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セロトニンの役割とは!?減りすぎても増えすぎても良くないセロトニンの話

現代人のストレス過多な生活により、心の病気が一段と身近に感じられるようになりました。特に、私たちの心身の安定のために必要な「セロトニン」という神経伝達物質が注目されるようになり、セロトニンという名前は一度は聞いたことがあるのではないかと思います。

セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、セロトニンを増やすことで不安を抑制することが期待できます。

逆にセロトニンが不足してしまうことで、不安や恐怖を感じやすくなったり、気持ちが落ち込み、何をするにしても億劫になってしまいます。

それだけ「セロトニン」は私たちの生活には欠かせない神経伝達物質なのです。

今回はセロトニンに焦点を当てて、セロトニンの基本的な知識から増やし方までを確認していきたいと思います。

セロトニンとは何か

そもそもセロトニンは脳内の神経伝達物質ではあるものの、体内にあるセロトニンのうち脳に存在するセロトニンは約5%にすぎず、約90%は小腸の粘膜にあるクロム親和細胞内にあります。その他に、もともと血液中に約5%のセロトニンが存在します。

つまり前提として、脳の中には神経伝達物質としてのセロトニン、腸管や血管には別の役割を持つセロトニンがあるということなのです。

「セロトニン(serotonin)」という名前も、1948年にクリーブランドクリニックのMaurice M. Rapport、Irvine H. Page、Arda Greenらが、血清中に血管収縮物質を発見し、この物質が血清(serum)からとれる平滑筋収縮(tonic)に関する物質ということで「セロトニン」と名づけたことがはじまりです。

その後、1953年にIrvine H. Pageから研究の技術支援を受けていたBetty M. Twarogが、イヌやラットといった哺乳類の脳内にもセロトニンがある事を発見し、脳内にもセロトニンが存在することが分かったのです。

脳内における神経伝達物質としてのセロトニンの役割

脳内にはセロトニンのほかにも、ノルアドレナリン、ドーパミン、アセチルコリンなどの神経伝達物質が存在し、それぞれの神経伝達物質が相互に働き、脳内環境を維持しています。

そもそも神経伝達物質とは、その名称どおり神経から神経へと情報を伝達するために分泌される物質です。

私たちの脳には約1000億といわれる神経細胞(ニューロン)があり、複雑で膨大な神経ネットワークを形成しています。そのネットワークの間を情報が行き交うことで、運動、知覚、情動、自律神経などが機能します。

神経細胞には「シナプス」と呼ばれる結合部があり、シナプスには電気信号という形で情報が伝わってきますが、神経細胞と次の神経細胞との間には「シナプス間隙」というものすごく微小な隙間があいていて、その隙間は電気信号が飛び越えられないつくりになっているため、シナプスにある小さな袋状の部分から「神経伝達物質」を分泌することで、次の神経細胞に情報が伝達されます。

分泌された神経伝達物質は、情報の受け手となる神経細胞の受容体に結合し役割を終えると酵素によって分解されますが、なかには受容体と結びつかなかった神経伝達物質もあり、その場合は「トランスポーター」という再吸収口から回収されて再び利用されます。

神経細胞が情報を伝達するには、神経伝達物質が重要な役割を担っていますが、セロトニンを含み、神経伝達物質としてセロトニンを用いる神経細胞を「セロトニン神経」と呼んでいます。

もちろん神経伝達物質はセロトニンのほかにもあるので、例えば、神経伝達物質にドーパミンを用いる神経細胞であれば「ドーパミン神経」、ノルアドレナリンでは「ノルアドレナリン神経」、アセチルコリンでは「アセチルコリン神経」という形で呼ばれることがあります。

セロトニン神経は、脳の中心部にある脳幹の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分に存在し、神経細胞の細胞体から延びる細長い突起である「軸索」を脳全体に伸ばしています。

それによりセロトニン神経は大脳皮質をはじめ、感情に関わる大脳辺縁系、生存や自律神経機能に関わる視床下部、脳幹、小脳、脊髄などの、ほとんどの脳の領域と結びついているのです。

脳内でのセロトニンの主な役割としては、以下に示すとおりです。

  • 大脳皮質の覚醒、及び意識レベルの調節
  • 自律神経機能の調節
  • 痛みに対する感覚を抑制
  • 気分のバランスを保つ
大脳皮質を覚醒させ、意識レベルを調節

脳内のセロトニン神経の働きにより大脳皮質を覚醒したり、抑制したりすることができます。

大脳皮質は言語や知覚、認知などを司る部分で、いわゆる「人間らしさ」にも関わる領域です。

大脳皮質のなかでも前頭葉の部分は、意欲や創造、思考、感情に関わる領域で、前頭葉の部分の働きが低下することで「行動する気が起きない」、「計画が立てられない」、「物事を考えられない」といった状態になったり、また社会性が低下し、理性が働かず突拍子もないことをしたりすることがあります。

こうした前頭葉の働きにもセロトニンが関わっており、セロトニンの分泌量が減ると前頭葉の働きが悪くなってしまうことが考えられます。

うつ病の人は脳内のセロトニン神経が上手く機能しておらず、セロトニンの働きが低いことが言われていますが、「行動する気が起きない」、「計画が立てられない」、「物事を考えられない」といった状態はまさに、うつ病にみられる症状と重なります。

また大脳皮質には、意識レベルの調節に関わっており、朝起きて意識がスッキリするような気分を感じたこともあるかと思いますが、そうした意識レベルを調節するのにもセロトニン神経の働きが重要です。

自然な睡眠を促すために必要不可欠な「メラトニン」というホルモンがありますが、セロトニンが不足してしまうことでメラトニンが合成できなくなってしまいます。十分なセロトニン量が結果的には良質な睡眠を招き、体内リズムの調節に関わっているのです。

自律神経機能の調節

私たちの体には自律神経が張りめぐらされており、自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つの神経によって成り立っています。

朝起きると自律神経が切り替わり、交感神経が優位になることはよく知られている話ですが、この交感神経を優位にシフトさせるのに関与しているのがセロトニン神経なのです。セロトニン神経のほかにはノルアドレナリン神経も関わっています。

特に朝の光に対してはセロトニン神経が反応し、心地よい目覚めのためにも、セロトニン神経の活性化が求められます。

痛みに対する感覚を抑制

セロトニン神経が活性化することで、鎮痛効果が期待できます。

セロトニン神経の活性化により痛みの感覚をコントロールし、それによって痛みを感じにくくなります。逆にセロトニン神経の働きが弱くなってしまうと、痛みの感覚をコントロールすることができないので、些細な痛みにも感じやすくなってしまいます。

気分のバランスを保つ

セロトニン神経の活性化は、気分の安定にも大きく関わっています。

日々の生活で、嬉しい出来事もあれば悲しい出来事もありますが、嬉しい時には気分が高揚し、悲しい時には気分が落ち込んでしまうものですよね。

人間の感情の基本として「快」と「不快」がありますが、快い感情に関係しているのがドーパミン神経であり、不快な感情に関係しているのがノルアドレナリン神経です。

例えばドーパミンが過剰に分泌されると、快感におぼれて依存症の形となって表れます。ギャンブル依存症やアルコール依存症はその典型例です。一方でノルアドレナリンが過剰に分泌されると、不快な気分からイライラしやすくなったり、落ち着きがなくなったり、キレやすくなったり、興奮したり、攻撃的な行動が表れます。

快楽におぼれて何かに依存してしまうのも、不快になりすぎて攻撃的なってしまうのも、気分が乱れている証拠でもありますが、この状態に対してブレーキをかけ安定した状態にするのがセロトニンの役割です。

気分のバランスが保たれている状態を平常心ともいいますが、自分の気分を落ち着かせたり、あるいは落ち込みを防いだりするためにもセロトニンは欠かせないのです。

また脳内には扁桃体という恐怖や不安感情に関わっている器官がありますが、セロトニン神経は扁桃体にも軸索を伸ばしており、恐怖や不安感情にもセロトニンが関わっていると考えられています。

扁桃体は、過剰に働いてしまうと恐怖や不安を感じやすくなり、働きが弱まると恐怖や不安を感じにくくなることが確認されています。セロトニンには、過剰に活発化した扁桃体を抑制する作用があると言われており、このことからも恐怖や不安を抑制し軽減するためにもセロトニンは欠かすことができないと言えます。

体内におけるセロトニンの役割

体内にあるセロトニンのうち脳に存在するセロトニンは約5%にすぎません。残りは脳以外の場所に存在し、別の役割を担っています。

当初、セロトニンは平滑筋収縮に作用する物質として発見されました。そのため血管や腸管などの平滑筋に作用し、平滑筋の調整をする働きを持っています。

腸管では、セロトニンは主に消化管の運動に大きな影響を与えます。その働きが弱くなると便秘になり、過剰になる下痢になってしまいます。

血管では、セロトニンは血小板の中に貯蔵されている形で存在し、作用する時には血しょうに溶け込んで、止血作用と血管を緊張させる収縮作用があります。怪我をした時、血管が傷つき出血すると、セロトニンが血小板から放出され血が止まりやすくなります。

セロトニンを増やすためにできること

セロトニンの主な作用を見ると、セロトニンを増やすことが心身の健康のためには良いことが分かります。

ではどのようにすればセロトニンを増やすことができるのでしょうか。

絶対に確実な方法というわけではないものの、推奨されているやり方はいくつかあります。

主な方法としては、以下に示すとおりです。

  • 食習慣
  • 日光浴
  • 瞑想
  • リズム運動
食習慣

セロトニンは「トリプトファン」というアミノ酸を原料にして作られています。しかしトリプトファンは必須アミノ酸であり、自分の体内で作ることができず、食べ物から摂るしかありません。

トリプトファンが多く含まれている食べ物の代表的なものとしては、卵、豆腐、肉、マグロ、バナナ、牛乳、チーズ、ナッツ類などです。どれもたんぱく質を多く含む食べ物です。

しかし、いくらトリプトファンが必要だからといってそれだけを摂取しても、実はほとんど意味がありません。

トリプトファンと一緒にビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムを摂る必要があります。

ビタミンB6を含む食べ物としては、レバー、マグロ、カツオ、ゴマ、ピスタチオ、にんにくなどが有名です。ナイアシンであれば、まいたけ、カツオ、タラ、マグロ、落花生など、マグネシウムであれば、青海苔、わかめ、昆布、米などに多く含まれています。

こうして見ると、マグロを食べることはセロトニンを増やすためにはもってこいの食品ということですね。もちろん料理の仕方次第では、これらの食品を上手に活用してセロトニンを増やすことができます。

またこれらの食品と一緒に炭水化物をしっかりと摂取することが大切です。最近、炭水化物の取りすぎが寿命を縮めるという研究論文も発表されていますが、あくまでも取りすぎの話なので、適切な量であれば炭水化物も私たちの身体には必要不可欠です。

炭水化物を摂取することで、血糖値が上がりインスリンが分泌されます。インスリンが分泌されることにより、トリプトファン以外のアミノ酸が筋肉に取り込まれ、血液脳関門におけるアミノ酸同士の競合が緩和され、脳に取り込まれるトリプトファンの量が増えるのです。

血液脳関門とは、血液と脳の間にある関所のようなもので、血液中の物質を簡単に脳に通さない仕組みを担っています。他の器官と違い、脳はとても重要な器官であるため、簡単に異物が入り込まないためにこうしたメカニズムになっているのです。

この血液脳関門があるため、セロトニンそのものを食べたりあるいは注射したりしても、セロトニンは構造上、血液脳関門を通ることができないので、原料であるトリプトファンという形で血液脳関門を通り、脳内でセロトニンを生成するのです。

日光浴

セロトニン神経を活性化するためには、目から入る光が重要です。また光の強さもポイントで、セロトニン神経を活性化させるためには3千ルクスほど必要だと言われています。

太陽光は3万~10万ルクスあるので、部屋にいてもカーテンを開けて室内に太陽の光を取り入れることで、セロトニン神経の活性化に必要な光の強さを補うことができます。

仕事で一日中室内にいる人も多いと思いますが、日差しを直接浴びなくても、太陽の光を室内に取り込むだけでもセロトニン神経が働きますので、毎日できる限り、太陽の光を取り入れ、昼夜逆転生活に陥らないことが大切です。

瞑想

セロトニン神経は、瞑想をする時の呼吸のリズムによって活性化すると言われています。

背筋を伸ばし脚を組み、1メートルぐらい先にある床をぼんやり見つめながら目を閉じ、鼻から吸って、呼吸を整えます。

瞑想中は考えることを止めて、意識を呼吸に集中させます。こうした瞑想は、毎日の日課として取り入れることでセロトニン神経の活性化につながりますので、5分だけでもいいので継続することが大切です。

リズム運動

適度な運動は全身の血の巡りを良くし、脳の血流にも良い作用をもたらします。そしてセロトニン神経の活性化にもつながります。

運動のなかでも、リズミカルに規則的に体を動かす「リズム運動」が効果的といわれています。

運動というとハードなイメージを持ちやすいものですが、手軽なものとしては「歩く」ことがリズム運動になります。30分ほど自分の歩きに集中し、テンポの良いウォーキングがセロトニン神経を活性化するのです。

また日々の食事の中で「噛む」こともリズム運動になります。よく噛んで食べることは消化にいいだけではなく、セロトニン神経を活性化させる作用もあります。食事以外では、通勤中にガムをしっかり噛むこともおすすめです。

セロトニン神経が弱くなっていくと、姿勢の維持に関わる抗重力筋への刺激が不足し、噛む力がだんだんと弱くなっていきます。つまり噛む力を高めることは、結果的にはセロトニン神経を強めることにもなるのです。

セロトニン症候群には注意

ここまでの流れを見ていくと、セロトニンはより多く分泌されればいいという考えになりやすいですが、実はセロトニンが過剰に分泌されることで逆に身体にとって害になってしまうことがあります。

抗うつ薬などを服用中に、脳内のセロトニン濃度が過剰になってしまうことによって起きる「セロトニン症候群」という副作用があります。

副作用の症状としてはイライラする、興奮する、混乱するなどの精神症状や、手足が勝手に動く、震える、固まる、発汗がひどい、脈が速くなる、お腹の調子が悪くなるなどの身体症状があります。

セロトニン症候群はあくまでも抗うつ薬などによって急激にセロトニン濃度が上がってしまうことによるものなので、日常生活でセロトニンを増やすぶんにはそれほど心配する必要はありませんが、不安障害やうつ病を患っている人の中には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)といった抗うつ薬を処方されている人が多くいます。

そういった人たちが、お薬の飲み始めや服用する量が増え始めた時に、こうした副作用の症状が表れてしまうことがありますので、ひとつの知識としてあらかじめ知っておく必要があるでしょう。

もしお薬を服用して症状が表れるようなことがあったのなら、服用をすぐに中止し、24時間以内に症状が消えない場合には、速やかに主治医や担当の薬剤師に連絡をとり、指示に従うようにしてください。

今回は、セロトニンの役割についてみていきました。

別名「幸せホルモン」と呼ばれていることもあり、気分のバランスを保つためにもセロトニンは重要ですが、その他にも、脳内では、大脳皮質の覚醒及び意識レベルの調節、自律神経機能の調節、痛みに対する感覚の抑制に関わり、体内では消化管の運動、止血作用にもセロトニンが関わっています。

そしてセロトニン神経が弱まってしまうことで、セロトニンの分泌が不足し、前頭葉の働きが悪くなったり、扁桃体の活動を抑制できなかったりと、私たちの生活に悪影響を及ぼしてしまうのです。

病的なレベルとまではいかないものの、乱れた生活習慣の中でセロトニン神経が弱まってしまうと、セロトニンが不足しスッキリしない日々となってしまいます。

現代人のライフスタイルを考えると、セロトニンが不足しがちな生活に陥りやすいと感じます。セロトニン神経を活発化させ、セロトニンが分泌されるように、生活習慣を正していきたいものですね。

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