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場面緘黙症(選択性緘黙)とはどんな病気!?症状、原因、治療法について

小学生や中学生の頃、あるいは現在、クラスに物静かな子は居ませんでしたか。

みんなと一緒に遊ぶこともなく、昼休みは一人黙って本を読んでいたり授業の予習や復習をしていたり、もしかしたらその子は場面緘黙症を患っていたのかもしません。

今回は場面緘黙症当事者の声も取り入れながら、不安障害とも関わりの深い場面緘黙症とはどういう病気か、その悩みや辛さについて、具体例を交えながら説明していきたいと思います。

場面緘黙症とはどういう病気なのか

場面緘黙症(選択性緘黙)とは、ある特定の場面、特に話すことが求められる場面において、話したくても話せなくなってしまう心の病です。

特定の場面や場所で話せなくなってしまうこと以外にも、「緘動」と言って特定の場面で動けない状態になってしまうこともあり、それによりトイレに行けなかったり、給食が食べられなかったりするケースもあります。

場面緘黙症は幼少期の頃に発症するケースが多く、小学校に入学して会話する場面や機会が増えることにより分かることが大半です。

ところが場面緘黙症は知らない人から見れば「恥ずかしがり屋」、「人見知り」として捉えられてしまうので、適切な処置や対応がなされないまま成人することもあり、緘黙や緘動が続くことで社会生活に支障をきたしてしまい、そのまま引きこもり状態になってしまうことも少なからずあります。

また当事者でさえも、自分自身が場面緘黙症だと知らずに生きづらさを抱えながら生きてきて、大人になってから初めて場面緘黙症の存在を知った方もいらっしゃいます。

場面緘黙症になってしまう原因

場面緘黙症に苦しんでいる人たちの気質に共通して、新しい環境に遭遇した時や対人関係を求められた時に強く不安や恐怖を感じてしまうという傾向が見受けられます。

そのような気質は「行動抑制気質」と呼ばれるもので、アメリカの心理学者であるJ.Kaganが幼児の行動観察に関する研究において、見知らぬ場所や場面において緊張や不安でその場から引きさがってしまう様子を示すタイプが存在することを明らかにしています。

場面緘黙症に関して、しばしば「親の育て方が悪いのではないか」という声がありますが、それは誤解で、親の育て方が直接の原因で場面緘黙症を発症するわけではありません。背景には行動抑制気質が深く関係しています。

場面緘黙症は不安障害に分類される心の病気ですが、行動抑制気質が関係している点は他の不安障害に分類される心の病気と共通しており、その中でも分離不安障害や社交不安障害と似ています。

もしかしたら場面緘黙症の症状以外にも、分離不安障害や社交不安障害の症状が表れている可能性があるかもしれません。

分離不安障害(分離不安症)とは、親や親と同等の立場の人から離れることに著しい不安感を覚え、その気持ちが10代や成人してもなお続くことで、日常生活や社会活動に支障をきたす心の病気。

社交不安障害(社交不安症)とは、「他人からどのように見られているのか」、「どのように思われているのか」ということに対して著しい不安や恐怖を感じてしまい、日常生活や社会活動に支障をきたす心の病気。

行動抑制気質を持つ子どもが運動や言葉に関して何かしらの問題を抱えていたり、また入学による環境の変化や新しい人間関係によって心身に過剰な負荷がかかったりすることで発症してしまうと言われています。

さらに当事者の中には、生まれつき音や光などの外的刺激に対して敏感に反応してしまう人もいて、自閉スペクトラム症と合併しているケースも報告されているので、発達障害の有無について明らかにすることで、より適切な治療に結びつくことが期待できます。

場面緘黙症の主な治療法

場面緘黙症は不安障害のひとつなので、治療法の候補としてはお薬によるものと心理療法が考えられます。

ただし場面緘黙症は幼少期の頃に発症することがほとんどで、またリスク的な側面を考慮して子どもに対してお薬を処方するというのは推奨されておらず、心理療法がメインとなります。

心理療法ということで考えるならば、認知行動療法や曝露療法(エクスポージャー法)などが候補になります。

認知行動療法については心理療法の中でも主流になってきているので、その言葉を一度は耳にした人も多いと思いますが、モノの捉え方や考え方の偏りや歪みを修正し、現実的で柔軟な捉え方を身につけて不安を上手にコントロールすることを目的とします。

曝露療法(エクスポージャー法)は認知行動療法の治療プログラムの一環となっていることもありますが、単独で用いられることもあり、そのやり方は、あえて自分の恐怖や不安となっている状況や場面に身を置き、慣れさせて成功体験を獲得することを目的とします。

場面緘黙症が幼少期の頃に最も発症することを考えると、仮に幼少期の頃に治療を開始した場合、本人の自助努力だけでは難しく、周囲が安心して話せる環境を作ったり、目標を達成したことを褒めてあげたりすることが大切です。

治療の開始が遅くなってしまうと、症状が固定化されてしまう場合もあり、さらにうつ病やその他の不安障害を招いてしまうことがあるため、できる限り早期の治療が望まれます。

当事者と周りのズレが大きい現実

場面緘黙症という特有の病気なので、当事者は話したいのに話せない状態に心を痛めていることがほとんどです。

この記事を書くにあたり、快く協力していただいた当事者の方は大人になってから場面緘黙症のことを知り、思春期の頃は「話したくても話せない状態に心を痛めていた」と繰り返し話していたのが特徴的でした。

また今でも場面緘黙症の後遺症に悩まされていて、実際の日常生活では近所への挨拶、飲食店での注文、美容院での何気ない会話などに苦痛を感じ、外出さえも1人では難しい時もあるそうです。

場面緘黙症は会話する能力がないわけではなく、能力を持っていてもできない状態なので、実際に会話のやり取りをしてみると話が面白かったり、楽しかったりすることもあります。

現に話を伺った方は、言葉の端々にユーモアを感じ、本当に場面緘黙症なのかと疑ってしまうほどの爽やかな方でした。しかし、強い不安や緊張から、会う直前に薬を飲んで症状を抑えていると話していました。

またその方の過去の話や当事者グループでの出来事を伺うと、場面緘黙症を持っていても全く喋れないということではなく、場所によっては喋れることもあったり、日本語では難しいけれど英語などの外国語ならば喋れることがあったり、場面緘黙症と言ってもその症状は多岐に渡ることを教えていただきました。

場面緘黙症に限った話ではありませんが、心の病気というのは診断名が同じでも各々によってその症状が様々ということは珍しくありません。そのため症状の表れ方が異なっているからこそ、周囲と当事者との間にズレを生んでしまっていると思います。

特に場面緘黙症は家の外では話せないけれど、家の中なら話すことができるケースが多々あり、余計に病気の発覚を遅くしてしまいます。

治療のためにも周囲の理解というのが必要不可欠です。本人の訴えに真摯に耳を傾けることが求められるでしょう。

場面緘黙症はそれほど知られている心の病というわけではありません。だからこそ当事者でさえもそのことに気づくのが遅れたり、ましてや周りの人はなおさらそのことに気づかず対応が遅れたりしてしまいます。

発症する典型的な時期が幼少期であることから母親から離れることを嫌がったり、対人関係に不安を感じていたり、その傾向が小学校に上がっても続くことで症状が本格化していきます。

しかし周りの対応が迅速かつ適切に行われれば、日常生活を円滑に送れる可能性は十分にあると言えます。

昨今、教員の長時間労働が問題視されていたり、一方で教員の不祥事が発覚したりと、学校教育のあり方が色々と問われています。

この場面緘黙症についても、できる限り学校教育に携わる人に知識として知ってもらいたいと思います。

当事者は小さなところで見えないメッセージを投げかけています。その投げかけたメッセージに耳を傾けてくれる人が増えることを切に願います。

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