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社交不安障害と恋愛について

社交不安障害とは他者の注目を浴びるようなことに対して著しい恐怖や不安を感じ、結果的にそのような場面や機会を避けてしまって日常生活を円滑に送ることが難しくなってしまう心の病です。

他者の注目を浴びるというと大勢の前で何かを話したり演奏したりすることを想像しやすいものですが、それ以外にも一対一や少数のグループ内での会話や注目されること自体に恐怖を感じることもあります。

社交不安障害には赤面恐怖や会食恐怖、自己臭恐怖など、恋愛をするにあたって障害となる恐怖が含まれていますので、恋愛できるのかどうか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。

今回は、社交不安障害と恋愛をテーマに様々な角度から見ていきます。ちなみにここでの恋愛をするというのは男女の交際を指します。その前提で読んで頂けると助かります。

恋愛できないわけではない

結論を先に言いますと社交不安障害を抱えていても恋愛できないわけではありません。現に社交不安障害だけれども、素敵なパートナーが存在して、そして結婚に至っている人もいます。

ただし私が思うに、様々な条件がそこには存在して、また症状の程度にも大きく左右されるというのが前提としてあると感じています。

その条件や症状の程度と言うのはどういうものなのか具体的に見ていきます。

発症時期との関係

社交不安障害を発症する平均年齢は13歳で、75%の人が8歳~15歳までに発症すると言われています。つまり思春期の多感な時期に社交不安障害は発症しやすいということです。

思春期の頃というと学年でいえば中学・高校生の時期にあたりますが、やはりこの頃は、男子は女子に、女子は男子に意識しやすくなるときでもあります。

そのためこの時期に社交不安障害になってしまうと人に対して著しい不安や恐怖から人と交流する機会を避けてしまうので、恋愛感情はあっても実際に交際に至るというのは難しいと思います。

そして人と交流する機会を避けてしまうことが大人になっても継続的に続いてしまうと、ますます出会いの場というのが限られてしまうので、そういった意味で、社交不安障害が元になって恋愛しづらいと感じている当事者も多いのではないかと思います。

ただ残りの25%の人は大人になってから社交不安障害になってしまったということなので、その場合は社交不安障害を発症する前に恋人がいたり、結婚していたりする人もいると思います。

そのため社交不安障害なのにどうして恋人がいるのか、結婚しているのかという同じ当事者側の疑問は払拭できるのではないでしょうか。

性別の違い

社交不安障害の発症に対して性差は関係ないと言われています。つまり男性であっても女性であっても発症する人は発症するということです。

しかし恋愛ができるかどうかということに対しては大きく性別の差はあると思います。

それはどうしてか。

社交不安障害は症状が慢性化することで職業の選択が限られたり、社会的スキルの習得が困難になったりします。言うなれば社交不安障害があることで定職に就きにくいことを示唆しています。

ところで一昔前よりも、男女ともに初婚年齢が上がっているのは皆さんもご存じだと思います。

厚生労働省が発表した『平成23年人口動態統計月報年計』によると、平成23年の平均初婚年齢は夫30.7歳、妻29.0歳となっています。ちなみに平成5年では夫28.4歳、妻26.1歳となっています。

確かに数字だけみると「やっぱり初婚年齢は上がっているな」、「年々と晩婚化が進み結婚しづらくなってきているのかな」と思うのではないかと思います。

実際、平成5年から23年の間には就職氷河期と言われる時期があったり、雇用に対する規制緩和が進み働き方が大きく変わったりした時でもあります。

もちろん時代とともに結婚に対する捉え方が変わってきたこともありますが、それでも年々初婚年齢が上がっている背景には私たちの生活を取り巻く経済的環境の変化ということも要因の一つとして十分考えられるでしょう。

そしてそのように考えた時、社交不安障害を抱える人というのは、本来社会で十分生かせる能力があるのにも関わらず職業選択が限られてしまい、経済的な側面から見ても不利益を被ってしまいやすくなります。

また男性ならば将来的には家族を養っていかなければならないでしょう。仮に百歩譲って奥さんになる人に養ってもらえればいいという考えもあると思いますが、相手からの否定的な評価に対する恐れが根底にある社交不安障害の場合、あからさまに他者に迷惑をかけるような状況を選択することは考えにくく、むしろ迷惑をかけるくらないならやらないということを選びます。

そのため社交不安障害で恋愛をしたいということになった時、そのしやすさということを考えると男性よりも女性の方が比較的しやすいと言えるのではないかと思います。

2つのタイプによる違い

社交不安障害には2つのタイプが存在します。それが全般性社交不安障害と非全般性社交不安障害です。非全般性社交不安障害は限局性社交不安障害とも言われます。

全般性社交不安障害というのは基本的には人と接すること、交流すること、その全てのことに対して恐怖を感じる心の病気です。そのため学校や職場での人間関係、そして日常生活のあらゆる活動が狭くなってしまい人生の質が低下しているのが見受けられます。

一方で非全般性社交不安障害というのは特定の機会において身体症状が表れ、そのこと自体に恐怖を感じる心の病です。

例えば、人前でご飯を食べるのが怖い会食恐怖、人前で何かを話すことが怖いスピーチ恐怖はまさに非全般性社交不安障害の典型的な事例と言えます。

しかし全般性社交不安障害と非全般性社交不安障害の明確な境目というのは存在しません。非全般性のものであっても、全般性の要素を含んでいることもありますし、その逆も然りです。

ただ恋愛のしやすさということでいったら、全般性よりも非全般性の方がしやすいでしょう。

それは非全般性の方が特定の部分を回避できれば症状は表れず、恋愛がしやすい環境を作りやすいからです。実は社交不安障害と言っても、全ての人に対して恐怖を感じるケースはあまりありません。

もちろん全ての人に対して恐怖を感じる場合もありますが、その場合だと回避性パーソナリティ障害を併発している可能性があり、社交不安障害の範疇から離れて考えられることもあります。

社交不安障害という話で進めていくと、理解ある人なら恐怖を感じることもなく普通に接することもでき、その理解者が彼氏や彼女あるいは結婚相手になるケースがあります。

当事者にとっての理解者が表れるかどうかということが重要なのですが、非全般性であれば活動範囲も広がるので可能性は高まるでしょう。

人間関係に対するトラウマとの関係

社交不安障害といってもその領域は幅広いものがあります。

社交不安障害に含まれる恐怖群を見ると分かりますが、どの恐怖も人が関わっているものが特徴として見られるものの、その表れ方というのに様々なバリエーションがあります。

例えば、話している内容を誰かに聞かれているのではないかという不安から電話をかけたり受け取ったりするのが辛い電話恐怖、職場で来客した人のためにお茶を出す際に手がふるえてしまうのが辛い振戦恐怖、そして男性に恐怖を感じたりする男性恐怖、女性に恐怖を感じたりする女性恐怖、これらは社交不安障害に含まれる恐怖ですが、その表れ方というのは全く異なります。

特に男性に対して強い恐怖を感じてしまう男性恐怖や女性に対して強い恐怖を感じてしまう女性恐怖の場合、その背景には父親なり男の人から性的虐待やいじめを受けたトラウマ、母親からの虐待や学校で女子生徒にいじめを受けたトラウマが関与している可能性が高いです。

社交不安障害の原因の全てに人間関係に関するトラウマがあるというわけではありませんが、環境的要因を考えた時にトラウマの程度というのは重要な要素になってくると思います。

そしてそのトラウマを考えた時に消えることのない心の傷が深いほど、人そのものに対して恐怖を感じてしまい恋愛関係にも影響を及ぼすのではないでしょうか。

社交不安障害に限らず、何かしらの病を抱えながらも恋人関係になり、結婚している方というのは数多く存在します。

しかし何も病を抱えていない人と比べれば、恋愛をするにしても結婚をするにしても苦労しやすいというのは事実だと思います。

それに今現在、恋人関係にあったり結婚していたりしても、本当にその関係を今後も継続していきたいと思っているかというとそうではないこともあると思います。

相手に不満を持っていても、社交不安障害ゆえに新しい人との関係を築くことに恐怖を感じてしまって、仕方なく今の関係にとどまっているケースもあるからです。

とりわけ社交不安障害の根底には、相手から否定的な評価を受けてしまう、拒絶されてしまう、他の人に迷惑をかけてしまうといった強い思いがあります。それゆえ人が集まる場所を避けたり、人と接する機会を拒否したりする回避行動が表れるのです。

ただ社交不安障害の程度にもよりますが、回避行動を取らず人と出会う機会を増やすことで、恋愛はぐっとしやすくなります。

もちろん何も障害を抱えておらず独身を謳歌している人もいるので、恋愛をして結婚したいかどうかはその人自身の考えによるものが大きいですが、もし恋愛の妨げになっている背景に社交不安障害が関わっているのならば、社交不安障害の症状を改善することに大きな意味を持つのではないかと思います。

社交不安障害を抱えながらの恋愛は難しい側面もありますが、素敵な恋愛をしたいから病気を治すという明確な目的を持って治療に臨むことで、改善する早さも変わってくると思います。

当事者間でもいろいろな思いがあるかもしれませんが、社交不安障害だから恋愛をしてはいけないということはないので、自由な恋愛をしてほしいと思います。

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