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トラブルに巻き込まれない為の当事者同士の関わり方について

LINEやTwitterなどのSNSの発達により、同じ症状で苦しむ人を簡単に探すことができ、なおかつ気軽にやりとりすることが可能になってきました。

今までは、「こんな症状は自分だけなんじゃないか」と思っていたことも、SNSを利用することで同じ症状で苦しんでいた人が実はこんなにも存在していたのかということを知り、希望や勇気をもらえることがあります。

SNSを利用して同じ病気で苦しむ者同士が情報を交換し合って、症状の改善に繋がるというメリットがある一方で、SNS特有のコミュニケーションの難しさゆえ、症状が悪化してしまうことがあるのも事実です。

今回は、気軽に使っているSNSを通じて症状を悪化させない為にも、そして厄介なトラブルに巻き込まれない為にもどうしたらいいのかを考えたいと思います。

当事者同士でも各々の個性は存在する

少し前に不倫騒動で話題になった乙武洋匡さん。

不倫騒動の前にも些細なトラブルがあってニュースになりましたが、それでも今回の不倫騒動において、世間的には乙武さんに対する見方が大きく変わったのではないかと思います。

私自身も、ベストセラーになった『五体不満足』で乙武さんを知り、障害を抱えながらも人生を前向きに生きる姿に感銘を受けました。福祉の面でも教育の面でも功績を残したことはまぎれもない事実だったと思います。

しかし青天の霹靂のごとく、不倫騒動によって乙武さんのイメージは一気に失墜してしまいました。捉え方次第では、これまでの功績が消えてしまうほどのものだと感じます。

もちろん不倫というのは妻の気持ちを踏み弄るだけではなく、子どもがいればその子どもの将来にも大きく関わってくる、見過ごせない問題でもあります。

芸能人と不倫問題については、これまでに数々の芸能人がすっぱ抜かれていますが、その中でも乙武さんの不倫騒動は印象に強く残るものだったのではないでしょうか。

ではなぜ強く残るものだったのか。

それはひとつに障害を抱えていたという部分が大きく関わっているのではないかと思います。

私たちは乙武さんに対して、障害を抱えているからこそ生まれるバイアス(先入観)に囚われていた可能性が高いと言えます。つまり障害ばかりに目がいってしまい、彼の個性というものに対してあまり考えることをしなかったのではないかということです。

もちろんのことですが、本人と直接会うこともメールのやり取りをすることもなく、単に本やテレビを通じて知った乙武さんの個性を知ることは難しい一面もあるでしょう。

しかしそういったものを差し引いても、障害者に対する好意的差別に近い考えのようなものが、不倫騒動に対する衝撃を一層強めたと言えるのではないでしょうか。

好意的差別とは、障害者の安全を配慮するという理由から、障害を抱えている当事者の意思とは関係なく、その周りにいる人が好意的に様々なことに対して気を遣い、その当事者の行動そのものを制限してしまうということ。障害者と言えど欲求は存在し、自分の目的を達成するためにリスク的な行動を取ることは明らかであり、障害者であってもリスクを冒す権利は存在する。

もちろんこういった事例というのは何も乙武さんだけに当てはまるものではありません。

誰しもが持っている個性という部分を考えず、ある一つの事柄によってその全てを判断されてしまうことはしばしば見受けられるのです。

今回のテーマである同じ病気で悩む当事者同士の関わり方についても、その各々の当事者にも個性は存在するわけです。

似たような症状が表れているから、似たような状態で苦しんでいるからという部分で親近感を抱きやすいのは事実です。

しかし抱えている病気というものを上手に治療していくうえでは、その人がどういった個性、気質を持っているかという部分をないがしろにしてはいけません。

治療に際して、一人でじっくり取り組むことを好む人もいれば、集団で一緒に取り組むことを好む人もいます。

同じ病に苦しんでいても病気というものでラベリングするのではなく、その人にはその人の個性があることを忘れてはいけないのです。

SNSでのトラブルになりやすいケースを知る

冒頭にも言いましたが、紛れもなくSNSの普及により自分自身と同じ様に苦しんでいる人と簡単に出会えるようになりました。

それによって病気に関する情報交換であったり当事者同士で励まし合ったり、心理的な閉塞感や孤独感からいくぶん解消されやすくなりました。

しかしその一方で当事者同士でトラブルや諍いに発展したり、カウンセリングを謳ったマルチ商法に引っかかってしまうというケースも目立つようにもなりました。

特に心の病を抱えている人は、長年出口の見えないトンネルの中をひたすら歩いている状況に置かれているので、ある種の特効薬みたいなものを期待して、藁をもすがる思いで解決策や克服法などを探していることでしょう。

そしてそういった理由からSNSを使っている人も多いです。

ただSNSというのは不特定多数の人が様々な考えを持って利用しており、もちろん中には親切心から「無料相談にのります」とか「困りごとがあったら気軽に連絡して下さい」とか言ってきたりしますが、そうではないケースも存在することを忘れてはいけません。

これはあくまでも一例ですが、SNSを使って似たような人を集めて一緒にカラオケや飲み会などのオフ会を開き、そこから個別に連絡を取り合って、最終的に何十万という金銭のやり取りに発展することもあります。

高額な金銭のやり取りに関しては、今まで高齢者をターゲットにしているケースが多かったですが、SNSの普及により、若者を対象にしたケースが増えてきているのも事実です。

またご存知の方も多いと思いますが、日本においてはカウンセリング行為を独占する資格というのが存在しません。カウンセリング職として有名な臨床心理士という資格でさえも、臨床心理士でない者が臨床心理士と名乗ってはいけないというものであって、カウンセリング行為そのものは臨床心理士でなくてもできるのです。

簡単にいえば、元当事者の方などが今すぐに○○専門の心理カウンセラーです!!と名乗ってカウンセリング行為をしても罰せられないのです。

もちろん臨床心理士でなくても、十分な知識や技術がある良心的なカウンセラーの方は少なからず存在しているでしょう。

しかしSNSの特性上、臨床心理士という資格を持っていても、○○専門のカウンセラーと名乗っていても、その明確な違いというのを当事者サイドが見つけにくいという側面もあり、むしろ専門性を謳うことで親近感がわきやすく頼りやすさを感じるのです。

ところがその専門性を謳う人の中には、詐欺的なものであったり、標準治療を否定し自分の治療こそが正解であるとして洗脳に近い行為があったりするケースが少なくありません。

不安障害もそうですが、精神疾患というのは一言二言のアドバイスで改善が期待できるような病気ではありません。そんな一言二言のアドバイスで改善できるのであれば悩んでいる人は少ないはずです。しかし現実は、その病気で苦しみ悩んでいる人が大勢いるのですから、ことの問題はそう単純なものではないのです。

さらに言えば、良識の持った医師や臨床心理士であればあるほど、顔の見えない相手、既往歴やとりまく環境などが不明瞭な相手に対して個人的な助言をすることはほぼないです。またそのような高度な専門職であれば、必ず治療に対する倫理観というものを身につけていますので、SNSでの対応を期待するのはやめた方が賢明です。

SNSの使い方を誤れば、ますます症状の回復から遠ざかってしまいます。節度ある使い方を心掛けるようにしないといけません。

私自身、SNSを通じて心から理解し合える人に出会えた反面、当事者同士の出会いによって心を痛めてしまった出来事もありました。

確かに同じ心の病を抱え、似たような症状に苦しんでいる人との出会いというのは、目の前に一筋の光が差してきたような感覚に近いものを覚えます。

しかし似たような症状に苦しんでいても、その人その人には個性や考え方というものが根底にあり、同じ当事者であってもそういったものが引き金となって不毛な諍いに巻き込まれてしまうことがあるのです。

また心が荒んでいるほど正しい判断力が欠如してしまい、カウンセリングを謳ったマルチ商法に引っかかってしまいやすいものです。辛い現状から早く抜け出したい気持ちはよく分かりますが、残念ながらマルチ商法にみられるような甘い言葉で状況が変わることというのは、ほとんど存在しないことを理解しなければいけません。

SNSは使い方次第では自分にとってプラスに働くことは十分にあります。しかし使い方を間違えてしまえばマイナスに働くこともあるのです。

無意味なトラブルに巻き込まれないように今回挙げた注意点に気をつけて、当事者同士、上手な関わり方をしてほしいと思います。

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