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パニック障害における自動思考を理解しよう

パニック障害を改善するためには、お薬を使うことが一般的ですが、症状が悪化し予期不安から外出が困難になったり、パニック発作で死んでしまうのではないかと感じたり、パニック障害に見られる自動思考に陥ってしまうことで、症状の治りが悪くなってしまうことがあります。

その場合、お薬と併用する形で認知行動療法が用いられます。認知行動療法というのは考え方の癖に着目した心理療法です。

私たちはあるモノに対して、そのモノが持っている特徴をありのまま見ているわけではなく、自分の捉え方や考え方を通じて見ています。

心理学的には<認知>という言葉で呼ばれていますが、認知が極端に偏っていることにより、不安や恐怖に直面した時に、ネガティヴな感情と一緒に沸き起こってくる「自動思考」というものがマイナスの方へと傾いてしまって、行動様式や身体に悪影響を及ぼしてしまうのです。

今回は「自動思考」をテーマに、パニック障害に見られる自動思考がどういうものなのかということを具体例を交えながら見ていこうと思います。

パニック障害における自動思考とは

パニック障害における自動思考として頻繁に見られるものに、「このまま死んでしまうのではないか」という死に対する恐怖、「発作が起きて今いる場所から逃れられないのではないか」という状況に対する恐怖、「軽い息切れ状態でも、このまま呼吸が止まってしまうのではないか」という生理的感覚に対する恐怖があります。

そもそもパニック障害に見られるパニック発作というのは、何の前触れもなく予期せぬ時に襲ってきますので、命が脅かされるように感じてしまいます。

「このまま死んでしまうのではないか」と思ってしまうのも頷ける話で、次もまたそのような状態に陥ってしまうかもしれないという不安から、不安が不安を呼び、悪循環にはまってしまうのです。

一度経験した恐怖が認知の偏りを強めてしまい、ネガティヴに傾いた自動思考を引き起こしてしまいます。

死に対する恐怖

パニック障害で見られる自動思考で最も多いものが死に対する恐怖だと思います。

死に対する恐怖は誰しもが持っているもので、パニック障害だから特別というわけではありませんが、パニック発作をきっかけに少し呼吸が乱れただけでも死を想起するようになってしまうことがあります。

さらに、次にパニック発作が起きた時に自分をコントロールできなくなるのではないかという不安を招いてしまい、その不安が拡大していくと、気が狂うような感覚、現実感の喪失などを感じるようになってしまいます。

パニック発作の感覚は心臓発作に似ていると言われていますが、パニック発作を経験する前に心臓発作を経験していることはほぼ無いので、突然襲いくる発作を心臓発作と勘違いしてしまうのも無理ありません。

そのため、最初のパニック発作がきっかけとなって、過剰すぎるほど死に対する恐怖がつき纏うようになってしまうのです。

そしてパニック発作が死と結びついて、発作そのものがひどく恐ろしいものだと考えてしまうと、さらなる不安を引き起こし、症状が慢性化していきます。

行動様式や身体の感覚もパニック障害になる前と後では大きく変化するのです。

状況に対する恐怖

パニック発作を経験することで、パニック発作が起きた場所や状況、あるいは起きるかもしれない場所や状況に対して恐怖を感じてしまい、誤った認識のパターンにはまってしまうことがあります。

このような場所や状況に対する恐怖の背景には、パニック発作になった時にその場所から逃れられない、助けを求めることができないという思考が基になっています。

電車やバスに乗ることが不安に感じてしまう当事者も多いと思いますが、そのような場所で不安を引き起こしてしまうのは、もしパニック発作が起きてしまったらその場所から逃れられない、助けを求めることができないという自動思考が沸き起こってしまうからです。

さらに、電車内でパニック発作が起きた場合、電車以外の類似した場所、例えばバスや飛行機、またその時の状況が閉鎖的だったのなら、例えばエレベーターや映画館などの逃れられない空間に対して恐怖や不安を感じてしまい、だんだんと行動範囲が狭まってしまいます。

生理的感覚に対する恐怖

パニック発作によって、パニック発作を起こす前と後では、生理的感覚に対する恐怖が引き起こされてしまうことがあります。

例えば、軽い息切れ状態であっても、「このまま呼吸が止まってしまうのではないか」と思い込んでしまいます。他にも、目眩があると「気を失ってしまうかもしれない」と誤解してしまいます。

パニック発作が起きた時の状況を考えれば、身体反応に対して強烈な恐怖を感じてしまうのは無理もないことかもしれません。

しかし、本来誰もが持っている感覚に対してまで過剰に危険視してしまうのは、やはり誤った信念が背景にあるからと言えるでしょう。

自動思考を理解する必要なのはどうしてなのか

パニック障害が辛く苦しいのには、予期不安が大きく関係しています。

予期不安があるからこそ必要以上にあれこれ考えてしまい、その結果、身体症状が顕著になってしまったり、極端に行動範囲が狭まったりします。

この予期不安を緩和もしくは解消していかない限りはパニック障害の症状も良くなりません。

では予期不安を引き起こしているものとは何でしょう。

その答えがまさに「自動思考」であり、また自動思考を支えている「スキーマ」と呼ばれる、自分自身が抱いている中核的な認知概念なのです。

「スキーマ」は、その人がこれまで生きてきた中で経験してきた出来事から身についたものです。また大部分は無意識化されているため、どういったものなのか意識的に把握することは難しく、スキーマを経て沸き起こってくる自動思考によって把握することができます。

スキーマや自動思考というのは人間が持っている心の構造でもあり、それ自体を無いものにすることはできません。

また自動思考が悪いということでもなく、自動思考をネガティブな方向に傾いてしまっている状態が問題なので、自分自身がどのような自動思考を持ちやすいかを把握して、共通してみられる認知の癖や認知の歪みというものを見つけ出す必要があります。

認知の歪みについてはこちらの記事にまとめていますので参考までにどうぞ。

ではパニック障害に見られる自動思考について、どのような流れでパニック障害の症状を形成しているのか見てみたいと思います。

以下の図をご覧ください。

混雑した映画館、満員電車、エレベーターの空間などのどれもパニック障害を患っている人にとっては辛い状況や場所だと思います。このような場所に遭遇した時、「パニック発作が起きて外に出られなかったらどうしよう」という自動思考が沸き起こってきます。

ニュートラルで、正常な思考であれば、「たくさん人がいるな」とか「狭い空間だな」とか、客観的な視点でその場の状況を把握することができるのですが、一度こういった状況でパニック発作を起こしていると「次もまたパニック発作が起きたらどうしよう」という漠然とした不安に襲われ、不安感情と一緒に逃走・闘争反応として吐き気や息苦しさ、発汗、震えなどの身体的な症状が表れます。

そして頭の中が不安でいっぱいになってしまい、その結果、パニック発作が起きそうな場所や状況の回避に繋がっていきます。

この流れはどこかで断ち切らない限りは永遠とループして、また、ループを繰り返えす度に症状が強化されてしまうため早期の対応が必要不可欠になります。

パニック障害の治療法としてはお薬によるものと心理療法によるものがありますが、症状が極めて強く表れている場合は、脳の機能的な問題として不安のコントロールが上手くできないので、お薬を服用して過剰な不安を抑える必要があります。その後併用する形で認知行動療法や曝露療法などの心理療法を行っていくことで症状の改善に繋がっていきます。

さらに認知行動療法や曝露療法がより効果を発揮するためにも、自分自身がどのような自動思考を持っているのか把握することが大切です。

同じパニック障害であってもどのような自動思考を持っているかは各々で違います。自分自身の自動思考がどういったものなのか明確にすることで適切な治療に繋がりやすくなります。

よくある勘違いなのですが、パニック発作=パニック障害というわけではありません。誰にでも状況次第ではパニック発作が見られるものなのです。

しかしパニック障害を抱える人たちは、その発作を上手に対処することができない状態に陥っており、そして「またパニック発作が起きるかもしれない」という予期不安に駆られ、回避行動や安全保障行動に走ってしまうのです。

その背景にはもちろん自動思考が関係しており、パニック発作がきっかけでネガティブな自動思考に傾いてしまったケースもあれば、発作が起きる前からそのような自動思考だったケースも考えられます。

いずれのケースであっても、自動思考のパターンを見直していかなければ回復の兆しは遠のいてしまいます。

パニック障害におけるパニック発作というのは予期せぬ時にやってきます。時には寝ている最中にやってくることもあります。「なぜパニック発作が起きたのか」、その直接の原因というのはなかなか見えてきません。

それゆえ発作の原因となっていることをあれこれ探すよりも、自動思考によって表れる行動パターンに着目して、そこから自動思考に目を向けて認知の歪みを修正していくことが、パニック障害の治療には求められるでしょう。

自動思考というものは、根底に「スキーマ」があるので短期間で劇的に変わるというのはあまりなく、継続的な取り組みによって少しずつ変わっていくものです。

時間がかかるかもしれませんが、治療不可能という病気ではないので、「必ず治る」と信じて前向きに取り組むことが大切です。

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