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社交不安障害は自力で克服できるのか!?

社交不安障害に苦しみ悩んでいる方の多くが、「この病気が治るものなのか」、「治るのであれば期間はどのくらい必要なのか」、「どういった治療法が適しているのか」、「自力で克服できるものなのか」といったことに関心があるのではないでしょうか。

社交不安障害はその性質上、他者からの否定的な評価に対する著しい恐れや不安が根底にあるために周囲に相談しづらく、また正式な精神疾患にも関わらず性格と見なされてしまい、生きづらさを感じながらも耐え忍んで生きてきた人が非常に多くいらっしゃいます。

社交不安障害の名前にもある「社交不安」というのは、程度の差はあれ誰しもが感じるものであり、過剰すぎる社交不安によって日常生活に支障をきたしている状態像が社交不安障害と考えられる部分があります。

誰しもが多少なりとも持っている社交不安だからこそ、「社交不安障害を病気として考えるべきなのか」、それとも「性格や個性の一部分として考えるべきなのか」各々で見解が異なっているのが現状でしょう。

そういった状況の中で、「社交不安障害を自力で克服しよう」とする文言を見る機会があります。ネット検索で「社交不安障害 自力」と入れると、克服という言葉を入れていないのにも関わらず、自力と克服が結びついていることが往々にしてあります。

それだけ「自力で克服できるものなのか」ということに関心を抱いている人が一定数いるということでしょう。

今回は社交不安障害と克服をテーマに、自力克服を含めて様々な角度から考えて見たいと思います。

社交不安障害を語る難しさ

社交不安障害と一言にいっても実に様々であり10人いれば10通りの症状や悩みがあります。そのため社交不安障害を語るにあたり、どういう症状が表れて、どういった困りごとが起こっているのかということを細かく見ていかなければいけないでしょう。

社交不安障害と診断されたり、あるいは社交不安症状を呈する不安障害と診断されたりした場合であっても、社交不安障害のタイプ、社交不安障害による悪影響、社交不安障害に伴う合併症の有無、当事者の年齢や生活環境など、様々なことを考慮したうえで治療法を考えていかなければいけません。

そして正しい見立てなしに治療を始めることは症状を悪化させてしまう可能性があるので、短絡的な決めつけは避けなければいけません。

しばしば「社交不安障害」を自己診断のうえで決めている人を見かけることがあります。実際の病院での診察・診断も、問診や心理検査が中心となっているのでセルフ診断が必ずしも悪いわけではないものの、社交不安障害と併発する精神疾患、二次障害としての社交不安障害も存在するため、やはり一度病院での診察・診断を受けたほうがいいでしょう。

社交不安障害の性質上、周囲に相談しづらいからこそ病院に行きたがらないというケースは思いのほか多いと思います。

また世間一般の「あがり症や内気は性格だから治す必要はない」という意見から、適切な治療を受けずに生きづらさを抱えている潜在的な当事者も多くいらっしゃいます。

だからこそ自分で何とか解決しようと思い、様々な治療法を模索する過程で自力での克服の可能性について考えるのでしょう。

社交不安障害を自力で克服できるのか

あくまでも可能性の話ではありますが、社交不安障害は自力で克服しようと思えばできるものだと思います。しかしその場合であっても、自力での克服が望ましいということではないので注意が必要です。

また誰もが自力で克服できるわけではなく、生活への支障が著しい場合は福祉という視点から考えても病院での診察が必要不可欠です。

では自力という観点から克服したい場合、どういった人が条件に当てはまり、どのような点に留意すべきかを考えていきたいと思います。

生活に対する重篤性が低いこと

社交不安障害の症状は多岐にわたりますが、社交不安障害を抱えていても学業や仕事を遂行できている人もいらっしゃいます。

そのような人は社交不安障害の特徴とも言える回避行動に陥っていませんので、症状次第では自力での克服が可能になってくると言えます。

また日常生活での支障が小さい場合も同様です。社交不安障害を抱えながらも行きたい場所に自由に行くことができたり、行政の手続きや様々な契約を自分で結べることができたりする人も可能性としてはあるでしょう。

自己管理ができる

社交不安障害における治療法としては、お薬によるものと心理療法によるものが大まかな選択肢として挙げられます。

そのうち心理療法で用いられる認知行動療法は、医師や臨床心理士のもとで認知のパターンを修正して不安に対するコントロール術を身につけたり、不安に陥った時の対処法を学術的な知見をもとにして学ぶことができます。

その際、これまでの認知パターンを修正するために1回のカウンセリングだけでは不十分で、だいたい15回ほどのセッションを継続的に受ける必要があります。さらに治療者から課せられるホームワークも重要で、日常生活の中でも継続的な訓練が求められます。

この認知行動療法を一人でやろうとすると途中で挫折してしまう恐れがあります。時には誤ったやり方で不安感情を強めてしまったり、さらなる回避行動を生んでしまったりすることもあります。そうならないように専門的な知識を学び、日々研鑽を続けている医師や臨床心理士が存在するのです。

ただ絶対に医師や臨床心理士が必要かというとそうではありません。自分で専門書を読んで実践することも可能です。現に一人で認知行動療法を取り組む人のために本も出版されています。

そして自己管理できる人であれば途中で挫折することも少なく、継続して取り組むことができるので自力での克服に繋がると言えると思います。

自己診断でのお薬の服用は禁物

社交不安障害の治療法としてお薬によるものと心理療法によるものがあることを先ほど説明しました。

社交不安障害に関する研究(Mayo-Wilson et al,2014)によれば、社交不安障害に対する治療効果が最も高い方法はお薬と心理療法の併用であることが示唆されています。

そのためお薬の服用という選択肢を最初から除外するというのは利口ではないと言えます。

お薬に関して、本来であれば医師の指示に従う必要があるにも関わらず、ネット上には「社交不安障害に効く」としてお薬を医師の処方箋なしに購入することを促すページが多々あります。

代表的なのが「インデラル」です。「インデラル」はβ遮断薬と言われるお薬で、緊張を緩和する作用があります。社交不安障害の症状としても人前で何かを話す際に不安や緊張を訴える人、いわゆるあがり症の傾向を示す人に対して用いられることが多いお薬です。もちろん社交不安障害と診断されておらず、自分をあがり症だと思っている人に対しても同様です。

本来、インデラルのようなβ遮断薬は心臓の動きを抑え、不整脈や狭心症、高血圧を治療する目的として利用されます。またβ遮断薬は気管を狭くする作用があるので喘息や呼吸器の疾患を抱えている人には避けるように言われています。

お薬には副作用があり、用法・用量を誤ってしまうと症状をひどくさせてしまったり、別の症状に見舞われたりする危険性があるので、医師や薬剤師ではない人が個人的な判断で服用しようとするのは禁物です。

必ずお薬に関しては医師の診察を受けたうえで服用するようにしなければいけません。ネットの甘い言葉には要注意です。

社交不安障害は治療対象になりうるのか

「社交不安障害は自力で治せるのか」という疑問が多い背景を考えると、社会における社交不安障害に対する認知が低く適切な医療サービスを享受できていない現状があると思います。

また社交不安障害に限らず、「精神疾患はどこからどこまでを症状と見なすべきか」という議論は専門家でも意見が分かれるところで、ましてや専門知識がない人たちにとってみれば、なおのこと分からないと思います。

さらに臨床現場においても当事者本人の主観に基づいて診断される部分も大きく、訴える症状次第ではかなりの数の人が社交不安障害と診断されてしまうこともあります。そしてセカンドオピニオン、サードオピニオンと診察を受けるごとに診断名がその都度変わり、どのように治療していいのか当事者自身も分からなくなってしまうという悪循環に陥ってしまうこともあります。

社交不安障害の存在について否定派の意見の中に「ディジーズ・モンガリング」という言葉があります。

この言葉は製薬会社が薬の売り上げを上げるために薬そのものではなく、その薬が利用される、病気とも言い切れない状態を拡大解釈して売り込むことを意味します。つまり利益追求のために薬の市場を広げようとする行動です。

確かに、よく知らない人と交流をすること、他者の注目を集めながら何かを話したり演奏したりすること、お店のスタッフに声をかけること、好意を持っている人と食事をすること、会社の朝礼や会議で発言することなど、程度の差はありますが多少なりとも緊張したり不安になったりするのではないかと思います。

こういった状態下での緊張や不安、あるいは恐怖というのは人間の生理的な反応として当たり前であり、「どうして病気扱いになるのか」という声があるのも頷けます。

しかしその一方で、病気であるのに病気として扱われていない人がいるのも事実です。そしてそれを性格だからと決めつけてしまい、適切な治療に結びつかないのは社会的に見ても損です。研究データによれば、20~60代における社交不安障害による労働損失額は年間で約1兆5000億円にもなると言われています。

また社交不安障害は他の不安障害と合併しやすく、うつ病やアルコール依存症とも関係が深い精神疾患です。さらに社交不安障害の症状のなかには統合失調症と似通う点があったり、発達障害の二次障害として社交不安障害の症状を訴えることもあり、社交不安障害を起点に様々な病気の存在の可能性をうかがい知ることができます。

この世の中には内気でシャイな性格の人もいれば人見知りな性格の人もいます。仮にそういった性格を持っていても日常生活に支障をきたすことがなければ問題ないと言えるでしょう。そのように考えると、自力で克服できる条件として挙げた「生活に対する重篤性が低い人」というのも実は社交不安障害の病態像から離れるので、社交不安障害ではないのかもしれませんし、はたまた寛解状態なのかもしれません。

社交不安障害を病気と捉えることで人生が変わるケースは往々にしてあります。それゆえ社交不安障害の存在を無にすることはできず、病気として治療対象になりうるでしょう。

ただ否定的な声があって世間的な認知も低いという事実があることは把握しておかなければいけません。また社交不安障害の病態像について当事者や家族も理解を深めていき、適切な治療に結び付けられるようにしていく必要があるでしょう。

社交不安障害は誰しもが感じる不安や恐怖の延長線上にあることから正常と病気の境い目が難しく、また「他者からの否定的な評価に対する著しい恐怖」や「相手に迷惑をかけてしまうことに対する極端な不安感情」が医療機関への受診を妨げています。

さらに本人や周囲も性格として考えていることも多く、日常生活に支障をきたしてしまうかもしれない状況下でも耐え忍んでなんとか生活している人も少なくありません。

社交不安障害は不安を主体とする精神疾患だけに、不安を軽減することができれば「人との関わりを持ちたい」と内心思っている人も多いです。だからこそ本人もまた社交不安障害に対する治療法について悩んでいるのです。

条件次第ではあるものの、私個人の見解としては正直、社交不安障害を自力で克服するのは難しく、症状が改善するための土台として生活環境や周囲のサポート体制などが必要になります。

周囲のサポート体制には社交不安障害に対する理解も含まれますので、周囲が理解を示すために医師による正式な診断結果や専門知識のある臨床心理士による見立てなどが時には重要になってくると言えます。

社交不安障害の特性上、「自力で克服したい」という気持ちは共感できますが、合併症やその他の精神疾患の可能性も考えられるので一度、医療機関を受診して医師に症状のことを相談してみてはいかがでしょうか。

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