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社交不安障害における自動思考を理解しよう

社交不安障害を改善するための方法として、お薬を服用する方法と認知行動療法や曝露療法といった心理療法を行う方法があります。

その中でも認知行動療法というのは「考え方の癖」に着目した心理療法として知られており、社交不安障害の人が持っている認知の歪みを修正するのに効果的な方法でもあります。

認知の歪みが修正されることで、必要以上に不安や恐怖を感じることがなくなり、同時に不安や恐怖を感じた時に表れる身体症状についても改善されます。

<認知>という概念について補足すると、私たちはあるモノに対してそのまま見ていると思いがちですが、実際は自分なりの考え方や捉え方のフィルターを通じてモノを見ています。

そのような自分なりの考え方や捉え方を<認知>という言葉で呼びます。そして認知が極端に偏ってしまうことで、不安や恐怖に直面した際に自然と沸き起こってくる「自動思考」というものをネガティブな方向へ偏らせてしまうのです。

自動思考というのは、喩えるならすっぱいものを想像したときに自然と唾液がでるように、あるモノを捉えた時に自然とそういった思考がわきおこるものです。そしてこの自動思考が社交不安障害の症状を強めてしまっていると考えられています。

今回は自動思考をテーマに、社交不安障害に見られる自動思考がどういう考え方をするのかということを具体例を交えながら見ていきたいと思います。

社交不安障害における自動思考の具体例

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ここでは自動思考の具体例として会食恐怖、赤面恐怖、視線恐怖、それぞれのケースについて見ていきます。

会食恐怖のケース

会食恐怖というのは外食することに恐怖を感じてしまい、外で食事を取ることが困難になってしまう恐怖であり、社交不安障害のひとつに分類される恐怖でもあります。

三大欲求のひとつでもある食欲というものが外食という機会があることで無くなってしまう辛さ、友達、彼女(彼氏)、家族、同僚と一緒に食事を取りたくても取れない辛さ、会食恐怖は日常生活を充実させることを阻む厄介なものと言えます。

会食恐怖における自動思考を考えていくと様々な考え方がありますが、代表的なものとしては「出された食事を残してはいけない」という思考です。

このような思考に陥ってしまう背景には幼少期の躾やそれに伴うネガティブ体験などがあります。

「食事を残してはいけない」と幼少の頃から躾けられていると、どんな食事の場面であっても「食事は残してはいけないんだ」という思考が働きます。

しかし、そこは人間ですから時には体調不良になってしまうこともあると思います。またこれまでの人生経験のなかで食事すら満足に取れないほど体調がすぐれないこともあったと思います。

だからこそ本来であれば、「食事を残してはいけない」と思う必要はないのですが、社交不安障害を患っている人というのは、親の言ったこと、先生の言ったことを絶対視するような面もあり、なかなかそのように思うことができない状態にいるのです。

結果的には、罪悪感が優位に立ってしまい不都合なものとなってしまうのです。

罪悪感が働くことで外食先で絶対に残してはいけないという思いが強くなります。それが緊張状態を誘発させ、緊張からくる吐き気や息苦しさを招き、ますます状態を悪化させてしまいます。

さらに外食しようとすると今度は拒絶反応としての身体症状が現れ、本来であれば楽しい嬉しい外食の機会というものが危険なものとして認識されてしまい回避行動に繋がってしまいます。

赤面恐怖のケース

緊張したり、恥ずかしい思いをしたりすると顔が赤くなる人も多いと思いますが、赤面恐怖は、人前で自分の顔が赤くなってしまうことに恐怖を感じてしまい、顔が赤くなりそうな状況や機会を避けてしまうというものです。

人前で顔が赤くなることは程度の差はあれ比較的多くの人が体験したことがあると思います。ただ赤面恐怖に陥ってしまっている人というのは、顔が赤くなってしまう、あるいは赤くなりそうな状況に対して著しいほどの恐怖心を持っているため、そのせいで日常生活において様々な支障をきたしています。

赤面恐怖における自動思考を考えていくと様々な考え方がありますが、代表的なものとしては「人前で顔が赤くなることを他人から馬鹿にされるのではないか」という思考です。

このような思考に陥ってしまう背景には過去に著しいほど赤面に関して嫌な経験があることが考えられます。

「馬鹿にされたっていいじゃないか」と思う人もいるかもしれません。しかし赤面恐怖を自覚する時期としてもっとも多い中学・高校時代というのは、ほんの些細なことでいじめに発展していく可能性もあり、だからこそある意味で相手に弱みを見せないとしていることも十分に考えられ、簡単な話ではないのです。

赤面恐怖を感じている人のなかには、本当は能力的にも高いものを持っているのに敢えて人前に出ることを回避している人もいて、人前に出たいけれど出られないという葛藤状態が症状をいっそう強めてしまうことがあります。

視線恐怖のケース

視線恐怖はもう少し細かく見ていくと自己視線恐怖、他者視線恐怖、脇見恐怖、正視恐怖があり、その中でも自己視線恐怖というのは、自分の視線が「相手を不快にさせているのでは」と思ったり、「自分の視線が相手を傷つけているのでは」と感じたりすることで、次第に相手を見ることに対して恐怖や不安を感じていまうという特徴を持っています。

自己視線恐怖に見られる自動思考は、「自分の視線が相手に不快を与えているかもしれない」、「相手に変なふうに思われているのではないか」という考えです。

自己視線恐怖以外の視線恐怖に目を向けると、他者視線恐怖でも「他人から不快に思われているのではないか」というものを他者の視線というフィルターを通して感じ取っていることが往々にしてあります。また他者の視線に対して何かしらの脅威を感じており、「相手から攻撃されるのではないか」という思考もあります。

こうした自動思考にいたってしまった背景には、いじめや虐待、自分自身の視線に対してネガティブな体験があります。

特にいじめや虐待はかなり関係が深く、いじめを契機に他人の視線に対してすごく過敏に反応するようになり、その反応がいじめられた相手以外にも見られるようになっていきます。

その結果、他人の視線が集まるような場所や機会を避けてしまい、人生の質そのものを低下させてしまうのです。

自動思考を理解する必要なのはどうしてなのか

会食恐怖、赤面恐怖、視線恐怖の自動思考の例を見てきましたが、身体症状を引き起こす要因、そして回避行動を取ってしまう理由を紐解いていくと、どのような自動思考が表れるのかを明確にする必要があります。

また自動思考を支えている「スキーマ」と呼ばれる、自分自身が抱いている中核的な認知概念についても同じように理解していく必要があります。

「スキーマ」とは、その人がこれまで生きてきた中で経験してきた出来事から身についたもので、大部分は無意識化されているため、どういったものなのか意識的に把握することは難しいです。しかしスキーマを経て沸き起こってくる自動思考によって把握することが可能です。

スキーマや自動思考というのは人間が持っている心の構造でもあり、それ自体を無いものにすることはできません。

また自動思考が悪いということでもなく、ネガティブな方向に傾いてしまっている状態が問題なのであり、自分自身がどのような自動思考を持ちやすいかを把握して、共通してみられる認知の癖や認知の歪みというものを見つけ出す必要があります。

認知の歪みについてはこちらの記事にまとめていますので参考までにどうぞ。

では社交不安障害に見られる自動思考について、どのような流れで社交不安障害の症状を形成しているのか見てみたいと思います。

以下の図をご覧ください。

社交不安障害は社交的な場面や機会、例えば一対一での会話、他の人との食事、他者の視線を集めやすいスピーチなどの時にネガティブな自動思考が沸き起こってきます。

ニュートラルで、正常な思考であれば、どうってことのない状況かもしれませんが、自動思考がネガティブな方へ偏っていると、その場にいることがいたたまれなくなってしまい、同時に身体症状が顕著になり不安感情も高まってしまうことで、結果的に回避行動や安全保障行動を取ってしまうのです。

この流れはどこかで断ち切らない限りは永遠とループして、また、ループを繰り返えす度に症状が強化されてしまうため早期の対応が必要不可欠になります。

社交不安障害の治療法としてはお薬によるものと心理療法によるものがありますが、症状が極めて強く表れている場合は、脳の機能的な問題として不安のコントロールが上手くできないので、お薬を服用して過剰な不安を抑える必要があります。その後併用する形で認知行動療法や曝露療法などの心理療法を行っていくことで症状の改善に繋がっていきます。

認知行動療法や曝露療法がより効果を発揮するためにも、自分自身がどのような自動思考を持っているのか把握することが重要になってきます。

同じ社交不安障害であってもどのような自動思考を持っているかは各々で違います。自分自身の自動思考がどういったものなのか明確にすることで適切な治療に繋がりやすくなります。

また自動思考というのは、よくよく見ていくと自己否定的な思考パターン、他者を恐怖や脅威として捉えるパターン、そして完璧主義的な思考パターンに帰着することが多いです。

こうした認知パターンが恐怖や不安を増長させてしまい、身体症状として吐き気や息苦しさ、発汗、震えなどを引き起こしまうと言えます。

冒頭にも言いましたが、この自動思考の偏りを修正していくのが認知行動療法というものであり、医師や臨床心理士などの専門家と一緒になって思考の捉え方や見方のズレを小さくしていきます。

ただ自動思考というものが短期間で劇的に変わるかというとそうではないでしょう。むしろ訓練していく過程で時には元に戻ってしまうことも十分にありえます。

しかし継続は力なりで一歩ずつ前に進んでいけるように、本人の意志と努力、周りの手助けや理解、そして専門家の知識と技術、この三位一体で取り組んでほしいと思います。

人が考えていることというのは誰かに伝えない限り分からないものです。たとえどんなに優秀な医師やカウンセラーであっても患者やクライエントの思考を読めるわけではありません。

当事者の自動思考を把握し、周りの人が理解することで改善の道が開けていくのではないでしょうか。

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