不安障害に関する症状や原因、治療法などについて、その当事者や家族、また不安障害を知らない人に向けての正しい理解を目指した特化サイトです。

不安障害ラボ

不安障害に関する症状や原因、治療法などについて、その当事者や家族、また不安障害を知らない人に向けての正しい理解を目指した特化サイトです。
>>当サイトの詳しい説明はコチラ

  1. TOP
  2. 治療法
  3. 森田療法とは!?手順、効果、特徴について

森田療法とは!?手順、効果、特徴について

社交不安障害や強迫性障害の症状を改善するための治療法ってたくさんありますよね。

SSRIや抗不安薬といったお薬を使う治療から認知行動療法や曝露療法などの心理療法を利用した治療まで色々あります。その中で日本人の文化的背景をベースにした特有の考え方であったり価値観であったり、そういったものに着目して、まさに日本人向きとも言われている治療法があります。

それが森田正馬先生が創設した森田療法というものです。森田療法自体は1919年に提唱され、その当時は日本人の関心が少なく、むしろ海外の人によって評価されていた療法でした。

しかし今日では、森田療法が精神医療やカウンセリングの中に取り入れられており、また森田療法を紹介した本や記事も多くあるので、その名前を知っている日本人も多いのではないかと思います。

森田療法を一言で言うなら「あるがまま」ということだと思いますが、「あるがまま」と言われてもピンとこない部分もあるでしょう。

今回、森田療法の特徴や効果について、どういった療法なのか、どういった人に向いているのかなどを一緒に見ていきたいと思います。

森田療法の特徴

不安をあるがままとする

森田療法の特徴を知るために、SSRIや抗不安薬といったお薬を使った治療と比較したいと思います。

不安障害は精神疾患として認められていますので、病気というくくりになります。

そして病気には必ず原因となるものが存在し、その病気を治すためには原因を除去しようというスタンスで治療が施されます。

不安障害の原因は、主に「病的な不安」なのですが、この不安という異物を取り除くために、不安に効果があるとされるSSRIや抗不安薬といったお薬が使われるわけです。

不安を異物として考え除去しようとするスタンスは、欧米から伝わってきた心理療法も同じ考えです。

しかし森田療法では、この不安という感情は誰しもが抱く当たり前の感情であり、また正常なものであるので、正常なものをどうして異物と考えるのか、除去しようという考え方が間違っているのではないかと考えるところにあります。

そして不安という感情は、人間が本来備え持っている心理的メカニズムのひとつであり、また自然の法則に過ぎず、病的なものとしてみなさない、「不安は不安なままに、あるがままにしておこう」という考え方が生まれてくるのです。

この「あるがまま」という心の持ち方を構築して、不安障害を治療していこうというのが森田療法なのです。

目的本位の「あるがまま」

「あるがまま」という心の持ち方を自分の気持ちに対して忠実に行動することと解釈してしまうと、本来の森田療法から外れてしまう可能性があるので注意が必要です。

例えば、「人と会って話すのが嫌だから人に会いたくない」、「人前で緊張して赤くなるのが嫌だから人前を回避したい」というのは、自分の気持ちに忠実に従って、まさに「あるがまま」の状態であると言えそうです。

ただ人間の欲望には二面性があります。苦痛や困難から逃れたいという欲望と自分の目的をよりよく実現したいという欲望です。

先程の例だと、嫌な気持ちや恥ずかしい気持ちから逃れたいために、その気持ちに沿って「あるがまま」という心の持ち方をしているのが分かりますので、苦痛や困難から逃れたいという欲望です。

しかし、人と会って話すのが嫌なのはどうしてだろう、人前で緊張して赤くなるのが嫌なのはどうしてだろうと考えると、その裏には、「よりよく人と接したい」、「よりよく人から愛されたい」、「よりよく自己表現したい」など、自分の目的を実現したいという欲望があることが分かります。

つまり不安の裏にある欲望、森田正馬先生の言葉を借りるなら人間の生の欲望(向上しようとする気持ち)を目標として、それに向かって本来行動していかなければいけないのです。

そしてその方向を「目的本位」といい、人と会って話すことの不安、人前で赤面することの恐怖を「あるがまま」にしながらも、よりよい自己実現のために、目的本位の「あるがまま」の気持ちに目を向けていくことが求められるのです。

森田療法のやり方

森田療法は入院によるものと外来によるものに分かれます。

入院によるものでは、まず日常的な外界から遮断し、臥褥(静かに寝ていること)を行って自分自身の不安や葛藤と向き合います。

強い不安を持っている人ほど寝ている間に不安が湧いてきて苦悶します。しかしその裏では生の欲望が抑えつけられている状態なので、臥褥期を通じて「生の欲望を発揮したい」ということを呼び起こすのが目標になります。

次に、生の欲望を日常生活における様々な作業に移し替えていきます。ただいきなり本人が強い不安を感じさせるような作業ではなく、軽い作業を通じて簡単に身体を動かす程度に留めます。

そして段々と当たり前の日常生活を通じて、生の欲望をいかしていけるよう習慣づけていきます。生の欲望が習慣づけられることで不安を排除するのではなく、不安を抱きながらも生活できることが可能になっていきます。

最後に、現実社会でも不安を受け止めたまま、時には予期不安を抱いてもそのままにして、仕事や学業を続けていく訓練をしていきます。

一方、外来によるものでは、入院によるものと違って具体的な生活の指導ができないので日記を活用します。

日記を通じて生の欲望を呼び起こし、さらにいかしていけるような動機づけを行っていくことが大切になります。

外来によるものでも最終的には、現実社会において不安を受け止めたまま行動できるようになることが目標です。

森田療法が合っている人

森田療法がすべての人に適するかというとそうではなく、どちらかというと神経質な性格の持ち主に適しています。

森田先生が創った言葉に「ヒポコンドリー性基調」という言葉があります。

「ヒポ」とはギリシア語で「~の下」、「コンドリー」とは原形は「コンドル」、意味としては「胸のあたりの肋骨」を指します。つまり「ヒポコンドリー」というのは人間の身体における胸部の下あたりを指します。

私たちはストレスが増えたり悩みや不安を抱えたりすると、胸が圧迫されて苦しくなることがありますが、まさにこの言葉はその状態を表しています。

またそういった状態になりやすい人こそ神経質な性格の持ち主と言えます。

もう少し神経質な性格について見ていくと以下のような特徴が見受けられます。

  • 完璧主義
  • 「~すべき」、「~しなければ」というべき思考を持つ
  • 心配性
  • こだわりが強い
  • 自己内省的で自己批判しやすい
  • 物事を引きずりやすい

神経質な人ほど完璧主義で、自分の中にあるこだわりが強く現れます。そのため自分の中の弱い部分を受け入れることができず、理想とする自分像との間で葛藤を招きやすいのです。

例えば、「人前で赤くならずに堂々と話したい」という理想があったとします。しかし実際のところは、理想とかけ離れて人前に立つと緊張もしますし、注目されて顔が赤くなってしまうこともあります。緊張して赤くなってしまう自分が許せない、次こそは緊張しないようにと意識しますが、意識すればするほど緊張しやすくなってしまいます。

こうなってしまうと、本人はある種の「とらわれ」に取りつかれている状況なので、現実から背を向けてしまいます。ひいては、自分に対する劣等感を強め、自尊心を傷つけてしまうわけです。

このような状況に陥っている神経質な性格の持ち主には森田療法が効果を発揮します。

森田療法の問題点

社交不安障害や強迫性障害を持っている人に対して森田療法を用いて回復している人がいる反面、森田療法を用いても回復しないケースも存在します。そこには森田療法の問題点があるからです。

その問題点とは何でしょう。

そもそも森田療法とは不安を病的なものとして見なさず、不安は不安のまま、「あるがまま」にまかせておけばいいという前提で治療が行われます。そして「生の欲望」を目標に、それに向かって行動していくことが大切になっていきます。

ところが社会や家族構造の変化に伴い、社交不安障害や強迫性障害を持っている人の中には、いかに生きるべきか、どう自己実現すればいいのか、などの人生の羅針盤とも言えるものをそもそも持っていない、つまり「生の欲望」が低いと言える人がいるのです。

社交不安障害や強迫性障害の根底に必ずしも神経質な性格があるわけではありません。遺伝的なもの、環境的なもの、社会的なものなど様々なものが絡み合って発症しているので、森田療法にも限界があるのです。

その場合は、お薬を利用したり別の心理療法で治療したりすることになるでしょう。

森田療法をもっと知りたいならこの一冊

森田療法をもっと知りたいという人にオススメの一冊があります。

岩井寛著の「森田療法 (講談社現代新書)」です。

この本は森田療法の全体像をつかみやすく、特徴や核である「あるがまま」とは何か、神経質な人が陥りやすい「とらわれ」や「はからい」の心理など、一歩踏み込んで森田療法をもう少し詳しく知りたいという人には読んで損はないと思います。

この本を足掛かりに森田正馬先生の著書を読み解いていくのもいいでしょう。

またこの本自体、岩井先生自身がガンに冒されながら、死を目前にしながら、目的本位の「あるがまま」の行動を貫いて書き上げた生の報告書でもあり、別の意味で価値のある本だと思います。

内容自体はもちろん森田療法の話ですが、哲学的な一面も含んでいるので、自分自身が今まで気付かなかったことに気付くヒントをもらえるのではないかと感じます。

社交不安障害の治療ガイドラインを見ると、治療のプロセスはパニック障害と重なっているところがあります。

しかし社交不安障害が思春期に発症しやすいことを考慮すると、パニック障害と同様の治療(お薬を中心としたもの)が果たして適切かどうかという疑問も出てきます。

むしろ森田療法のように不安を病的なものとして見なすことなく、不安に対する正しい捉え方や対処法を身につけていけば、自分自身の力で健康的な身体を取り戻せるのではないかと思います。

もちろん森田療法も完璧ではありません。治療内容が合う合わないはあるでしょう。

ただ森田療法の考え方というのは、仮に心の病になっていなくても、人がよりよく生きていくために必要なことなのではないかと思います。

不安に感じることに対して拒否すればするほど、その不安がまた不安を呼び悪循環に陥ってしまいます。不安を感じるのは当たり前のこととして、不安をあるがままに受け止め、その不安の背景に隠れた「生の欲望」を大切にしていくことは、人生に立ちはだかる障害を乗り越える力になっていきます。

森田療法を創設した森田正馬先生自身も神経質で苦しみ、その克服過程で森田療法を創りあげています。社交不安障害や強迫性障害などの不安障害を持っている人の中には、森田療法が合っている人もいると思いますので、試してみる価値はあるのではないでしょうか。

スポンサードリンク

アーカイブ

月別一覧
年別一覧

profile

管理人:ミヤシタソウジ

プロフィールの詳細はコチラ

当サイトの説明はコチラ

Twitter:@soji_miyashita

当サイトに関すること、その他個別の問い合わせがありましたらメールにてお願いします。

Gmail:soji.miyashita★gmail.com
(迷惑メール防止のため、送る際は★を@に変えてください)

PAGE TOP