不安症ラボ

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更新が滞っていましたが、その間サイトデザインなどを大幅リニューアルしました。タイトルも医療の流れに倣って「不安障害ラボ」から「不安症ラボ」に改名いたしました。なおリニューアルに伴い一部の記事を非公開としていますが、随時公開していこうと思いますので、それまでしばらくお待ち下さい。

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社交不安症のおすすめ本、20冊以上読んだ中から厳選して紹介

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社交不安症(社交不安障害)の本と言ってもたくさんありますよね。

かんたんな入門書から小難しい専門書まで、実際どれを選んでいいのか分からないこともあると思います。

私自身も全く知識がない頃は同じような気持ちでした。そのためとりあえず目についたものから手当たり次第に本を読んでいきました。

しかし「社交不安症」という扱いが難しいテーマだけに、論文をまとめたような学術的な本、掲載している内容が古い本などが思っていた以上にあって戸惑いました。

ここ最近は、社交不安症という言葉がメディアで取り上げられることも増えてきましたが、それでも認知度的にはまだ低いものです。

社交不安症について知りたい、理解したいということで何か参考になる本がないか探している人もいらっしゃると思います。本から学べることってたくさんありますよね。

今回は「社交不安症がどういったものなのか知りたい」、「社交不安症の症状について理解したい」という人に、私がこれまでに読んだ関連本20冊以上の中から、比較的わかりやすく、社交不安症の症状や治療法について簡潔にまとめられている本を厳選して紹介したいと思います。

そもそも関連本についてはレビューも少なく(あるいはほとんどない)、どういった本なのか全体像が掴みづらいと思います。関連本の中にも読者にとって参考になるものもあると思いますので、形式的には、参考としてこれまで読んだ本を一挙に紹介し、最後に厳選という形でおすすめを紹介します。

なにぶん字数が多くなってしまったので(1万字超え)、読むのに疲れてしまうと思います。結果だけを知りたい方は、スクロールして最後の部分だけご覧ください。

なお本の概要を説明する際には、旧名称(社会恐怖や社会不安障害、社交不安障害)ではなく社交不安症に変えて紹介していますので、ご理解ください。

社交不安症の関連本一覧

『図解 やさしくわかる社会不安障害』山田和夫監修

『図解 やさしくわかる社会不安障害』は、図解と銘打っているので図やイラストをふんだんに使い、「社交不安症とは何か」、「どんな治療法があるのか」、「家族ができること」など、症状から治療まで一通り網羅しているので、取っ掛かりとしてはすごく分かりやすい本です。

読み進めていくと分かると思いますが、社交不安症の症状が重くなる前に手を打ちましょうという感じなので、「もしかして自分は社交不安症かもしれない」と今まさに悩んでいる人は向いていると思います。

一方で社交不安症についてある程度知識があり、実際に診断を受けた人には分かっていることばかりだと思いますので、そういった方には新しい発見となるものは少ないと思います。

  • 1章人目が気になる…これって病気?
  • 2章どうしてこんなに不安になるの?
  • 3章こんな自分を変えたい
  • 4章薬物療法で気持ちがラクに…
  • 5章精神療法でものごとのとらえ方が変わる
  • 6章自分でもできることがある
  • 7章社会不安障害かな…と思ったら

『社会不安障害のすべてがわかる本』貝谷久宣監修

パニック症(パニック障害)や不安症群の第一人者、パニック症に関する著書も多い貝谷久宣先生監修の本です。

『社会不安障害のすべてがわかる本』は「すべてがわかる」という本のタイトル通り、網羅性が高いのが特徴です。その分、1ページに対する文章量が少なく、位置付けとしては入門的でもあります。

文章量が少なく内容自体も浅く広く扱っている印象を受けるので、もっと具体的な治療法を知りたいという方は、この本に併せてもう少し専門的な本を読むことをおすすめします。

  • 1章人前に出るのが怖い-症状と経過
  • 2章どうして、うまくいかないのだろう-社会不安障害とはなにか
  • 3章性格だと、あきらめていたけれど-正しい診断が治療への第一歩
  • 4章不安がすーっと軽くなった-薬物療法の最前線
  • 5章私は私を変えてみたい!-認知行動療法で克服する

『社交不安症がよくわかる本』貝谷久宣監修

同じく貝谷先生監修の本です。こちらの『社交不安症がよくわかる本』は2017年に出版された比較的新しい本で、本のタイトルも旧名の「社交不安障害」ではなく「社交不安症」としているところから新しさを感じます。

内容自体は、社交不安症の症状をはじめ、原因や治療法など幅広く取り扱っており、知識がない人でも分かりやすい構成になっています。

貝谷先生が監修していることもあって、パニック症や非定型うつ病で起こる「不安抑うつ発作」に関する記述もありました。

またこれまでの社交不安症の本ではあまり取り扱っていなかった「マインドフルネス」の記載があります。社交不安症と一緒にマインドフルネスの記述が掲載されている関連本は少ないので新鮮味を感じました。

  • 1章不安や恐怖がさまざまな症状として現れる
  • 2章社交不安症を理解するための基礎知識
  • 3章医療機関でおこなう治療法を知っておこう
  • 4章考え方や生活のしかたを少しずつ変えていく
  • 5章マインドフルネスで心を解放する

『よくわかる社会不安障害』山田和夫監修

『図解 やさしくわかる社会不安障害』で監修をした山田和夫先生が同じく監修を務めた本です。

そのため、内容自体も『図解 やさしくわかる社会不安障害 』で使われている統計データと同じところが見受けられるので、どちらか片方を読めば事足りるのではないかという印象を受けます。

ただ個人的には、こちらの『よくわかる社会不安障害』のほうがイラストやデータ資料に多彩な色を施してあるので、分かりやすく見やすい印象を受けました。

また社交不安症を患っていたと思われる有名人のエピソードもあるので、読んでいて勇気をもらえる本でもあります。

  • 1章社会不安障害とはどんな病気?
  • 2章不安や恐怖はなぜ起こる
  • 3章人生の全般に影響が大きい
  • 4章完治をめざす薬物療法
  • 5章不安に立ち向かう精神療法、補助療法
  • 6章不安を減らすために自分でできること

『あがり症のあなたは<社交不安障害>という病気。でも治せます!』渡部芳德著

社交不安症は発症のきっかけ、症状の表れ方や程度、抱えている悩みなどが一人ひとり異なっているため、一緒くたに考えにくい精神疾患でもあります。

そのため個々の症例が多く掲載されている本というのはすごく参考になり、また共感できる部分も多く、治療のプロセスを考えやすいというメリットがあります。

この『あがり症のあなたは<社交不安障害>という病気。でも治せます!』は、まさに個々の症例が豊富に掲載されています。

また社交不安症と鑑別を要する他の心の病について、専門的な視点から捉えているので、「社交不安症ではなく、もしかしたら別の病なのでは」と疑問に感じている人が病気の知識を取り入れるという意味では効果的な本でしょう。

あがり症と社交不安症は違いが指摘されているので、当事者目線で言えばタイトル的にどうなのかと思う部分もありますが、社交不安症を知らない人を治療というステージに引き上げるということであれば、これもまたアリなのかもしれません。

  • 1章<実例集>現代の若者に増え続ける社交不安障害
  • 2章単なるあがり症、引っ込み思案の性格と不安障害という病気の決定的な違いはどこにあるのか
  • 3章まず正しい診断をすることが何よりも重要
  • 4章社交不安障害の治療とは。薬でここまで治る
  • 5章治療をして見事に元気と自信を取り戻した3人の実例
  • 6章社交不安障害を改善するために誰でもできる対策とは

『人の目が怖い「社会不安障害」を治す本』三木治 細谷紀江共著

『人の目が怖い「社会不安障害」を治す本』は、医師と臨床心理士による共著なので、薬物療法の話と認知行動療法や曝露療法といった心理療法の話がバランスよく書かれてあります。

書かれた時期の都合で表記は「社会不安障害」となっていますが、内容自体に大きな差異は感じられません。

日本に従来から存在した対人恐怖症と社交不安症の違いについてや、社交不安症の症状の特徴、そしてなりやすい人の特徴なども平易な文章で掲載されていますので、専門的になりすぎず読みやすさを感じます。

  • 1章「人の目」が怖い
  • 2章社会不安障害とは
  • 3章社会不安障害の診断法と治療法
  • 4章自分でできる日常生活の注意点
  • 5章私たちはこうして社会不安障害を克服した
  • 6章社会不安障害なんでもQ&A

『正しく知る不安障害』水島広子著

対人関係療法の第一人者でもある水島広子先生の著書です。

『正しく知る不安障害』の表題には社交不安症の名前が入っていませんが、不安症に含まれるパニック症や社交不安症、そして近縁の強迫症やPTSDを不安という側面から捉えている本で、社交不安症の話もちゃんと登場します。

ただし章立てを見てもらえると分かりますが、社交不安症やパニック症といった診断名を基準にして構成されているのではなく、あくまでも不安症全体を扱うことで「身体」、「対人関係」、「認知」、「トラウマ」といったものと不安がどう結びついているのかということに重きが置かれています。

そのため初めて学ぶ方でも、ある程度知識がある方でも様々な方向から不安症を知ることができるので、「不安」に対する正しい理解に繋がる一冊ではないかと思います。

  • 1章不安とは何か
  • 2章不安障害とは何か
  • 3章不安と身体
  • 4章不安と対人関係
  • 5章不安と認知
  • 6章不安と行動
  • 7章不安とトラウマ
  • 8章身近な人との不安とのつきあい方
  • 9章怖れを手放す

『社会不安障害』田島治著

社交不安症の第一選択薬として「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」が用いられますが、そのSSRIを中心に社交不安症がどのように病気として登場したのかが歴史や経緯とともに詳しくまとめられています。

また『社会不安障害』では他の本でありがちな、「お薬を飲むと症状が良くなりますよ」というメリットばかり伝えるところを、あえて薬の副作用の事例や薬の効き過ぎで逆効果になってしまった事例を紹介しています。

内容自体はところどころ専門性が強くなっている部分もあるので予め知識を入れておくと読みやすいと思います。

社交不安症に対する適切な診断と治療の重要性、お薬に対するリスクについて当事者やその家族、また医師も含めて幅広く啓蒙するための本になっていると感じます。

  • 1章社会不安障害とはどういうものか
  • 2章病気としての登場の歴史
  • 3章病状と診断
  • 4章社会不安障害への批判
  • 5章社交不安の脳と心のメカニズム
  • 6章治療の実際

『社会不安障害・パニック障害がわかる本』福西勇夫編著

不安症をベースにその中でもパニック症と社交不安症に焦点を当てて、それらの病気の特徴、症状と診断、治療法などが一般向けに書かれてある本です。

社交不安症とパニック症の違いを症例とともに、また社交不安症と間違われやすい病気、パニック症と間違われやすい病気などについても合わせて確認することができます。

『社会不安障害・パニック障害がわかる本』は、出版されてからかなりの年数が経っていますが内容自体に大きく変わる部分は見受けられません。知識を深めたい人へのもう一冊に向いている本だと感じます。

  • 1章「不安障害」とは何か?
  • 2章今、注目されている「社会不安障害」「パニック障害」
  • 3章不安障害の症状と診断
  • 4章不安障害の治療のあらまし
  • 5章不安障害に対する薬物療法
  • 6章不安障害に対する精神療法(心理療法)
  • 7章不安のコントロール法と周囲の対応
  • 8章再発の予防と今後の展望

『不安症を治す』大野裕著

『DSM-5』の日本語版の監訳を務めている大野裕先生の本です。

『不安症を治す』には、タイトルに社交不安症が入っていませんが、社交不安症に関する記述は豊富です。ただ社交不安症の中でも人前で何かをすることに対して著しく恐怖を感じる「パフォーマンス恐怖」を中心に述べられています。

また大野先生自身も人前で話すのが苦手であるというエピソードを交えて、人前で話すことが苦痛にならないための気づきを提供しているので、社交不安症とは診断されてないけれど人前で話すのが苦手というグレーゾーンにいる人が読んでも為になると思います。

  • 1章みんな不安を抱えている
  • 2章それって「社会不安障害」?
  • 3章不安を和らげる治療法
  • 4章さまざまな不安障害
  • 5章不安はコントロールできる

『対人恐怖と社会不安障害』笠原敏彦著

対人恐怖の研究者としても有名な笠原先生の本です。

『対人恐怖と社会不安障害』は、内容としては専門的で、対人恐怖の臨床や診断、治療などに関心がある方にはオススメできますが、それ以外の目的で対人恐怖とは何か、社交不安症とは何か、社交不安症について何も知らず大まかな全体像だけを知りたいという方は別の本を先に読むことをおすすめします。

もう少しこの本について説明しますが、社会的な問題になっている「不登校」や「ひきこもり」については様々な要因が絡み合っていると言われていますが、対人恐怖もまたその要因のひとつとして考えられています。

対人恐怖とひきこもりの関係性について、この本では医学的な見地から語られていますが、教育に携わっている人が現場感覚として持っている経験知と見比べてみるのも面白いのではないかと感じます。

  • 1章対人恐怖の概念と臨床像
  • 2章対人恐怖から社会恐怖へ
  • 3章社会不安障害(SAD)の概念および定義
  • 4章対人恐怖と不安
  • 5章醜形恐怖の病理とひきこもり
  • 6章対人恐怖の外来精神療法
  • 7章対人恐怖の外来薬物療法
  • 8章中年サラリーマンにみられる会議恐怖について
  • 9章思春期にみられる神経性頻尿
  • 10章対人恐怖の後に統合失調症を発症した症例(1)
  • 11章対人恐怖の後に統合失調症を発症した症例(2)
  • 12章対人恐怖の後に統合失調症を発症した症例(3)
  • 13章「自己の発する音」に悩む症例
  • 14章独語妄想の臨床的特徴

『社会不安障害治療のストラテジー』小山司編著

『社会不安障害治療のストラテジー』を一言で言えばかなり専門的な本です。その分、執筆者に関しても専門家が揃っています。

これまで紹介してきた本の著者、例えば貝谷先生、笠原先生、大野先生、田島先生なども執筆者として名を連ねています。この方々以外にも、社交不安症の深刻度を検査する尺度LSASの日本語版を作成した朝倉聡先生、マインドフルネスに詳しい熊野宏昭先生、社交不安症を専門としている永田利彦先生の名前もあります。

この本を社交不安症の全体像を理解するために利用するというよりは、社交不安症の治療や症状の特徴をさらに詳しく知るため、生物学的な知見、疫学的な統計データを把握したいために使われると言ってもいいでしょう。

もちろんデータや症例数は豊富です。治療法についても様々な視点から述べられています。

医師であっても膨大な精神疾患を扱うために知識に偏りが生じてしまい、社交不安症についてそこまで深く知らないという方もいらっしゃいます。これは医師に責任があるというよりも、社交不安症に対する社会的な認知が低いから生じる問題でもあると思います。

そういった状況が生まれるなかで今の治療が果たして自分に適しているのか、自分で自分を治療するという意味でも活用できる一冊ではないかと思います。

  • Part1社会不安障害の概要と病態の特徴
  • Part2社会不安障害の生物学的特徴と治療アプローチ
  • Part3社会不安障害の評価尺度および診断
  • Part4合併症を伴った社会不安障害
  • Part5社会不安障害の治療の考え方とストラテジー
  • Part6社会不安障害の薬物療法による治療ストラテジー
  • Part7社会不安障害の治療評価を検証する

『対人関係療法でなおす社交不安障害』水島広子著

先ほども登場した『正しく知る不安障害』の著者である水島先生の本です。

社交不安症に対する治療法としては薬物療法によるものや認知行動療法といった心理療法によるものが挙げられますが、『対人関係療法でなおす社交不安障害』は、心理療法のひとつ「対人関係療法(IPT)」を主体として書かれています。

また対人関係療法の第一人者が著者であることから、対人関係療法の基本から、どういう特徴があってどのように進めていくのかが、つぶさにまとめられています。

社交不安症に対する心理療法というと「認知行動療法」や「森田療法」が有名ですが、社交不安症の本質的な部分を理解すると、まだまだ「対人関係療法」は一般的ではないものの「対人関係療法も効果的なのではないか」と感じます。

本の内容自体も社交不安症とは何か、どういう症状が表れるのかという部分もしっかり書かれてあり、文章もまたとても読みやすく治療法だけではなく社交不安症そのものを知るのに役立つ一冊です。

  • 1章社交不安障害とは
  • 2章社交不安障害の症状の特徴
  • 3章社交不安障害と対人関係のかかわり
  • 4章社交不安障害に対する治療法
  • 5章自分には治療が効かないと思っている人へ
  • 6章社交不安障害を「病気」として認識する
  • 7章治療で目指していくこと
  • 8章対人関係療法で焦点を当てていくこと
  • 9章「役割不安」を乗り越えるために
  • 10章社交不安に対処する上で役に立つ考え方
  • 11章「治療を終える」という考え方を、病気への取り組みに生かす
  • 12章家族にできること

『自分でできる対人関係療法』水島広子著

『自分でできる対人関係療法』は、先ほど紹介した「対人関係療法」について自分でやってみたいという人に向けた本です。なので対人関係療法の全体像を理解したいのであれば『対人関係療法でなおす社交不安障害』を読むことで事足りると思います。

この本自体は部分的に書き込めるようになっているので、自分の抱えている悩みや問題点を確認しやすくなっています。

また、よりよい対人関係を築くためにどうしたらいいのかをケース別で見ていくことができます。ストレスのほとんどが人間関係といっても過言ではない現代社会において、対人関係の処世術のようなものは重宝されると思います。

文章も比較的平易な言葉で書かれてあるので、頭に入ってきやすいのではないかと感じます。

  • 1章対人関係がストレスをためる
  • 2章あなたの対人関係の質をチェックしよう
  • 3章コミュニケーション上手になろう
  • 4章大切な人を失ったとき
  • 5章相手とのズレに悩むとき
  • 6章変化にうまく適応できないとき
  • 7章誰ともうまくいかないとき
  • 8章困難に直面したとき
  • 9章対人関係療法の応用とコツ
  • 10章心の健康のための仕上げ

『不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖-患者さん向けマニュアル』古川壽亮監訳

『不安障害の認知行動療法(2)-社会恐怖』の第11章を患者向けの部分を抜粋して一冊の本にしたものです。そのためページの表記が、原本になっているものと同一なので、この本自体、一般的な本のように1ページから表記されていませんので読む時に注意です。

「認知行動療法」については2016年度から保険適用となりましたが、それでも医師が行った場合に限るという条件付きであり、まだまだ治療が受けられる医療機関というのが少ないと言わざるを得ません。

また大学に付属されたカウンセリングルームや臨床心理士が個人的に相談室を設けて認知行動療法を行っているところもありますが、時間的・経済的負担から継続して通えず、途中で断念してしまうケースも往々にしてあります。

そういう時に手助けとなる本が紹介した『不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖-患者さん向けマニュアル』なのです。

認知行動療法の進め方、症状がぶり返した時などの対処法などについても書かれてあるので、ひとりでやる場合の自習本として十分に活用できる本です。

  • 第1節社会恐怖とは何か?
  • 第2節不安の本質
  • 第3節不安コントロール法
  • 第4節社会恐怖に対する認知療法
  • 第5節段階的曝露
  • 第6節自己主張
  • 第7節ぶり返したときや壁にぶつかったときの対処
  • 第8節推薦資料

『自分でできる認知行動療法』清水栄司著

『自分でできる認知行動療法』は社交不安症に対して認知行動療法を実践している清水先生の著書です。先生はNHKの番組にもご出演されたこともあるので知っている人も多いのではないかと思います。

最近もまた社交不安症(社交不安障害)を表題にした認知行動療法の本を出版されています。

この本の内容についてですが、認知行動療法の知識を身につけるというよりはワークブックとして、書きこみながら自分で実践していくことを目的とした本です。

書き込み式なので1ページに対する分量も少なく、ページを進めることで自然と認知行動療法を実践している形になってます。

  • 第1週感情をとらえよう
  • 第2週自分をほめよう
  • 第3週考えをとらえよう
  • 第4週別の考えを見つけよう
  • 第5週思考変化記録表を完成させよう
  • 第6週考えの3つのパターンに注意しよう
  • 第7週くよくよと考え続けるのをやめよう
  • 第8週快い気分になる行動をしよう
  • 第9週回避行動を別の行動に変えよう
  • 第10週不安階層表を言葉にしてみよう
  • 第11週不安に慣れよう
  • 第12週再発を防止しよう

『新版 対人恐怖の治し方』森田正馬著/高良武久編著

森田療法の創設者である森田正馬先生の著書を、森田療法に詳しい高良武久先生が編集した本です。

対人恐怖症は厳密に言えば社交不安症との違いが指摘されていますが、似通う部分は多々あります。

対人恐怖症の症状には様々ありますが、この本ではその中でも赤面恐怖に重きが置かれます。

『新版 対人恐怖の治し方』は、時代背景が強く影響しているということもあり文章表現や言葉遣いに少々難解な表現が見受けられ読むのに苦労するかもしれません。

森田療法がどういった流れで実践されるのかをつぶさに確認したい人は一度目を通してみるのも悪くないと感じます。

  • 1章対人恐怖症(または赤面恐怖)とその治し方
  • 2章赤面恐怖の治療例
  • 3章治りにくくとも、つまりは治る赤面恐怖
  • 4章思いがけなく完全に治った重症の対人恐怖
  • 5章対人恐怖で治療困難なものの例
  • 6章ある女に対して恥ずかしい男(対人恐怖)の診察
  • 7章エロ行為の自責苦悶
  • 8章対人恐怖の診察
  • 9章腋臭恐怖患者の日記
  • 10章対人恐怖入院患者の日記から
  • 11章涜神恐怖と赤面恐怖 通信治療の例

『森田療法』岩井寛著

心理療法のひとつである「森田療法」の全体像を知りたいという方にオススメの一冊です。社交不安症の治療にも森田療法が用いられることもあり、社交不安症を患っている人の中には気質的に森田療法が奏功するケースがあります。

内容としては、森田療法でたびたび登場する「あるがまま」とは何か、神経質な人が陥りやすい「とらわれ」や「はからい」の心理構造など、森田療法の基礎知識以外にもこの本から学べるものは多いと思います。

また『森田療法』という本自体、岩井先生自身がガンに冒されながら、死を目前にしてもなお目的本位の「あるがまま」の行動を貫いて書き上げた生の報告書でもあります。別の意味で価値ある一冊だと感じます。

文章自体は専門的な言い回しが多々あるので読みづらさを感じる人もいると思いますが、繰り返し読むことで森田療法の本質を理解できると思います。

  • 1章森田療法の基礎知識
  • 2章神経質(症)のメカニズム
  • 3章神経質(症)の諸症状
  • 4章神経質(症)の治し方
  • 5章日常に活かす森田療法

『対人恐怖』内沼幸雄著

対人恐怖の構造や文化的な視点からの対人恐怖など、様々な観点から対人恐怖を知ることができるのが、内沼幸雄著の『対人恐怖』です。

社交不安症の変遷を見ても、現在の社交不安症の定義がかつて日本で研究が進められていた対人恐怖症の要素を大いに含んでいることから、対人恐怖の理解を深めることは、社交不安症の理解を深めることに繋がると言えます。

出版された時期が古いのであまり目を通す人が少ないように感じますが、内容は今読んでも頷ける部分、納得させられる部分がありますので勉強になります。

  • 1章対人恐怖とはなにか
  • 2章対人恐怖の症状
  • 3章対人恐怖をどう治すか
  • 4章さまざまな神経症
  • 5章日本の文化が対人恐怖を生んだ

『他人がこわい』クリストフ・アンドレ&パトリック・レジュロン著

社交不安(社会不安)という枠組みから、「あがり症」や「社交不安症(社会恐怖)」、「回避性パーソナリティ障害(回避性人格障害)」などの違いについて詳しく解説しています。

著者がフランスの精神科医ということもあり社交不安症に関する海外の症例について確認できます。

読み進めていくと分かりますが、どうして社交不安症が理解されないのか、社交不安症が性格で片付けられないわけ、社交不安症を発症する要因などについて書かれてあり、この一冊だけでもかなり知識が増えると思います。

  • 第1部-1章四つの状況
  • 第1部-2章身体は不安を知っている
  • 第1部-3章行動が不自然になる
  • 第1部-4章ものの見方がネガティブになる
  • 第2部-1章あがり症
  • 第2部-2章内気
  • 第2部-3章回避性人格障害
  • 第2部-4章社会恐怖
  • 第3部-1章脳が不安を作り出す
  • 第3部-2章社会不安はどこから来るのか
  • 第4部-1章薬物療法と心理療法
  • 第4部-2章もう逃げださない
  • 第4部-3章上手にコミュニケーションする
  • 第4部-4章ものの見方・考え方を変える
  • 第4部-5章軽度の社会不安を治療すべきか

『脳内不安物質』貝谷久宣著

『脳内不安物質』は、不安や恐怖を引き起こす脳内物質、そしてそれらの物質がどのように脳の領域に作用しているのかを新書サイズでまとめた本です。

内容的にはパニック症を中心に取り扱っていますが、パニック症が社交不安症と近縁関係にあるので、社交不安症で悩んでいる人が読んでも十分参考になります。

「セロトニン」をはじめ、「ノルアドレナリン」や「GABA」、「女性ホルモン」についても言及されていて、神経伝達物質について勉強したい、お薬を処方されていてどういう目的でそのお薬が使われているのか確認したい、そういった意味でも役に立つ本だと思います。

科学は日進月歩なのでこの本が出版された当時よりもさらに詳しいことが分かっているとは思いますが、今読んでも勉強になる部分もあり、この本を足掛かりにして色々な書籍に目を通していくのもいいと思います。

  • 1章正常な不安と病的な不安
  • 2章不安と恐怖は身体症状に現れる
  • 3章不安・恐怖を起こす脳内物質
  • 4章不安・恐怖症と脳のメカニズム
  • 5章不安・恐怖症を診断する、治す

『不安とうつの脳と心のメカニズム』Dan J.Stein著/田島治訳

『不安とうつの脳と心のメカニズム』は、著者が不安症に関する論文を多数発表しており、また不安症だけでなくうつ病に関する研究においても実績を残しています。

この本では不安症のメカニズム、うつ病のメカニズムを精神生物学の観点からどのような神経回路を介して発生するのかというのが中心です。例えば、不安症の治療に使われることのあるSSRIが神経回路にどのように作用するのかをイラストを用いて視覚的に分かりやすく解説されています。

聞きなれない単語や用語もたくさん登場するので、読む前提としてある程度の知識を備えておくと消化不良にならずに済むと思います。

社交不安症以外にも不安症に含まれる全般性不安症やパニック症、また関連の深いうつ病や強迫症についても述べられておりますので、不安症全体を理解するのに役に立つ一冊でしょう。

  • 1章序論
  • 2章大うつ病
  • 3章全般性不安障害
  • 4章強迫性障害
  • 5章パニック障害
  • 6章外的後ストレス障害
  • 7章社会不安障害
  • 8章結論

おすすめ本5選

選択条件としては、「社交不安症の全体像を理解すること」、「社交不安症と類似した病気を知ること」、「治療法について把握すること」という基準のもと、専門的になり過ぎず平易で分かりやすい言葉で説明されている本として、以下の本をおすすめとして挙げさせていただきました。

市区町村の図書館、あるいは大学の図書館に置いてあると思いますので、もし機会がありましたら手にとって見てほしいと思います。

今回は社交不安症の関連本として20冊以上の本を紹介しました。

社交不安症とはどういうものなのか、全体像を把握するためにも本から得る知識も時には重要でしょう。

ただし注意して頂きたいのは、本で記載されている社交不安症というのは典型例であって、もちろん本で説明されている通りにはいかないこともあります。私個人としては、自身の経験また他の当事者との出会いの中で、社交不安症の当事者が10人いれば10通りの症状があると感じています。

症状に違いがあるのは、その背景にその人自身の気質、生まれ育った環境、これまで生きてきた中での経験、そういったものが糸のように絡み合っているからだと思います。

そのため時には、社交不安症(社交不安障害)と銘打っている本を読むよりも、個々の因子を把握して自分を知ることが大切になってくるでしょう。

一例ではありますが、岡田尊司先生の『愛着障害』や『母という病』、水島広子先生の『「見た目」が気になる!症候群(シンドローム)』、Elaine N. Aronの『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』、長沼睦雄先生の『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』、加藤諦三先生の『だれにでも「いい顔」をしてしまう人 嫌われたくない症候群 (PHP新書)』といった本も、症状の改善・克服に向けて有益になるのではないかと思います。

今回紹介した本以外にも、社交不安症に関連する本はたくさん出ていますので、ひとりでも多くの人が自分に適した治療法に結び付けられるような本に出会えることを心から祈っています。

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