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社交不安障害と仕事について

社交不安障害というのは人と接するような機会や場所において著しく強い恐怖や不安を感じてしまい、日常生活に大きな支障をきたしてしまう心の病です。

その根底には「他人に不快な思いをさせるのではないか」、「自分が恥をかいて恥ずかしい思いをしてしまうのではないか」という思考が強くあり、それゆえ仕事に就く前の段階で大きな壁を感じ立ち往生している人も多いと思います。

ただ中には、社交不安障害を抱えながらも生活のために仕事を頑張っている方や比較的症状が軽いということで条件付きで働いている方もいるでしょう。

しかし現在なんとか働いている人であっても置かれている立場が変わってしまえば、社交不安障害の症状がどんどん悪化してしまう危険性はあります。

「自分は心の病にはならない」と自負している人であっても、うつ病や適応障害などの心の病になってしまう今の世の中ですから。

ではそのような世の中で社交不安障害を抱える人がどういった仕事に就けばいいのか、色々な視点で考えていきたいと思います。

仕事に支障をきたす社交不安障害

社会に出ることによって真っ先に求められるのがコミュニケーション能力だと思います。

少々古いデータではありますが、2004年に厚生労働省が企業に対して実施した『若年者の就職能力に関する実態調査』において、採用時に重視する能力として第一位に挙げたのがコミュニケーション能力でした。

そして時代を経ても、仕事を円滑に進めるために必要な能力であるコミュニケーションが求められるのは変わらないと言えるでしょう。

ところがそのコミュニケーション能力を低めてしまう背景に、社交不安障害に含まれる恐怖群が存在していることは紛れもない事実です。

相手からの視線が怖かったり自分の視線が相手に不快を与えているかもしれないと感じる視線恐怖や、誰かと一緒に食事をすることに恐怖を感じる会食恐怖などは、まさにコミュニケーション能力を著しく低めてしまっている可能性があります。

仕事に就く為には面接という通過儀礼があります。故にどんなに学力が高くても、秀でた才能があっても面接で企業が求める人材と判断されなければ採用に至りません。

インターネットのコミュニティーサイトである教えて!gooにこのような質問がありました。

皆さんの励ましを頼りに、勇気を振り絞って今日の午前にバイトの面接に臨んでみたのですが、どうしても恐怖が湧いてきて、面接の途中で吐き気に襲われました。
「すいません、ちょっとお手洗いを貸してください」と言いかけた時に先方がいる前で吐いてしまいました。「本当に申し訳ありません」とひたすら謝ったのですが、結果は当然、不採用でした。
少しでも社会復帰をしようとしているのに、いつも吐き気や過呼吸、下痢に見舞われてしまう・・・こんな私はダメ人間なのでしょうか?

出典:教えて!goo 「バイトの面接で吐いてしまいました。」https://oshiete.goo.ne.jp/qa/5016256.html

面接になると恐怖感を抱いてしまい、吐き気や過呼吸などの症状に襲われてしまうという悩みですが、実際に私も似たような経験をして、その後ひきこもってしまった人間なんで、この方の気持ちはとても理解できます。

この質問の方は以前の投稿によると障害者年金を受給しており、そのお金で自動車免許を取ったり図書館でボランティア活動したりと、自分の出来る範囲のことを前向きに頑張っているので面接さえ乗り越えればという段階なのかなと思います。

いずれにしても面接の雰囲気、一対一で向かい合って話さなければいけないなど、対人恐怖や対人不安を抱える人には耐えがたいものがありますね。

また仕事の内容によっては、社交不安障害が悪影響を及ぼしてしまうこともあります。

例えば電話対応、人前での挨拶やスピーチを求められたりすることに対して恐怖や不安を感じてしまうと、仕事の評価に著しく影響することがあります。場合によっては、やりたい仕事にも関わらずそのような恐怖や不安が強すぎて、回避行動に走り仕事自体を辞めてしまうこともあります。

社交不安障害を抱える人の働き方とは

働きたいのに不安や恐怖が自動的に思い浮かんで行動に移せない。けれども周囲からは「単なる甘え」として見なされてしまい、口うるさく働きなさいと言われている。

このような自分の中にある思いと周囲の意見との間で板挟み状態になっているケースが非常に多いと思います。

ところで働くといってもその働き方は多岐にわたり、会社に勤める人、家業を継ぐ人、どこにも所属しないでフリーランスとして働く人など様々ですし、雇用形態もまた正社員や常勤といった正規雇用からパートにアルバイト、非常勤といった非正規雇用があります。

ただ多くの人が思い浮かぶであろう働き方というのは、どこかの会社や団体組織に勤めて正規雇用で働くということなのではないかと思います。

しかしながら繰り返しになりますが、社交不安障害を抱えていると仕事に就く前の段階で非常に苦労しますし、仕事に就いてからも仕事内容そのもので精神的に疲れてしまうケースが多いです。

もしどこかの会社や組織に就職を目指すということであれば、社交不安障害の症状を悪化させないような仕事選びが求められるでしょう。

また自分の中で出来そうな仕事であっても、フルタイムというよりは時短で働いたり、あるいは転勤がある仕事ではなくエリア社員といった特定の地域限定で働いたり、時間や環境を調節する必要性は高いと言えるでしょう。

ところで何か障害を抱えている人のために障害者手帳というものがあります。そして手帳があることで障害者雇用枠を利用して就労することが可能になります。

2016年4月に改正障害者雇用促進法が施行されました。この促進法により障害者に対する不当な差別が禁止になり、障害者だからといって低賃金や昇給させないなどの差別的な行為はしてはいけないことになりました。また採用においても精神障害者だからといって、それだけを理由に採用を拒否することをしてはいけないことになりました。

ただし、社交不安障害だけの症状のみでは精神障害者と認められていないケースが大半なので、障害者手帳を確保することができないかもしれません。

社交不安障害は不安障害に属する精神疾患のひとつで、ここに属する精神疾患は適切な治療介入があれば、一般的には症状が完治したり、かなり改善したりすることが分かっています。いわゆるグレーゾーンの状況にいると言っても過言ではないでしょう。

グレーゾーンにいる人たちの就労というのは、精神疾患のことを隠すクローズで行うか、それともオープンで行うのか悩ましい部分がありますが、もしオープンで行うのであれば障害者の就労支援に詳しい企業が持つ情報を参考にするのもいいと思います。LITALICOワークスは障害者の就労支援企業として有名です。こういった企業が提供している情報を活用するのも悪くないでしょう。

社交不安障害を抱える人に向いている仕事

社交不安障害を抱える人は他の人の視線や言動が気になったり、他人から評価されることが嫌だったりするので、人と一緒に何かをするということよりも一人で黙々と仕事ができるものの方がやりやすいでしょう。

そのような条件を考えると、WEB関係の仕事全般、ハンドメイド職人、小説家、工場でのライン作業、スーパーの品出し、トイレやビルの清掃員などの仕事が候補として挙げられます。

また近年、大手企業もリモートワーク(在宅勤務)での働き方を推奨する動きを見せています。この背景には女性の社会進出の増加と出産後の育児と仕事の両立ということが目的としてありますが、そのような理由以外でオフィスで働くことができない人にとっても好都合と言えます。

しかし大手企業に所属しているということではなく、個人として在宅勤務をしたいということであれば、個人的に仕事を請け負わなければいけません。

幸い未経験でも、ネットを利用して不特定多数の人に仕事を依頼するサービスであるクラウドソーシングを利用すれば、実際に人と会わずに仕事を請け負い、その成果物に対して報酬を得ることが可能です。

もちろん自分のスキルを高める努力、自分に適した仕事内容にめぐり合う運も必要ではありますが、ネット環境が整っていれば、やり方次第で在宅であっても外で働いている人と同等、あるいはそれ以上の金額を稼ぐことも可能です。

ただ実際のところはどうなんだろうと不安もあると思います。仕事内容だったり仕事の流れだったり、そういった部分でハードルを高めてしまっていることもあると思います。

なので一度、クラウドソーシングそのものを知ってみるといいと思います。日本においてはランサーズクラウドワークスが圧倒的に有名ですが、最近では、テレビCMを利用して知名度を上げているココナラ、その他にもシュフティShinobiライティングなどがあります。

文章以外にもイラストや画像編集など多種多様な仕事依頼があり、またクラウドソーシングを提供しているサイトには、体験談や初心者のためのQ&Aも用意されていますので役に立つのではないかと思います。

余談ではありますが、当サイトの管理人のアイコンはココナラを通じて描いていただきました。依頼する側も受ける側も気持ちよく取引できました。

社交不安障害を抱える人の葛藤

人の視線や言動に対して過剰に反応してしまい、否定的な評価に対する恐れが強いのが社交不安障害の大きな特徴でもあります。

しかし社交不安障害というのは程度や範囲というのが人によって様々であり、社交不安障害だから○○であるという断定ができない部分があります。

そのため一緒くたに考えてしまい誤った理解が進んでしまうこともあるのです。

先程も社交不安障害の特徴として否定的な評価に対する恐れが強いことを言いましたが、このように思ってしまう気持ちの背景には人が好きだからこそというものがあります。

人が好きで人に嫌われたくないから否定的な評価に対する恐れが背景にあると言えます。

こうした考えが強い場合、むしろ一人で黙々とやるよりも、理解ある人たちと一緒に和気あいあいと仕事をする方が自分らしさを出しやすくなります。

矛盾しているように思えるかもしれませんが、実際に社交不安障害を患いつつ恐怖や不安を耐え忍びながら、あえて人と接するような対人関係の仕事を選択する人もいます。

しかし他の人からの視線の恐怖であったり、人と一緒に食事をしなければいけない恐怖であったり、そのような恐怖が強すぎるあまり身体症状が表れてしまうと、ますます社交不安障害を悪化させたり、改善する機会を失ってしまうことになってしまうのです。

当事者の心の中には常に葛藤があり、この症状が表れなければどれだけ楽なのだろうと思うのです。

社交不安障害の背景には過剰なまでの否定的な評価に対する恐れが存在します。その感情が強まってしまうことで、吐き気や過呼吸、心拍数の増加などといった身体症状が表れてしまい、今後も同様の症状に見舞われたくないという気持ちから回避行動に繋がっていきます。

結果、回避行動が続いてしまうことで当事者はひきこもり状態になってしまい、ますます否定的な評価に対する恐れを強化してしまうこともあります。

今回、社交不安障害を抱える人がどういった仕事に就いたらいいのかということに関して色々な可能性を考えてみました。

社交不安障害はその根底に人と関わることに対して恐怖を感じてしまうため、人の視線を気にせず黙々と働ける仕事がいいのではないか、否定的な評価の恐れの背景に「人が好き」という気持ちが関わっているので、理解ある人たちと一緒に和気あいあいと仕事をするのがいいのではないかなど、必ずしも社交不安障害だから○○の仕事という形に決めつけることはできません。

人によって職種、雇用形態、働く環境は大きく異なってきます。

社交不安障害を患ってしまったが故に、やりたい仕事に就けないでいる、資格を取っても生かせずにいる、能力があるにも関わらず不遇な日常を送っているケースが多々あります。また自分を責め続け、自分の価値を著しく低下させてしまっている現状もあるでしょう。

自分の価値を低く見てしまうというのは、認知の歪みが関係しているというのもありますが、適材適所という言葉があるように、自分の能力を発揮できる場所が誰にでもあるはずです。

自分がどういう環境だったら働けるのか、どういった働き方が適しているのかをよく考えて、その考えを理解ある方と一緒に共有できれば道は開けてくるでしょう。

全国には自立や就労に悩む若者に対し、社会的自立に向けた支援を行う機関であるサポートステーションジョブカフェがあります。

そういったところで相談してみるのもいいですし、SNSを通じて同じ悩みを抱えている者同士で相談し合うというのもいいと思います。

社交不安障害を抱えているとなかなか相談できないこともありますが、何かのきっかけで状況が大きく変わることもあります。もし信頼できそうだなと思う人がいれば、ひとりで抱え込まず相談してみるのもいいかもしれません。

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