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パニック障害と過換気症候群の違いは!?症状、原因の違いを分かりやすく

私たちは呼吸が出来なくなると死に至ります。

日中活動している時も夜中寝ている時も絶えず私たちは呼吸をしています。

しかし時として、必要以上に呼吸をしすぎることによって血液中の二酸化炭素の濃度が低下し頭痛やめまい、手足のしびれ、痙攣といった症状が表れることがあります。いわゆる過呼吸という状態です。

過呼吸はパニック障害によるパニック発作が起きた時に見られる状態でもあるのと同時に過換気症候群と呼ばれる呼吸器系の疾患でも見られる状態です。

両者はしばしば混同されがちな疾患であるものの、厳密には言えば医学的に違うものとして認識されています。今回は両者の違い、対応策や処方について見ていきたいと思います。

過呼吸とは何か

最初に過呼吸についてですが、「過呼吸」という言葉は少なくとも一度は見聞きしたことのある言葉だと思います。それゆえどういった状態を指し示すか見当がつく人が多いのではないでしょうか。

過呼吸に陥っている人は呼吸が浅く、速い呼吸を繰り返し行っているのが特徴的です。そのような状態に陥ってしまうと胸が苦しく、呼吸がしづらくなっていることから、本人は必要以上に呼吸数を増やし酸素を取り込もうとします。しかし体内ではその逆で二酸化炭素が不足しており、血液中の二酸化炭素の濃度が低下することで息苦しさを招いてしまいます。

本人は「酸素が足りない」と認識するものの、本当に足りないのは二酸化炭素なのです。だから必死に呼吸をして酸素を取り入れようとするのは誤った行動なのです。

ここで体内における二酸化炭素の役割について確認したいと思います。

過呼吸に陥ると頭痛やめまい、手足のしびれ、痙攣といった症状が表れますが、その原因をつくっているのが「二酸化炭素と酸素のバランス関係」です。二酸化炭素には血管を拡張する作用があります。そのため血液中の酸素の割合が高まり二酸化炭素の割合が低くなることで血管が収縮し、体内の隅々にまで酸素が運ばれにくくなってしまいます。

かといって二酸化炭素ばかりというのも問題で、血液中の二酸化炭素の濃度が高くなりすぎると血中のpHが酸性に傾き、その結果、脳の神経を麻痺させてしまうことがあります。

それゆえ脳の延髄において血中のpHが酸性に傾いている状態を補正するために呼吸を促し、二酸化炭素を体外に排泄させるようにするのです。

血液中の酸素と二酸化炭素のバランスが非常に重要であり、どちらが多すぎても少なすぎてもいけないのです。

過呼吸に陥った人が紙袋を口に当てて呼吸する姿を見たことがある人も多いと思いますし、以前ならば病院でもそのような対応をしていたと思います。

酸素ではなく自分の吐いた息を吸って二酸化炭素を取りこませることを目的として紙袋を活用するわけですが、この方法は血液中の酸素濃度が低くなりすぎて低酸素に陥ってしまう可能性があり、最悪、死亡させてしまう危険性があることから推奨できない対処法とされています。

過呼吸は十分に酸素が足りている状態でもあるので、現在ではそのことを本人に伝え、なるべく慌てず落ち着いて呼吸のリズムを整え、場合によっては意識的に呼吸を遅くしたり止めたりして症状の改善を図ります。

過換気症候群とは

強い不安や極度の緊張などによって呼吸が浅くなってしまい過呼吸に陥ると、血液中の二酸化炭素の濃度が低くなりすぎて血中のpHがアルカリ性に傾きます。それによって様々な身体症状が表れる状態を過換気症候群と言います。

過呼吸と過換気症候群はほぼ同類として考えられますが、過呼吸というのはひとつの現象であって、誰しもが血液中の二酸化炭素の濃度が低くなってしまえば息が苦しくなって頭痛やめまい、手足のしびれ、痙攣などの症状が起こります。

また過呼吸は他の疾患でも見られることもあり、例えば肺塞栓や気管支喘息、心不全、脳腫瘍などによっても過呼吸は起こります。そのため症状のみですぐに過換気症候群というものではなく、様々な検査を経たうえで異常が見られない場合に過換気症候群の可能性が高まります。

精神的な不安や緊張から過呼吸に陥り過換気症候群になってしまうことを考えると、心因性の要因が強いと言えるでしょう。

当事者は不安が強すぎて普段リラックスしている時の呼吸ができなくなっていることが多く、まずはできるだけ安心させてゆっくり呼吸するように促すことが求められます。一般的には予後は良好で、時間が経てば次第に症状は改善していきます。

パニック障害とは

パニック障害という名前が付いていることから、主な症状はパニック発作にあります。ではパニック発作というのはどいうものなのでしょうか。具体的に見ていくと以下に示す13の症状にまとめることができます。

  1. 動悸や心拍数の増加
  2. 発汗
  3. 身体の震え
  4. 息切れ感や息苦しさ
  5. 窒息感
  6. 胸の痛み、胸部の不快感
  7. 吐き気、腹部の不快感
  8. めまい感、ふらつき感、気が遠くなる感覚
  9. 寒気またはほてり
  10. 感覚が麻痺する、うずくなどの異常感覚
  11. 現実的ではないという現実感消失または自分自身が離脱しているという離人症状
  12. 抑制力を失うことによる恐怖、気が狂ってしまうことによる恐怖
  13. 死ぬかもしれないという恐怖

これらのうち少なくとも4つ以上が突然表れて、数分以内にピークに達する場合にパニック発作と呼ばれます。

動悸や心拍数の増加、身体の震え、息切れ感や息苦しさ、窒息感などの症状は、まさに過呼吸に陥った時に見られる症状ですね。

突然の心拍数の増加、息切れ感や窒息感などで「このまま死んでしまうのではないか」という恐怖を訴えて、心臓発作かもしれないと病院に駆け込むものの、検査結果は正常で実はパニック障害だったというケースも少なくありません。

パニック発作が起これば全員がパニック障害というわけではなく、『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』によれば、パニック発作が繰り返し起こることに加えて、以下に述べることが少なくとも1つ、そしてそれが1カ月以上続いていることがパニック障害の要素を満たすことになります。

  1. さらなるパニック発作に発作またはその結果について持続的な懸念や心配(例:抑制力を失う,心臓発作が起こってしまう,”どうかなってしまう”)
  2. 発作に関連した行動の意味のある不適応的な変化(例:パニック発作を避けるような行動)

-American Psychiatric Association(高橋三郎、大野裕、染矢俊幸ほか訳)『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』医学書院より引用-

パニック発作が1カ月以上繰り返し起こることに加えて、「パニック発作がまた起きたらどうしよう」という予期不安、パニック発作が起こりそうな状況を回避する選択行動が条件としてあります。

典型的なパニック障害によるパニック発作は予期せぬ時に起こります。パニック発作だけで死ぬということはないものの、突然の発作が死を想起させるほど苦しいものなので、そのイメージが脳裏に焼き付いてしまい予期不安となって残り続けるのです。

繰り返し起こるパニック発作とそのパニック発作によって生まれる予期不安、そして予期不安によってパニック発作が起こるような状況や場所の回避、このような一連の流れがパニック障害の特徴を映し出しています。

パニック障害と過換気症候群の違い

パニック障害によるパニック発作、過換気症候群での過呼吸、両者は強い恐怖や不安を感じることで誘発されることもあり、またパニック発作と過呼吸はオーバーラップしている点が多いことも示されています。

脳の延髄に存在する呼吸中枢の神経細胞が血中のpHが酸性に傾くことで反応し、二酸化炭素を体外に排泄させるるために呼吸を促進させますが、当然、過剰すぎてしまうと必要以上に呼吸することになるため、過呼吸に陥ってしまいます。このメカニズムはパニック発作でも起こり、パニック障害を患っている人のなかには、普段の生活で軽い過呼吸に陥っていることがあります。

しかしパニック障害によるパニック発作は症状のひとつにしか過ぎず、パニック発作=パニック障害というわけではありません。その他にも予期不安による回避行動や広場恐怖を伴うことがあります。

またパニック発作は精神的な不安や緊張を感じる場面や状況以外にも、何か強いストレスから解放された瞬間やリラックスした時に起こることがあります。必ずしも不安や緊張が背景にあって起こるわけではなく、気分が安定していても起きてしまうのがパニック障害なのです。

そしてパニック障害は「気のせい」や「甘え」とかの感情論や根性論で片付けられるものではなく、脳内における神経伝達物質(セロトニン系やノルアドレナリン系)の異常によるものであることが分かっていますので、一般的にはお薬による治療と併用して心理療法が施されます。

一方で過換気症候群における過呼吸というのは、それ自体が主体となっている症状です。過呼吸のために何か特別な治療をするというわけではなく、過呼吸がおさまれば症状が次第に改善されるため、鎮めるための処置が行われます。だからこそ日本呼吸器学会において過換気症候群は呼吸器系の疾患として位置付けられていると言えます。

とは言うものの、パニック障害と過換気症候群は合併していることも多く、慢性的な過換気症候群を経てパニック障害を発症してしまうこともあります。

普段から過呼吸に陥りやすい人は、自分がどういった状況や場面で過度の緊張や不安が起きてしまうのかを把握し、そういった場面では自律訓練法や漸進的弛緩法、丹田を意識した丹田呼吸法を取り入れて、呼吸を上手にコントロールする必要があるでしょう。

過呼吸という現象は「酸素」と「二酸化炭素」のバランスが崩れることによって表れ、それはパニック障害でも過換気症候群でも見られる症状でもあります。

しかしパニック障害の症状はパニック発作だけではなく、一度経験したパニック発作がきっかけとなって起こる「予期不安」、予期不安を伴うことで生じる「広場恐怖」が存在しています。またパニック発作は予期せぬ時に起こりやすく、「このまま息ができなくなって死んでしまうのではないか」という死の恐怖、心臓発作に匹敵するほどの動悸・心悸亢進が脳裏に焼きつき、恐怖の条件付けが形成されます。

またパニック発作がリラックスした時にでも起こってしまうことから、必ずしも精神的な不安や緊張が引き金になっているというわけでもなく、過呼吸だからパニック障害という決めつけは危ないでしょう。もしかしたら過換気症候群かもしれません。

しかしパニック障害も過換気症候群も、過剰なストレスによって肉体的な負担、精神的な負担が重くのしかかり、過呼吸を引き起こしやすい状態を作り上げてしまった結果の末に発症することが多いので、日頃から自分の身体のコンディションに目を向けることが大切ですね。

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