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不安障害に関わる行動抑制という気質について

不安は誰もが感じる感情のひとつですが、その不安に対して過剰になりすぎてしまう人たちがいます。

なぜ過剰な不安を抱いてしまうのか。その背景には行動抑制という気質が関係しているかもしれません。

今回は行動抑制とは何か、行動抑制がどのように不安障害と繋がっていくのかを見ていきます。

行動抑制とは何か

アメリカの心理学者であるJ.Kaganはアメリカの幼児の行動観察に関する研究において、見知らぬ場所や場面において緊張や不安でその場から引きさがってしまう様子を示すタイプが存在することを明らかにしました。

つまり新しい環境に対して不安を感じ回避してしまうというのが行動抑制というものです。J.Kaganの研究結果によれば、割合的には10人に1人の割合で存在するということを示しています。

また行動抑制に関連した別の研究グループ(Clauss&Blackford,2012)では、行動抑制が不安障害のひとつである社交不安障害の発症リスクを高めることを明らかにしています。

しかし気をつけなければいけないのが、あくまでも発症リスクが高いということで、行動抑制を示すからといって必ずしも不安障害になるわけではありません。

さらにJ.Kaganが行動抑制という気質とも取れる傾向は、その後の追跡調査でだいたい7歳ぐらいになると4分の1の子どもたちは行動抑制を示さなくなっていることを証明しています。

なぜ幼児期に見られていた行動抑制が持続しなかったのか、その背景には各々の家庭における教育方針が行動抑制をおさえるようなものであった可能性があると考えられています。

だからこそ家庭環境であったり両親の教育方針であったり、たとえ先天的になりやすさを抱えていたとしても後天的なもので十分に対処できるのです。

行動抑制を示す人が持つ生理的な特徴

行動抑制が働いていると、周りからは「臆病」や「怖がり」と捉えられてしまうことが多いと思います。

しかし当の本人たち(幼い子供たち)は恐怖や不安という感情を本当に抱いていたのだろうか、単に周りにいた大人がそのように判断したにすぎないのではないかという見方もできると思います。

現にHSPという概念を提唱したアメリカの心理学者Elaine N. Aronは、J.Kaganが行った実験に対して、被験者(幼い子供)は怖がっていたのではなく周囲をじっくり観察している姿が周りには恐怖を感じていると映っただけであり、実は周りで起こっている微妙なことを頭で処理していたのではないかと指摘しています。

つまり恐怖そのものの感情よりも、周りの様々な刺激に対して脳が敏感に反応している形が表面的に表れていると捉えることができるということです。

ただこの点については高い感受性を示すHSPという性質、そして行動抑制の特徴、その両者に類似性が見られるため、その違いを明確にするよりも、両者を含め脳内に存在する行動決定のシステムがどう反応しているのかというのが鍵を握ると思います。

ところで行動抑制について、J.Kaganは研究で幼い子供たちに特徴的なストレス反応が確認できたことを示しています。

例えば、ストレスに対する実験において彼らの血液や唾液などの体液を調べてみると、脳内にノルエピネフリンがかなり分泌されていることが分かりました。

ノルエピネフリンというとほとんどの人が初めて聞く言葉だと思いますが、ノルエピネフリンはアメリカで知られている言葉で、日本だとノルアドレナリンで知られている言葉です。

ゆえにノルエピネフリンもノルアドレナリンも名前は違えど同一物質で、その作用は神経を高ぶらせ心拍数や血圧を上昇させる働きがあり、また不安や緊張にも密接に関わっている神経伝達物質です。

私たちの日常生活において、朝起きて覚醒し意識がはっきりするのはノルアドレナリンが正常に分泌されているおかげであり、仮にノルアドレナリンの分泌が不足してしまうとうつ病の原因にもなります。

そのため分泌しない方がいいということではなく、しかるべき時に正しく分泌されているかが重要だと言えます。

ただし過剰すぎる分泌は情緒不安定になって自分を傷つけてしまうことにもなるので注意が必要なのです。

またJ.Kaganはその他にも行動抑制を示すような子どもたちは示さない子どもたちに比べてコルチゾールを多く含んでいたことも明らかにしています。

コルチゾールというのは神経が高ぶっていたり、何かに対して警戒したりする時に分泌されるホルモンです。

つまり自分にとって恐怖と思えるようなことに出くわすことでコルチゾールは平常時よりも多く分泌され、その作用は時には数日間続き、その間身体も絶えず緊張し敏感に反応しやすくなります。

またコルチゾールの分泌は睡眠問題にも関わってくることが分かっており、コルチゾールの分泌が通常より多くなればなるほど睡眠の質が悪くなってしまいます。

やはり行動抑制を示す人ほど不安や恐怖に対して敏感に反応し、身体的な反応として緊張しやすさが露呈してしまい、そのこともまた社交不安障害をはじめとした不安障害に繋がっていくと考えられると思います。

今回、行動抑制というワードから不安障害との関連性について見てきました。

行動抑制とは新しい場所や初対面の人など、自分にとって新しい環境や存在となるものに対して不安を感じ回避してしまう傾向のことを指し示します。

また行動抑制を示す人には、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)やコルチゾールの分泌量が多く、生理学的に見ても不安や恐怖に対して過剰なまでの敏感さを持っていることが分かります。

不安障害のなりやすさについて、行動抑制という気質が関わっていることは研究結果でも示されていますがそれが全てというわけではありません。

幼少期の頃の養育環境や教育方針によって行動抑制自体を抑え込むことは十分に可能なのです。

ただ行動抑制というのは研究からも分かる通り生まれつき備わっている能力のひとつであると見受けられます。そのため養育環境などによって行動抑制を上手に抑え込んでも、物事に対する敏感さというのは一生涯続くと思います。

しかしながら敏感であることは決して悪いことではありません。敏感さとも関係が深い、思いやりや気配り、周りに対して配慮できる人というのは人望も厚いですし頼れる存在であると思います。

大切なのは敏感である部分を現代社会の中でどう活用していくのか、本人だけではなく周りにいる人たちも一緒に考えていけるといいのではないかと感じます。

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