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系統的脱感作法とは!?手順、効果、特徴について

心理療法にはいろいろな種類があります。認知行動療法や森田療法はその中でも有名な心理療法なので聞いたことがある人も多いのではないかと思います。

一方で今回紹介する系統的脱感作法は、意外と知られていない心理療法なのかもしれません。

系統的脱感作法とは精神科医であるWolpeによって開発された行動療法のひとつで、簡単に言えばリラックス法を身につけて、不安とリラックス状態を条件づけて徐々に不安を軽減していく方法です。

不安障害を持っている人に有効とされている方法でもあります。

では具体的にどういう手順で行われ、どのような特徴があるのか見ていこうと思います。

系統的脱感作法について

感作と脱感作という言葉

ところで系統的脱感作法の「脱感作」という言葉を聞いてもいまいちピンと来ないと思います。

具体的な手順を見ていく前に、この言葉について少し説明したいと思います。

感作という言葉ですが、この言葉はアレルギーを引き起こすような状態を指し示します。

もはや現代病とも言われる花粉症、そして気管支ぜんそくはまさにアレルギーの代表例ですが、アレルギーとは体内にある免疫反応がアレルゲンとなる花粉やダニ、ほこりに対して過剰に反応してしまうことで起こります。

このメカニズムを不安に当てはめてみると、こんな感じになるのではないでしょうか。

不安は誰しもが持っている感情のひとつです。しかし不安に対して過剰に反応してしまう人も中にはいて、最初に抱いてしまった不安が、次の不安を引き起こしやすくなることがあります。不安が不安を呼んでしまう悪循環は、不安障害を持っている人の特徴でもあります。

この不安を引き起こしやすくなっている状態を少しずつ慣らして、不安に対する過敏性を減らしていくのが系統的脱感作法の「脱感作」の部分なのです。

そして徐々に慣れさせるための手順として確立されたのが系統的脱感作法ということになります。

不安階層表の作成

不安に対する過敏性を徐々に減らしていくためには、不安対象となるものにどの程度の不安を感じるかを客観視する必要があります。

そこで使われるのが不安階層表です。またその際にSUD尺度を用いるのが一般的です。

SUDとはSubjective Units of Distress(不快さの主観的な単位)の略で、当事者が体験した感情の強さと不快さを見積もる方法のひとつです。0~100までの数字で表し、大きい数字ほど不快さが強いことを表します。

では具体的に不安階層表をどう作るのか見ていきたいと思います。

ここでは私自身が実際に取り組んだ例を参考に、最終目標として外食できるようになることを掲げて作っています。

目標を設定する時には以下の点に気をつけると効果的です。

  • 目標に向かって取り組んでいる時に一緒に取り組める人はいるか
  • 個々の目標は具体的であること
  • 課題をいつ実行するのか
  • 課題をどこで実行するのか
  • 課題をどれくらいの時間的長さで取り組むのか

では実際に不安階層表を書いてみるとこのようになります。もちろん一例ですので、いろいろな書き方があるでしょう。

課題 SUD
初対面の人と一緒に注文した料理を食べる 100
職場の人と一緒に注文した料理を食べる 95
ひとりで注文した料理を食べる 90
友達と一緒に注文した料理を食べる 75
カフェなどで飲み物だけを注文して飲む 60
自宅で友人と一緒に料理を食べる 50
自宅で親戚と一緒に料理を食べる 40

段階の数は、課題の難しさの程度にもよるので、自分自身の課題に応じて変えていくのがベストです。また自分ひとりで作成できない場合はカウンセラーや支援者と一緒に作るのもいいと思います。

その際、カウンセラーは「75%ルール」を提示することもあります。達成できる可能性が約75%であるような目標を採用して、段階から段階へのステップが大きな飛躍になりすぎないようにするのです。

ただし最終目標を決めるのは自分自身です。自分がどうなりたいのか、何に苦しんでいるのか、人生の質を取り戻すような目標を立てましょう。

またSUDについて評価はシビアにやった方がいいのですが、あまりにも厳しくしすぎると成功体験を積めなくなってしまうので注意が必要です。

不安階層表が作成したら系統的脱感作法に取り組んでいくのですが、その前に自分なりのリラックス法を身につけなければいけません。というのは、系統的脱作法が不安とリラックス状態を条件づける必要があるからです。

リラックス法を身につける

リラックス法、こわばった筋肉を緩めるので弛緩法とも言えますが、リラックス法にはいくつかの方法があります。

よく聞くものとしてはドイツの精神科医であるSchultzが開発した自律訓練法や、アメリカの精神科医であるJacobsonが開発した漸進的弛緩法が挙げられます。

自律訓練法というのは自己暗示によって全身の緊張を解き、身体の状態を自分で整えられるようにする自己催眠法のひとつです。

公式化されていて、気持ちを落ち着かせた状態で手足が重たい、手足が暖かい、心臓が静かに打っている、楽に呼吸をしている、お腹が温かい、額が心地よく涼しい、といった一連の流れの中で身体の微妙な感覚に意識を集中させます。そして最後に両手を強く握ったり開いたり消去動作を行って終わりとなります。

訓練には数週間かかり、またぜんそくなどの持病がある人は副作用が出る場合もあるので合わない人もいるかもしれませんが、それでもリラックス法を身につけるヒントとして自律訓練法から学べることがあるのではないかと思います。

次に漸進的弛緩法についてですが、こちらは体の各部位を緊張させてその後脱力することでリラックス状態を導きます。

例えば、手を強く握って約10秒ほど筋肉を緊張させた状態にします。そこから一気に緩めることでじんわりゆっくりと温かさを感じられます。温かさを感じられるというのがリラックスしている証拠になります。

もちろん手以外にも顔や背中、お腹、そして足など力が入る部位は対象になります。さらに全身に対して取り組むことで効果がさらに期待できます。

自律訓練法や漸進的弛緩法を用いて、不安を感じた時に自らリラックスできる状態を作り、不安の連鎖を引き起こしていた悪い条件付けから良い条件付けに変えることで、不安に対する過敏性を徐々に弱めることが期待できるのです。

曝露療法との違い

系統的脱感作法は不安を感じるシーンをリラックス法と結びつけて徐々に慣らしていくので、小さな不安から徐々に大きな不安へ段階的に不安を感じる状況を作り上げて免疫力をつけていく曝露療法と似ているところがあります。

見方次第では同じ方法なのではないかと思ってしまいますが違いもあります。

曝露療法の場合、不安場面からの回避行動を減らすことに重点が置かれます。この点が系統的脱感作法と違っています。

不安や恐怖という感情は長く続くものではなく、生理学的には20分ほどで落ち着いてきます。身体のメカニズムの知見が曝露療法を下支えし、不安を感じてもその場にとどまり敢えて不安を感じる状況に身を置くことで効果が発揮されます。

しかし場合によっては、現実生活の中で曝露療法を取り組むのが難しいケースもあります。いきなり不安場面にさらしてしまうと不安や恐怖を増大させ、ますます回避行動を助長させてしまう可能性があるからです。

私自身も曝露療法に取り組んでいましたが、取り組みを始めるまでに1年ほど準備期間を要しました。

一方で系統的脱感作法は、いくつかの課題に対して想像上で実践することができます。想像上の脱感作とも言いますが、不安を感じる場面を思い出しリラックス法を実践して、不安に直面した時のコントロール感覚を養います。

もちろんこれだけで不安障害を改善させることは難しいのですが、想像上の脱感作から現実での実践という流れが期待できますので、取り組むハードルを下げることができます。

今回、系統的脱感作法の大まかな手順、特徴を紹介しました。

系統的脱感作法もそうですが、心理療法の場合は不安や恐怖を克服するのに時間がかかります。また不安や恐怖から回避してきた時間が長ければ長いほど、症状が深刻化していることが大半なので、短期間で効果が得られず途中でやめてしまうことも十分に考えられます。

しかし不安障害を持っている人には体質的にお薬が合わない人、またお薬を使うに至らない人、徐々に薬を減らしている人もいます。

その場合、不安を克服する手段のひとつとして、リラックス法を身につけて不安とリラックス状態を条件づけて徐々に不安を軽減していく方法である系統的脱感作法が役に立つのではないかと感じます。

また一度やり方を身につければ、不安障害の再発予防にも期待できると思います。

不安障害の程度にもよりますが、不安が強すぎて日常生活を満足に送れない辛さというのは当事者にしか分からないところもあります。そして当事者は自分でなんとかしようと試みるものの、上手くいかないケースというのがよくあります。

そんな時こそ周囲の支援が欠かせません。心理療法は環境づくりという面でも周囲の支援があって奏功しやすいものです。

治療が円滑に進みやすいような環境の提供を支援者が、そして病気を克服しようと前向きに試みようとする当事者の意志、双方が同じ目標に向かっていくことを望みます。

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