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大人と子どもの社交不安障害の違いについて

社交不安障害は約75%の人が8~15歳までの間に発症すると言われています。平均にすると約13歳です。

13歳前後というと思春期にあたりますが、この多感な時期に「自分とは何か」という自我の目覚めであったり、自分と他者の比較だったり、多かれ少なかれ自分に対する注意が向きやすい頃なのではないかと思います。

社交不安障害というのは、簡単に言えば、他者からの評価、その中でも否定的な評価に対する恐れがその根底に強くあります。人前での自分の振る舞いや言動が他者に不快な思いをさせていないか、自分が変な人間だと思われていないかという思考に支配されてしまい、結果的に対人場面に対して著しい不安や恐怖を感じてしまいます。

社交不安障害の当事者なら、一度は周りから「気にしすぎ」と言われ理解が得られない経験をしたことがあるのではないでしょうか。

ましてや発症の大半が思春期の頃なので、性格と決め付けられやすいのも特徴です。

性格と決めつけられたまま成長してしまうと、一生治ることはないと思いこんでしまい、元々持っていた素敵な能力を生かしきれずに苦しみながら人生を送ってしまう結果になってしまいます。

そのためできるだけ早く発見し、治療に結び付けていかなければいけません。

ところがどうしても子どもの社交不安障害というのは大人の社交不安障害と比べて見つけにくいという欠点があります。その理由として真っ先に挙げられるのが周囲にいる大人の無理解です。

とりわけ学校という場においては、全ての先生が社交不安障害に対する正しい理解を持っているとは限りません。むしろ持っていないことのほうが大半ではないでしょうか。

今回、社交不安障害の正しい理解を求めて大人と子どもの社交不安障害の違いを確認していきたいと思います。

子どもの社交不安障害

対人不安を感じる心の病というのは実は社交不安障害以外にも見られるもので、必ずしも対人不安や対人恐怖があるからといって社交不安障害と診断されるわけではありません。

社交不安障害の場合では、恐怖や不安に対して不合理性を認識しているかどうかがポイントのひとつに挙げられます。

例えば、人前で何か発表しなければならなくなった時、少なからず身体が緊張状態になるのではないでしょうか。しかしこういった緊張が起こるのは、周囲の視線が必然的に自分に注がれるためであり誰にでも感じるものです。注目している人数が多ければ多いほど、あるいはその人にとって大切な場面であればあるほど顕著になります。

この場合の緊張を伴う不安は理にかなっている不安なので、合理性があり社交不安障害とは呼びません。

また別の例として、言語障害や吃音などの症状があって、「人前で話すと笑われるのではないか」と感じているのであれば、その気持ちは症状に直に関係する合理的な不安であるので、こちらの場合も社交不安障害には該当しません。

ではどういった状態が社交不安障害に該当するのでしょうか。

先程、人前で何か発表しなければならなくなった時には誰もが少なからず緊張状態、そして不安を感じると言いましたが、その不安というのは大体が発表をする直前であったり発表し始める瞬間であったりします。発表が終わりに近づけば、緊張や不安が軽減されていき、ある程度安堵感というものが表れるのではないかと思います。

ところが社交不安障害になってしまうと発表の数週間前から、重度の人だと何カ月も前から絶えず不安を感じて、そのことばかりに囚われてしまい、またその期間中はひどい発汗や動悸、吐き気なども見られたりします。

本人もまた、その不安に対して明らかに過剰である、不合理的であることを認識しているものの、脳が不安に対するコントロールを失っており身体にも何かしらの症状が表れてしまうのが社交不安障害の厄介なところなのです。

もちろん人前で何かを発表する時の不安や恐怖だけが社交不安障害の症状の全てではないです。あくまでも一例に過ぎませんが、不安や恐怖に対して明らかに度を過ぎた反応が見られ、生活に支障が出ているのが社交不安障害なのです。

さて子どもの社交不安障害についてですが、やはり子どもの場合だと自分の不安や恐怖に対して不合理性を認識しにくいです。自己認識が強まる時期なので、自分の性格によるもの自分の体質によるものと見なしてしまうのが大半です。

身体症状についても思春期特有のストレスであったり、ホルモンバランスの乱れであったり、本人もそうですが周りの大人もその背景に社交不安障害の存在があることを知らないことが多いです。

また社交不安障害の発症は、早ければ小学校の低学年ごろに見られるので、子どもが不安を強く感じた時に社交不安障害特有の回避行動ではなく、泣いたり、癇癪をおこしたり、全く話さなくなったりします。時には自閉スペクトラム症や選択制緘黙(場面緘黙症)と見なされてしまう可能性があります。

ただそのような時は親が子どもの様子や行動を具に観察して、エピソードをノートや日記にまとめて、専門医の判断を求めることが必要です。ノートや日記にまとめることで専門医も判断材料が増えますので誤診を防ぐことができます。

とにかく子どもの社交不安障害というのは見過ごされやすく、早期治療が必要にもかかわらず大人になってようやく分かるケースが多いです。場合によっては慢性化していて、学業的にも職業的にも支障をきたして人生の質が大いに低下している状態の人も少なくありません。

大人の社交不安障害

社交不安障害は思春期の頃に発症しやすいですが、大人になってからいきなり発症するケースもあります。そのような大人の社交不安障害は子どもの社交不安障害とどう違うのでしょうか。

社交不安障害というのは歴史的に見てもまだまだ新しい精神疾患のひとつです。

そのため一般的には、子どもの頃に社交不安障害を発症していたけれど、社交不安障害とは別の診断が下されたり、単なる性格のひとつとして考えられたり、症状に苦しみながらも耐え忍んで学校生活を過ごし、大人になってその存在を知って医師から社交不安障害と診断された人が多いように思われます。またこちらの方が、大人の社交不安障害の大半を占めていると思われます。

しかしその一方で、子どもの頃に社交不安障害特有の症状を発症することなく、特別困ることなく普通の学校生活を送り、卒業後社会人となってから、ふとしたきっかけで突然発症した人もいます。

突然発症した人の場合であっても、うつ病のように社交不安障害にも病前性格となるものが存在して、その性格はしばしば従来のうつ病と似ている部分があります。

完璧主義、真面目、他者配慮が強い、協調性がある、何事もきっちりで几帳面、旺盛な向上心など、まさにうつ病を患っている人によく見られる性格です。実際、うつ病かもしれないということで病院に行ったら社交不安障害を併発していたというケースも多いのです。

起こりやすい条件として考えられるのが、電話に対する恐怖とプレゼンテーションや朝礼などの人前で話さなければいけない恐怖が多いと感じます。

相手に対して失礼がないようにと強く思い過ぎてしまい、電話がなるたびに強い動悸や発汗、吐き気に襲われたり、人前に立つことを恐れるあまり昇進や出世を拒否するという、当の本人も自分に不利益になることを知りながら、また行動に不合理な点があると自覚しつつも回避行動が著しくなることが見受けられます。

大人の社交不安障害は子どもの社交不安障害と違って、回避行動を続ければ続けるほど社会的な立場の問題であったり、経済的な問題であったりと、基本的な生活を営むうえで支障がきたしやすくなります。そのため、大人の社交不安障害であってもできるだけ早い対処は必要になります。

子どもと大人とでの治療法の違い

社交不安障害の治療として用いられるのがSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗不安薬などのお薬を使う方法、そして認知行動療法や曝露療法(エクスポージャー法)、対人関係療法、森田療法といった心理療法を用いる方法が挙げられます。

子どもの場合、その本人も性格のせいであると思い込んでいる部分が多く、また性格と病気の境目があいまいという厄介な部分があるのが社交不安障害なので、もともと内気な人に対してお薬を使うのかという批判があるなかで、子どもに対してはお薬よりも認知行動療法や対人関係療法などの心理療法を先に実践したほうが効果的でしょう。

現在、認知行動療法については実験的に学校の授業の一部に取り入れて、子どもの不安や恐怖に対して一定の効果があることが証明されています。

ただ残念ながら認知行動療法が受けられる医療機関に限りがあり、医師が施す時のみ保険適用ですが、それ以外の例えば臨床心理士が独自でカウンセリングする場合には保険適用外になってしまいます。また治療に関しても1回につき約1時間ほどかかり、それを長期的に繰り返していくので、時間的、金銭的な問題が負担になってしまうという難点があります。

そのため周囲にいる大人が、認知行動療法の基礎的な知識を身につけて、本人にセルフトレーニングさせてみるというのもひとつの選択肢として考えられるでしょう。

また子どもの場合では、本来築くべき時に築くことができなかったスキルの不足が、社交不安障害に大きく影響しているのではないかという見方もあります。社交場面でどう振舞っていいのか、どのような言葉を使えばいいのか、といった基本的な社会的スキルを身につけることで症状の軽減が期待できます。

一方で大人の場合、社会に出てから社交不安障害を発症したということなら、最低限の社会的スキルは身についているので、社交的な場面での振舞い方を訓練するようなソーシャルスキルトレーニングはあまり効果がないと思います。

むしろ社交不安障害の症状そのものを早く軽減しないと、二次的被害でアルコール依存やうつ病などを引き起こしかねないので、即効性のある治療が求められるのではないでしょうか。

そうなるとSSRIを主体としたお薬中心の治療が当事者にとっては最善策になってくると思います。もちろん当事者の症状の程度であったり質であったり、必ずしもお薬だけの治療というわけではありませんが、お薬によって身体症状や不安感が軽減されることで、認知行動療法のような治療法にも取り組みやすくなります。

実際のところ、お薬に加え認知行動療法を併用することで治療に対する効果が飛躍的に上がることが証明されていますので、状況に応じて認知行動療法を含め何かしらの心理療法を用いたほうがいいと感じます。

社交不安障害は思春期に発症しやすいことから、本人も病気と気づかず、ずっと我慢して自分が悪いと責めてしまう人も多いです。特に子どもの場合では周囲の大人がこの病気に対する知識がないこともあり、早期発見が遅れ慢性化しているケースが往々にしてあります。

適切な相談相手がいれば、当事者の置かれている状況が大きく変わることがありますが、一度相談相手を間違えてしまえば、単なる甘えや気のせいで片付けられてしまいます。

社交不安障害の根底には過剰とも言えるほどの他者からの評価に対する恐れがありますので、叱咤激励が逆に対人場面の回避に拍車をかけたり、ひいては引きこもりに繋がってしまったりすることもあります。

しかし繰り返しにはなりますが、社交不安障害は周囲の正しい理解、受け皿があるだけで状況が一変するケースが多いと感じます。

もちろん当事者も病気を治すという努力を放棄してはいけませんが、その努力を実りあるものにするためには最低限の周囲の理解というのが求められるでしょう。

残念ですが、まだまだ社交不安障害はそれほど知名度がある心の病だと思えません。少しでも当事者が世の中を生きやすいと感じられるようになるためにも、この精神疾患を是非とも知ってほしいと思います。

そして適切なサポートを受けて人生の質を下げることのないようにしてほしいと切に願います。

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