不安障害に関する症状や原因、治療法などについて、その当事者や家族、また不安障害を知らない人に向けての正しい理解を目指した特化サイトです。

不安障害ラボ

不安障害に関する症状や原因、治療法などについて、その当事者や家族、また不安障害を知らない人に向けての正しい理解を目指した特化サイトです。
>>当サイトの詳しい説明はコチラ

  1. TOP
  2. 社交不安障害
  3. 社交不安障害とパニック障害の違いは!?症状、原因の違いを分かりやすく

社交不安障害とパニック障害の違いは!?症状、原因の違いを分かりやすく

しばしば社交不安障害とパニック障害は同じ病気として見なされることがあります。

もちろん社交不安障害とパニック障害は大きなくくりとして考えれば不安障害に含まれるので、同じものと見なされても不思議ではありません。

またわざわざ分ける必要もないだろうという意見もあるでしょう。

しかし私個人の意見としては、その違いを明確にすることで正しい理解に繋がり、ひいては正しい治療に結びつきやすくなるのではと感じています。

Keller(2003)の研究によりますと、不安障害に含まれるパニック障害と社交不安障害を比べると、何も治療せず自然に回復するかどうかという視点で両者を見た時、最初に診断されてから8年経った時に引き続きパニック障害と診断された人は約3割、それに対して社交不安障害は約7割もいたというデータがあります。

これは何を示しているかというと、パニック障害は自然に良くなっていく場合が高く、その一方で社交不安障害は自然に良くなっていく場合が低いということが言えます。

ただ誤解しないでほしいのが、パニック障害は治療しなくてもいい心の病というものではありません。正しい治療の過程を踏んでいけば、自然と症状が良くなっていく場合よりもはるかに早い期間で症状が良くなっていきます。

一部の情報だけを見て自己診断で自分はパニック障害であると思い込んでしまい、パニック障害だから自然と経過を見て良くなっていくという認識を持ってしまうと、仮にパニック障害ではなく実は社交不安障害であった場合、いつまでも症状が良くならないという結果を招いてしまうことも出てきてしまいます。

症状が長引いて慢性化してしまうと日常生活における支障や社会活動への悪影響など、人生の質という意味で低いものになってしまいかねません。

だからこそ一見似ているような心の病であってもその違いというのをはっきりさせておくことで、当事者のため、周囲にいる支援者のためにもなるのではないかと思います。

では社交不安障害とパニック障害はどこに違いがみられるのか、その特徴や特有の症状を中心に見ていきたいと思います。

社交不安障害とは

違いを見るためにも、社交不安障害と診断される基準を知る必要があります。

『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』によれば、社交不安障害の診断基準として次のように定義されています。

  1. 他者の注視を浴びる可能性のある1つ以上の社交場面に対する、著しい恐怖または不安。例として社交的なやりとり(例:雑談すること、よく知らない人に会うこと)、見られること(例:食べたり飲んだりすること)、他者の前でなんらかの動作をすること(例:談話すること)が含まれる
  2. その人は、ある振る舞いをするか、または不安症状を見せることが、否定的な評価を受けることになると恐れている(すなわち、恥をかいたり恥ずかしい思いをするだろう、拒絶されたり、他者の迷惑になるだろう)
  3. その社交的状況はほとんど常に恐怖または不安を誘発する
  4. その社交的状況は回避され、または、強い恐怖または不安を感じながら耐え忍ばれる
  5. その恐怖または不安は、その社交的状況がもたらす現実の危険や、その社会文化的背景に釣り合わない
  6. その恐怖、不安、または回避は持続的であり、典型的には6カ月以上続く
  7. その恐怖、不安、または回避は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
  8. その恐怖、不安、または回避は、物質(例;乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない
  9. その恐怖、不安、または回避は、パニック症、醜形恐怖症、自閉スペクトラム症といった他の精神疾患の症状では、うまく説明できない
  10. 他の医学的疾患(例:パーキンソン病、肥満、熱傷や負傷による醜形)が存在している場合、その恐怖、不安、または回避は、明らかに医学的疾患とは無関係または過剰である

-American Psychiatric Association(高橋三郎、大野裕、染矢俊幸ほか訳)『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』医学書院より引用-

もう少し簡潔にすると、人と何かしらの交流を持つ機会において著しい不安や恐怖に陥ってしまい、同時に不安や恐怖を前にすると強い回避行動を取ったり、回避行動までとはいかなくても絶えず不安や恐怖にさらされて耐え忍んでいる状態にいたりすることがあるということです。

また不安や恐怖は人によって感じ方は様々だと思いますが、現実的に考えても不安や恐怖を感じえない場面や機会において(例えば、食事する機会に対して著しい恐怖を感じるなど)、社交不安障害当事者は不安や恐怖を感じてしまい、結果的に日常生活においても仕事や学業においても支障をきたしてしまっている状態にあります。

しばしば社交不安障害は強い回避行動と一緒に安心感を得られます。しかしその安心感というのは当事者にとって逆に辛くなってしまうことがあり、それは安心感の獲得とともに後悔と自責の念に駆られるので、その繰り返しによって回避行動の負の連鎖が起こってしまうからなのです。

この負の連鎖を断ち切らなければ、社交不安障害を改善することはできないと言えます。

パニック障害とは

パニック障害という名前が付いていることから、主な症状はパニック発作にあります。ではパニック発作というのはどいうものなのでしょうか。具体的に見ていくと13の症状にまとめることができます。

  1. 動悸や心拍数の増加
  2. 発汗
  3. 身体の震え
  4. 息切れ感や息苦しさ
  5. 窒息感
  6. 胸の痛み、胸部の不快感
  7. 吐き気、腹部の不快感
  8. めまい感、ふらつき感、気が遠くなる感覚
  9. 寒気またはほてり
  10. 感覚が麻痺する、うずくなどの異常感覚
  11. 現実的ではないという現実感消失または自分自身が離脱しているという離人症状
  12. 抑制力を失うことによる恐怖、気が狂ってしまうことによる恐怖
  13. 死ぬかもしれないという恐怖

これらのうち少なくとも4つ以上が突然表れて、数分以内にピークに達する場合にパニック発作と呼ばれます。

そのため、突然の心拍数増加、息切れ感、発汗、このまま死んでしまうのではないかという恐怖を訴えて、心臓発作があったのではないかと病院に駆け込んだけれど、検査結果は正常で実はパニック障害だったというケースもあります。

パニック発作が起これば全員がパニック障害というわけではなく、『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』によれば、パニック発作が繰り返し起こることに加えて、以下に述べることが少なくとも1つ、そしてそれが1カ月以上続いていることがパニック障害の要素を満たすことになります。

  1. さらなるパニック発作に発作またはその結果について持続的な懸念や心配(例:抑制力を失う、心臓発作が起こってしまう、”どうかなってしまう”)
  2. 発作に関連した行動の意味のある不適応的な変化(例:パニック発作を避けるような行動)

-American Psychiatric Association(高橋三郎、大野裕、染矢俊幸ほか訳)『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』医学書院より引用-

つまりパニック発作が1カ月以上繰り返し起こることに加えて、またパニック発作が起きたらどうしようという懸念や予期不安、そしてパニック発作を起こりそうな状況を回避する選択行動が条件としてあるということです。

またパニック障害は、しばしば広場恐怖症を伴っていることがあります。

広場恐怖症とは公共交通機関や広い場所、囲まれている場所において、逃げ出すことのできない不安や恐怖からパニックに陥ってしまったり、強い回避行動を取ったりする不安障害に分類される恐怖症。

パニック障害を患っている人の多くに、電車やバスなどの公共交通機関を苦手としていたり、建物の中や人ごみに囲まれたところを苦手としていたりするので、広場恐怖症と似通う部分が多々見られます。

社交不安障害とパニック障害のここが違う

社交不安障害もパニック障害も不安や恐怖に伴うパニック発作やそれに近い症状があったり、また強い回避行動を取ったりするので、両者ともに似通う部分が存在します。

しかし当事者目線で言わせてもらうと、その違いというのは明確にできるのではないかと感じています。

その違いとは何か。主なものとしては以下に挙げるようなものがあります。

  • 一人の時に発症するかどうか
  • 心臓発作に近い症状が繰り返し起こっているかどうか

見極めるポイントとして2点挙げています。発症時期や原因など、細かく見ていけばもっとその違いはあると思います。

ただ社交不安障害の中でも、パニック障害の中でも微妙に違いがあったりするので、今回は社交不安障害という枠組みとパニック障害の枠組みを対比させた中での違いを挙げてみました。

明確で分かりやすい違いとして、一人の時に発症するのであればパニック障害、そうでない場合は社交不安障害というものです。

そもそも社交不安障害というのは、対人関係を必要とするような機会において強い不安や恐怖を感じます。大勢の人前で話すこと、人前で食事をすること、人と一対一で会話することなど、どれも対人のやり取りが関与しています。

そしてその際に、顔が赤くなったり、声が震えて上手く喋れなかったり、窒息感から食事が喉を通らなかったりするなどの身体症状が起きて、また次も同じような症状が表れることを恐れて、徐々にそのような状況を回避するようになっていきます。

つまり人が関わらなければ強い不安も恐怖も起こらず、また身体症状も起こらないのです。

しかしパニック障害の場合はそうとも限りません。パニック障害では一人でいるときにもパニック発作が起こってしまい、何の前触れもなく突発的に起きるのが特徴です。

私の友人にパニック障害を経験した方がいますが、その方はベッドの上でパニック発作を起こしてしまい、そのパニック発作が別の場所でも起こるのではないかということで一時的に外出が困難になってしまいました。

もちろんパニック障害を抱えている人も人前でパニック症状が起こる場合があります。ただその場合でもパニック発作を起こす原因が人によるものというよりは、別の要因(広場恐怖症や閉所恐怖症など)が強いと言えると思います。

パニック障害も社交不安障害もパニック発作あるいはそれに近い身体症状が起こりますが、パニック障害の方が命の危険を感じるような発作(心臓が止まってしまうような感覚)を訴えることが多く、社交不安障害ではそのようなことはあまりないです。

しばしば心臓発作ではないかということで病院に運ばれた際、実はパニック障害であったというケースは比較的多く見られますが、社交不安障害であったという話はあまり聞きません。

やはりパニック障害に伴うパニック発作は当事者にとって死ぬかもしれないほどの辛い発作ということなのです。

一方で社交不安障害の場合だと、根底には「他人からどのように思われるのか」、「どのように見られているのか」という思考があり、そして否定的な評価を受けてしまうことを恐れているので、身体症状としては過度な緊張による反応、交感神経が優位になった時に見られる反応が多いと言えるでしょう。

今回、社交不安障害とパニック障害の違いについてみていきました。

社交不安障害もパニック障害も不安障害に含まれる心の病なので、どちらも強い不安や恐怖に苦しみ、場合によってその不安や恐怖を上手にコントロールできず回避行動を繰り返してしまうこともあります。

時には、社交不安障害よりもパニック障害の方が知名度が高いため、便宜的に社交不安障害であるにも関わらずパニック障害であると説明している当事者もいるかもしれません。

しかし両者は似たような症状であるものの、パニック障害は自然に回復していくケースも多く、その一方で社交不安障害は自然に回復していくケースは低いと言われています。

冒頭にも言いましたが、自己診断で自分はパニック障害であると思いこんでしまって、パニック障害だから自然と経過を見て良くなっていくという認識を持ってしまうと、もしパニック障害ではなく実は社交不安障害であった場合、いつまでも症状が良くならない結果を招いてしまうことも出てきてしまいます。

場合によっては社交不安障害とパニック障害、その両方同時に診断されることもあるかと思います。

しかし社交不安障害の診断基準にもあるように、パニック障害で説明できない不安や恐怖、そしてそれに伴う回避行動が見られたときに、社交不安障害と診断されるのが基本です。

だからこそ、一見似ているような心の病であってもその違いというのを明確化させておくことで、当事者のため、周りにいる支援者のためにもなるのではないかと強く感じています。

参考文献

アーカイブ

月別一覧
年別一覧

profile

管理人:ミヤシタソウジ

プロフィールの詳細はコチラ

当サイトの説明はコチラ

Twitter:@soji_miyashita

当サイトに関すること、その他個別の問い合わせがありましたらメールにてお願いします。

Gmail:soji.miyashita★gmail.com
(迷惑メール防止のため、送る際は★を@に変えてください)

PAGE TOP