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【Q&A】社交不安障害に関するまとめ

社交不安障害(社交不安症)について、知っているようで知らないことって多々あるのではないでしょうか。

社交不安障害は、しばしば個々の性格に起因するものではないかということで性格のひとつとして見なされがちですが、実際、社交不安障害の症状によって日常生活に支障をきたしていることを考えれば、単なる性格で片付けることはできないと言えます。

ところで社交不安障害というのは、診断基準が患者本人の主観的なものに基づいていることから、診断そのものを難しくしていることがあります。また性格と病気の境い目が非常に難しいため、専門家の間でも今もなお社交不安障害の本質について数多くの論文が発表され議論されています。

社交不安障害は人と接する場面や機会に対して著しい不安や恐怖を感じ、それによって様々な身体症状を引き起こしますが、対人恐怖や対人不安を感じるのは何も社交不安障害だけではないので、社交不安障害と思っていたら実は別の病気と診断されたケースも少なくはありません。

社交不安障害の全体像が分かりにくいと、当然のことながら周囲の理解不足に繋がってしまいます。

なので今回、社交不安障害に関する事柄をQ&A形式でまとめてみることにしました。社交不安障害当事者が10人いれば10通りの症状や表れ方がありますが、その核となる部分は共通していると私自身思っていますので、なるべく共通点となる部分を多く取り上げていこうと思います。

なおこのページは出来る限り正確性を高めていくために随時更新していく予定です。

Q&A形式で見る社交不安障害

社交不安障害と社会不安障害、社交不安症というものは違うものなのか
どれも同じものです

2008年に日本精神神経学会によって、「社会」に対する恐怖という名称では受診動機を低下させる恐れがあるとして「社会不安障害」から「社交不安障害」に変更になりました。ただし臨床の現場では依然と「社会不安障害」という名前で使われることがありますが、同じものとして考えても問題ないです。

そして近年、社交不安障害が発症する時期として8~15歳までの間に集中していることから、「障害」という言葉だと一度なってしまったらもう治らない非可逆的なものとして誤解されかねないということで、日本不安症学会が「社交不安症」という名称に変更することを発表しています。

そのため社交不安障害に関する本を探したい時、比較的最近出版された本では社交不安症、一昔前だと社会不安障害というタイトルが付けられています。

対人恐怖や対人不安を感じたら社交不安障害なのか
必ずしもそうではなく、ひとつのポイントとして不合理性があるかどうかが挙げられます

人前や人と接する場面で緊張したり不安を感じたりすることは、人間が持つ生理的な反応のひとつでもあり、その反応自体はむしろ健康である証でもあります。

もともと性格的に控えめで内気な人間もいるので、そういった方は人と関わることに緊張しやすい傾向が見受けられるので、内気な人を病気と見なして薬を処方するのは危険です。

社交不安障害を患っている方の中には内気な性格を持っている人もいますが、社交不安障害と内気の関係性を疫学的に調査した研究論文(Burstein et al,2011)によれば、当事者が親から見て内気とされなかった群の5.5%、当事者本人が内気と自覚していない群の5.2%に社交不安障害の診断基準を満たしていたことが分かっています。

つまり内気でない人であっても社交不安障害に当てはまります。また親から内気と見なされていたり自分自身で自覚していたりする人よりも、そうではない人が社交不安障害を患っている場合の方が日常生活における影響が大きいことも分かっています。

ポイントのひとつとして「不合理性」を挙げていますが、この点について詳しく解説していくと、社交不安障害を患っている人というのは、ある不安対象に関して自分自身でも明らかに過剰である、その反応が不合理的であることを認識しているものの、脳が不安に対するコントロールを失っていて身体も連動して辛い症状が表れてしまいます。つまり社交不安障害に伴う身体反応が厄介なのです。

一例ですが、人前で何か発表しなければならなくなった時というのは誰もが少なからず緊張状態になり、不安を感じると思いますが、そういった緊張や不安というのはごくごく短時間のうちで起こるもので、日常生活にまで支障をきたすことは考えにくいです。

しかし社交不安障害を患っている場合は発表の数週間前から、重度の人だと何カ月も前から絶えず不安を感じてしまい、そのことばかりに囚われ、またその期間中はひどい発汗や動悸、吐き気なども見られたりします。当然、発表までの期間中というのは発表以外の日々の生活がありますが、身体症状を伴うことでその生活さえ満足に送れず、結果的に支障をきたしてしまうのです。

もちろん当事者の不安対象というのは多岐にわたるので、その不安対象が多ければ多いほど、日常生活に与える悪影響というのは大きく、ひいては人生のQOLが著しく低下してしまうのです。

社交不安障害を患ってしまう原因とは何か
特定できる原因は未だ不明ですが、遺伝的なもの、環境的なもの、経験的なものが組み合わさって発症しているというのが有力です

遺伝的、環境的、経験的な要因が組み合わさって発症すると言いましたが、この中で最も関連するのは遺伝的要因と言われています。ある特定の遺伝子によって社交不安障害が発症するということではありませんが、しばしば社交不安障害を患っている人というのは生まれつき神経系の感受性と反応性が高いことが確認されています。

つまり不安に対する感受性が強かったり反応性が敏感だったりすることは、何かのきっかけで発症しやすいリスクというのが、他の人よりも高いということを表します。

またその感受性や反応性というのは、生まれ育った家庭環境やこれまでの経験や体験の中でより一層強める可能性があります。仮に強くなってしまうことで物事に対する心配や懸念を抱きやすくなって、ますます社交不安障害になりやすくなってしまうのです。

社交不安障害になりやすい性格はあるのか
性格傾向として真面目な性格を持つ人がなりやすいです

社交不安障害は性格上の問題ではないものの、ある程度、この病気になりやすい性格傾向は確認されています。

最も見られる性格傾向は真面目な性格です。礼儀正しく規範や規律を守るようなタイプは、自分自身の行動が社会的な規範から外れていないか気になりすぎることで、次第に他者の目線が気になってしまい、結果的に社交不安障害を引き起こしてしまいます。

その他にも完璧主義、他者配慮性が高い、協調性がある、何事もきっちりで几帳面、旺盛な向上心などの性格も見受けられます。

社交不安障害と合併しやすい病気としてうつ病がありますが、こういった性格だからこそうつ病にもなりやすいのかもしれません。

社交不安障害の治療方法はどのようなものがあるのか
治療法についてはお薬によるものと心理療法によるものがあります

お薬によるものでは、社交不安障害の人が抱える潜在不安を軽減することを目的とするSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、そして不安や緊張が強くなる場面での症状を緩和することを目的に、頓服的に用いる抗不安薬があります。

心理療法では治療の介入ポイントとして「社交不安状態」と「回避行動」に焦点が当てられます。それに対応した治療法として認知行動療法(CBT)や曝露療法(エクスポージャー法)、対人関係療法などが挙げられます。

その他にも不安をあるがままとする森田療法や社交的な場面での振舞い方を訓練するソーシャルスキルトレーニング(SST)を取り入れることもあります。

お薬による方法でも心理療法による方法でも、治療する際には、症状がどのように成り立っているのか、どのように持続するのか、症状の形成と維持のメカニズムについて当事者自身も把握することで円滑な治療に繋がっていきます。

医療機関に受診せずに自力で治療することは可能か
他の精神疾患の可能性もあるので一度受診することをおすすめします

社交不安障害には様々な症状や表れ方があります。それゆえ社交不安障害と思っていたところ別の精神疾患が見つかったすることも少なくありません。

最近、大人の発達障害についてメディアでも多く取り上げられていますが、発達障害の二次障害的なものとして社交不安障害を発症しているケースがあることも報告されています。

発達障害には発達障害に適した治療法がありますし、社交不安障害には社交不安障害に適した治療法があります。また発達障害と診断されれば、福祉制度の中で障害年金も受給できますので、そういった意味でも医療機関への受診が求められます。

二次障害ということで言えば、発達障害以外では、場面緘黙症(選択性緘黙)の二次障害として社交不安障害が確認されています。

社交不安障害と合併しやすい病気はあるか
不安障害や気分障害などと合併しやすいです

社交不安障害は限局性恐怖症やパニック障害、全般性不安障害などのいわゆる不安障害に含まれる精神疾患と併存しやすいことが報告されています。ただ併存しやすいといっても、その病態が似ていて明確な境い目がつきにくいからという背景もあります。

一応『DSM-5』によれば、突発的なパニック発作に苦しむパニック障害(パニック症)で上手く説明できない場合に、社交不安障害の可能性を示唆するという記述がありますので診断基準上では区別されてはいます。しかし臨床の場では、その病態が似ているので併記されて診断されることがあります。

社交不安障害やパニック障害は共に不安障害に含まれるので、治療自体に大きな差があるわけではありません。

注意したいのが、社交不安障害と気分障害が併発した場合です。余談ですが、DSM-5になってからは気分障害が抑うつ障害群と双極性障害群に分かれることとなり、抑うつ障害群には昔から呼ばれている古典的なうつ病(大うつ病性障害)、双極性障害群にはかつて躁うつ病と呼ばれていた双極性障害が該当します。つまりちょっと前までは、うつ病も双極性障害も同じ気分障害として捉えられていました。

社交不安障害の治療方法としてSSRIが用いられますが、同様にうつ病の場合であってもSSRIが利用されます。ところがSSRIはうつ病には効果的ですが、双極性障害の場合には思わぬ副作用となって重大なケースに発展する可能性をはらんでいるので注意しなければいけません。

社交不安障害に詳しい渡部芳德医師によりますと、双極性障害の人に誤ってSSRIを処方した場合、その副作用によって攻撃的になり暴れてしまうことがあるそうです。

双極性障害の大きな診断目安となるのは躁状態の有無ということですが、しかし躁状態にいる時に病院に行くことはほとんどありません。むしろ鬱状態の時に診察されるため、しばしば双極性障害をうつ病として誤診してしまうケースがあるのです。

これは診断する医師の問題ではなく、通常の診断で躁状態を発見するのがそれだけ困難であることを示しています。だからこそ診断において家族や周囲の証言というのも必要になってきますし、また同様に家族も病気に対する正しい知識を身につけることが求められます。

双極性障害とうつ病の関係性もそうですが、社交不安障害もまた同様のことが言えます。精神疾患の中には社交不安障害に類似した心の病というのが存在していますし、適切な治療のためにも時にはその違いを明確にしなければいけないこともあるのです。

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