な反応が強く、共感力が高い
  • ほんの些細な刺激に対しても察知する
  • 物事に対する深い洞察力がある
  • 慎重さ、正確さ、小さな違いを見つける作業が得意
  • 自分についてあれこれ考えることが多い

HSPの特徴は何といっても「敏感さ」です。その敏感さがどういった形で登場するかは人それぞれですが、列挙したものがHSP気質を持っている人には見受けられます。

さらに場の空気を読み取る力や他者に対する共感性の高さ、そして物事に対する感受性の強さもまたHSP気質の特徴と言えます。

こういった微妙なニュアンスに関わるものは当事者の主観によって説明されることが多いため、第三者には理解しづらいものがありますが、客観的に把握するために、fMRI(ファンクショナルMRI)を活用してHSP気質を持つ人とそうでない人との違いを明らかにする研究もあり、現状、HSPの人は非HSPの人と比べ、脳内の島皮質と呼ばれる領域が活発に働いていることがわかっています。

この島皮質というのは外部から得た刺激を処理し、感覚的な体験や喜怒哀楽といった情動に関与していることがわかっています。

HSPと発達障害の違いについて

HSPと発達障害は所々似ている部分があり、その最大の類似点となるのが「敏感さ」だと言えます。

敏感であればあるほど、外部から受ける刺激が強いために新しい環境が苦手で、小さな物音でも大音量に聞こえてしまい取り乱してしまうこともあります。

広汎性発達障害やADHDの人たちが見ている世界について、「敏感さ」というフィルターを通して覗いてみると特徴的な行動をとってしまう理由がわかると思います。

誰だってシーンと静かな空間で急に大音量の音楽が流れてきたら取り乱してしまいますし、朝起きてカーテンを開けたら太陽の日差しでまぶしいと感じると思います。

それが日常生活の様々な場面で存在する音や光、あるいは温度や匂いなどに対して耐えられないほど過剰に感じてしまうのが発達障害の人が感じる当たり前の感覚なのです。

一方でHSP気質の人もまた「敏感さ」を備えており、その敏感さを活用して瞬時に場の空気を読み取ったり、相手の気持ちに深く寄り添ったりします。その反面、人が一堂に会するような機会や状況は多くの刺激を感じてしまうため苦手としている人が多いです。

ではHSPと発達障害は共通した「敏感さ」が背景にあるので同じものとして考えられるのでしょうか。

いいえ、必ずしもそうとは言えません。HSPも発達障害も言葉上は同じ「敏感さ」というもので説明することができますが、「敏感さ」といっても刺激を感じた時の反応、神経の高ぶり方には違いがあり、「敏感さ」という側面だけを見て語ることはできず、多面的な視点で考えなければいけません。

例えば、HSPと広汎性発達障害では、コミュニケーションの取り方に違いが見られます。HSP気質の人は、相手に対する共感性の高さから、状況に応じて相手に配慮した言葉遣いや言い回しが可能ですが、一方で広汎性発達障害では人の話を聞くこと、話すタイミング、婉曲な言葉の受け取り方などが困難であるため、時には突拍子もない発言で場の空気を凍りつかせたり、気づかずに無意識に相手を傷つける発言をしたりします。

またHSPとADHDに関しても、HSP気質の人は、外部からの刺激に対して内在する自己抑制システムが働いて自己コントロールが可能になり、場に合わない形で突然動き回ったり、落ち着きがなかったりするということはほとんど見られません。その一方でADHDは自己抑制システムの働きが弱いので、環境や状況の変化で多動や衝動に陥ってしまうのです。

HSPが補完的な存在になる

HSPと発達障害には違いがあるものの、場合によっては発達障害の補完的な存在としてHSP気質が関わっていることが考えられます。

『DSM-5』になってからは自閉症もアスペルガー症候群も「自閉スペクトラム症」という形で統合されましたが、『DSM-5』以前の『DSM-4-TR』では「特定不能の広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder-Not Otherwise Specified:PDD-NOS)」というものが存在していました。

このPDD-NOSは、自閉症やアスペルガー症候群といった広汎性発達障害の症状を呈するものの、その程度が診断基準に満たない場合にそのように診断されることがあります。

PDD-NOSを持っている人の中には、自閉症やアスペルガー症候群で言われている感覚とはまた違った感覚を抱いていることも多く、その一方で表面的な行動が共通しているため誤った捉え方をされているケースが少なくありません。

広汎性発達障害の症状では相手の気持ちや感情がわからないゆえに対人的なコミュニケーションのやり取りに難があるとされていますが、PDD-NOSでは相手の気持ちや感情は理解できているが、「相手がどうしてそのような感情を抱くのか分からない」、「どういう言葉が適切なのか判断できない」といった別の問題があり、その結果、人を傷つけてしまう発言や場を乱すような突拍子もない発言をしてしまうことがあります。

PDD-NOSは広汎性発達障害に含まれることから「敏感さ」を持ち合わせています。しかし典型的な広汎性発達障害の特徴とは少しずれており、発達障害の概念では説明できないことがあります。

このような場合、発達障害における感覚過敏とHSP気質が持つ感受性の強さが併存して、少し複雑な発達障害として表面化している可能性があるのではないかと推測されます。その際、発達障害の補完的な存在としてHSP気質が関わっていると考えられるでしょう。

発達障害の原因については完全に解明されているわけではなく遺伝的な要因が有力とされています。またADHDに関して言えば脳内の神経伝達物質の機能異常が症状を引き起こしているのではないかという仮説もあります。

HSPについても生まれ持ったものであるという見解が支持されています。またHSPには外向きのHSPと内向きのHSP、刺激を求めるHSPのタイプがそれぞれあり、一言にHSP気質と言っても、HSPの人全員が同じ特徴を持ち合わせているわけではありません。

そのため発達障害とHSP気質の重なる部分、重ならない部分についてはまだまだ研究途中で、今後研究が進めば両者の類似点や相違点がさらに分かってくるのではないかと思います。

現状、HSP気質に関しては病気ではなくその人の特性や個性として考えられており、一方、発達障害については精神疾患のひとつとして捉えられていますので病気という扱いを受けています。

しかし気質であろうと病気であろうと、重要なのは「自分を知る」ことなのではないかと思います。

発達障害を抱えている人の中には、自分の行動が他人を不快にさせてしまったり、衝動性をコントロールできず迷惑をかけてしまったり、そのことを責めて罪悪感に苛まれることがあります。また最近言われている大人の発達障害に関しても、自分の特性と環境が合わないことで仕事が長続きしない、夫婦生活がうまくいかないケースも見られます。

これはHSPにも言えることで、HSP気質がどういったものなのかを知らずに生活していると、周囲から「ガラスのハート」、「ノミの心臓」、「打たれ弱い」といったネガティブな言葉で片付けられてしまい、自己肯定感が乏しい状態になってしまっているケースが往々にしてあります。

HSPに関しては医学的な見地からの説明がまだ不十分で、どうしても周囲には理解されにくいものがありますが、発達障害に関しては診断されれば周囲のサポートが受けられやすくなります。

ただし置かれている環境次第では周囲のサポートが不足になってしまうこともあり、やはり自分の特性を理解し、自分ができることできないことをはっきりさせておく必要があります。

さらに言えば、自分を守るための手段として自分の世界と周りの世界の間に境界線をしっかり引くことが大切です。特にHSP気質の人は外的刺激を過剰に受け取ってしまうので他の人よりも疲れやすい体質です。

生まれつきの気質や疾患というのは根性論や精神論でどうこうできるものではありません。まずは自分で自分のことを理解し自分の扱いに慣れることが求められるのではないかと思います。

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