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社交不安症(社交不安障害)とは!?症状や治療について

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人前で注目を浴びること」、「人前で食事をすること」、「人前で何か文字を書くこと」、「人と面と向かって会話をすること」、「人と交流を持つ場面」、「人が一堂に会する機会」など、こうした状況や状態に対して著しい不安や恐怖を感じ、その不安や恐怖がもとで人前に出ることを避け、そして自分にとって不都合になることを自覚しながらも回避行動を取ってしまう場合、「社交不安症(社交不安障害)」という精神疾患が考えられます。

症状が深刻化してしまうと、「社交不安症」から「うつ病」へと発展し、自分は価値の無い人間と考えてしまい自殺してしてしまうケースすらあります。

しかし社交不安症というのは、誰しもが感じる不安や恐怖の延長線上に位置していることから周囲からはなかなか理解されない苦しさがあります。

社交不安症とはどういった精神疾患なのか、社交不安症の原因、症状、治療などについて分かりやすく見ていこうと思います。

社交不安症とはどんな病気か

「人前で注目を浴びること」や「人と交流を持つ場面」に対して不安や恐怖を感じることは、「あがり症」や「人見知り」とどう違うのか、周囲にいる人はもちろん、当事者自身でさえも分かりづらい部分があると思います。

また性格と病気の境い目がはっきりしていないので、「社交不安症」の存在を知らない人にしてみれば、単なる性格のひとつとして誤って見られてしまうことが多々あります。

社交不安症が発症しやすい時期

社交不安症が発症する平均的な年齢が13歳で、約75%の人が8~15歳までの間に発症するといわれています。つまり思春期の多感な時期に社交不安症が発症しやすいと考えられています。

残りの25%が大人になってから社交不安症を発症します。ただ大人になってから発症した人も、幼少期の頃から高い発症リスクを抱えていた可能性があり、たまたま思春期の頃の環境が発症しない条件だったかもしれません。

社交不安症の診断基準

社交不安症と診断されるには、社交的な場面におけるその状況に適さないほどの恐怖や不安感情を抱き、それに伴う形で、発汗、赤面、震え、吐き気、動悸、息苦しさなどの身体症状が表れ、その結果、長期間(目安は6カ月以上)に渡り日常生活や社会参加が困難になってしまう場合に、医師から診断を受けます。

ただ恐怖や不安感情というのはあくまでも本人の主観的な話なので、客観的に見るために、様々な評価尺度が用意されています。

主な評価尺度としては、次のようなものが有名です。

LSAS-J リーボヴィッツ社交不安尺度(Liebowitz Social Anxiety Scale)

リーボヴィッツ社交不安尺度(Liebowitz Social Anxiety Scale)」、日本版の通称「LSAS-J」は社交不安症の症状の程度を評価する尺度として広く頻繁に利用されています。国際的にも用いられており、社交不安症の標準的な尺度とされています。

社交不安症に関連する本にも自分でできるようにと「LSAS-J」が載っていることがあります。ただ自分で行う場合、あくまでも社交不安症の症状が自分に見られるのかどうかを把握する為であり、社交不安症に該当するような点数が出たからといって、それが必ずしも社交不安症と診断されるものにはならないことに気をつけなければいけません。

なぜなら社交不安症とはまた別の病気の可能性が考えられるからです。

とは言うものの、恐怖や不安感の程度、状況に対する回避の程度を知るためには、LSAS-Jはとても役に立ち、症状の改善状況を知る上でも有益な尺度であることは間違いありません。

SCAS スペンス児童用不安尺度(Spence Children’s Anxiety Scale)

スペンス児童用不安尺度(Spence Children’s Anxiety Scale)」、通称「SCAS」は主に小学3年生から中学3年生を対象にし、不安症を測定する目的で利用されます。

社交不安症に限定しているものではなく、不安症全体をカバーしている点、回答が子供向けになっている点が特徴です。

SPIN 社交不安検査(Social Phobia Inventory)

社交不安検査(Social Phobia Inventory)」、通称「SPIN」はあまり時間をかけずに社交不安症に伴う症状について測定できるのが特徴です。

所要時間が短いものの、社交不安症の人とそうでない人とを分けるのに有効とされています。

BSPS(Brief Social Phobia Scale)

BSPS(Brief Social Phobia Scale)」は、社交的状況に対する恐怖や不安、回避の程度をはかるだけではなく、身体症状についてもはかることができます。

ただ身体症状との関連性を知るという意味でBSPSは有益な尺度ではあるものの、LSAS-Jと比べると質問項目も少なく、より正確な評価を求めるために、他の評価尺度との併用が好ましいといわれています。

BAT 行動アプローチテスト(Behavioral Approach Tests)

行動アプローチテスト(Behavioral Approach Tests)」、通称「BAT」は恐怖対象に直面した時の反応を確認するテストです。

あえて恐怖場面に直面してもらうことで、その時感じた恐怖や不安の程度、回避行動、安全確保行動、身体反応など、面接や質問紙の自己記入では分かりづらい情報を知るために役に立ちます。

また治療効果を知るために、行動の変化という側面からアプローチする時にもBATが利用されます。

STAI 状態-特性不安検査(State-Trait Anxiety Inventory)

状態-特性不安検査(State-Trait Anxiety Inventory)」、通称「STAI」は状態不安(ある特定の場面で一時的に感じる不安)と特性不安(状況に影響されず長期的に感じる不安)を測定する目的で利用されます。

どちらかというと社交不安症に特化したものというよりは不安症をメインとした尺度です。

社交不安症という名称について

「人とのコミュニケーションが怖い」という人は、かつて「対人恐怖症」という言葉で形容されていました。今でも対人恐怖症という言葉は使われていると思いますが、医学的な診断名としての対人恐怖症は無くなっています。

その対人恐怖症の要素を含んでいるのが「社交不安症」です。

対人恐怖症はかつて「文化結合症候群(文化依存症候群)」と捉えられていました。今もそのように考えている専門家も少なからずいらっしゃいます。

文化結合症候群(文化依存症候群)

文化結合症候群とは、ある特定の国や地域の文化的な背景が原因となって起こる病気のこと。今回の対人恐怖症を例に取れば、世間体を気にする恥の文化を持つ国々では、他者から自分がどう見られているのかということに対して強い恐怖を覚えるのは十分に考えられることなのです。

日本では「森田療法」を確立した森田正馬先生が対人恐怖症の研究を進めており、世界に向けて対人恐怖症の存在を発信していたこともあって、海外では「Taijin Kyofusho」として取り上げられていました。

しかし今まで対人恐怖症と言われてきた症状が、実は海外の人にも当てはまるケースが報告されるようになってきたのです。

ただ海外では、その当時から対人恐怖症ではなく「社会恐怖(社交恐怖)」という名称があり、国際的な精神疾患を診断するツールである『DSM』に基づいて、日本も海外に合わせるような形で対人恐怖症から名前が変わったのです。

名称としては「社会恐怖」から「社会不安障害」、そして「社交不安障害」へと変遷し、最近では治療可能のイメージを強く持たせることから「社交不安症」という名称で定着を目指しています。

また略称である「SAD(Social Anxiety Disorder)」が使われることもあります。しかしSADという名称は、季節性うつの英語名「Seasonal Affective Disorder」の略称と同じくなってしまうこともあり、使う際には注意が必要です。

社交不安症の2つのタイプ

社交不安症には2つのタイプが存在するのをご存知でしょうか。そのタイプというのが「全般性社交不安症」と「非全般性社交不安症(限局性社交不安症)」です。

ただ両者を区別して社交不安症を説明しているものは少なく、両者をまとめて社交不安症と説明しているものが多いです。

また、社交不安症当事者の中で症状の程度や生活に対する影響度が異なるのは、こうした異なるタイプが存在しているからなのです。

全般性社交不安症

全般性社交不安症というのは、社交不安症の症状が限定されることなく、基本的に人と接すること、交流することの全てに対して不安や恐怖を感じます。

そのため学校や職場での人間関係、そして日常生活のあらゆる活動が狭くなってしまい、支障をきたしていることが多く見受けられます。

社交不安症はひきこもりとの関係が指摘されていますが、詳しく見ていくと全般性社交不安症の傾向が強いと考えられています。

また全般性社交不安症がその人の性格に侵入し固定化されてしまうと、「回避性パーソナリティ障害」の可能性も考えられます。

他にも症状が慢性化し、日常生活にも支障をきたしやすいことから、「うつ病」や「アルコール依存症」などの病気と併存しやすいとも言われています。

非全般性社交不安症(限局性社交不安症)

一方、非全般性社交不安症(限局性社交不安症)というのは、特定の機会において社交不安症の症状が表れ、対象となっているものが限定されているのが特徴です。

例えば、人前でご飯を食べるのが怖い「会食恐怖」、人前で何かを披露するのが怖い「パフォーマンス恐怖」は、非全般性社交不安症の典型的な事例と言えます。

ある特定の状況を除き、普段の生活とは全く変わらない日常を送ることができるため、その人が社交不安症を持っていることに気づかないことがあります。症状そのものの苦しみは全般性社交不安症と変わりませんが、生活面では全般性のものよりも大きな支障になることはありません。

しかし生活に支障がある場合は、適切な医療介入が求められます。

便宜上「全般性社交不安症」と「非全般性社交不安症」は区別することができるものの、両者の明確な境目というのは存在しません。非全般性のものであっても、全般性の要素を含んでいることもありますし、その逆も然りです。

社交不安症の原因

「○○な出来事が起こる、○○な状態になると社交不安症を発症する」というような、社交不安症の直接の原因となるものについては、未だ知られていません。ただ原因は分かっていませんが、現代医学では「複数の要因が相互に関係しているのではないか」というのが共通認識です。

主な要因としては「遺伝的要因」、「環境的要因」、「社会的要因」が挙げられます。

さらにそれらの要因が相互に関係し、脳内において神経伝達物質の機能異常であったり、脳の部位の活動異常があったりするのではないかといわれています。

つまり社交不安症は「脳の病気」と考えられるということです。

とは言うものの、完全に解明されてはいません。現段階としても脳の働きがアンバランスになった後で社交不安症を発症しているのか、それとも社交不安症を発症して脳の働きがアンバランスになっているのかというのははっきりしていません。

遺伝的な要因

生まれつき神経伝達物質の機能に異常が起こりやすい、脳の部位の活動に異常が起こりやすい場合は、社交不安症の発症リスクを高めます。

小さい頃から「恐怖や不安を感じやすい」、「人の表情や声に敏感に反応しやすい」など、当事者の中でも思い当たる節があるかもしれませんが、生まれつき発症リスクが高い場合は、その後の環境的な要因や社会的な要因と相互に関係して社交不安症を発症する可能性が十分考えられます。

また両親や兄弟など身近な血縁者が社交不安症を抱えている場合は、そうでない人と比べて社交不安症の発症リスクは高いという報告があります。

つまり少なからず遺伝的な要因が社交不安症の発症に影響を与えているということです。

さらに生まれ持った気質をベースに形成された性格という面で言えば、「引っ込み思案」、「人見知り」といった性格は、人前に出て何かをすることを過剰に恐れてしまうことにもつながるので、回避行動に繋がりやすくなります。

回避行動は社交不安症を持続させてしまう因子でもあるため、余計に社交不安症の症状を顕著にさせ、悪化させてしまう可能性があります。

環境的な要因

社交不安症を持っている親、あるいは不安体質の親に育てられることで、その子どもの身の回りから不安を抱かせるようなものを取り除こうと箱入り娘のように過保護に育ててしまう可能性があります。

過保護という環境では、その子が成長していく過程で、一般的に誰もが経験するような恐怖や不安などの場面を経験しづらくなってしまうので、むしろ余計に不安や恐怖を感じてしまいます。

かといって自分の子どもが「不安になりやすいかもしれないから」といって厳しく接してしまうと、その子が親からの批判を恐れて「いい子を演じる」、「完璧主義になる」、「他人の評価を気にする」といった性格傾向になってしまう可能性もあり、こうした性格もまた、人前で失敗することを過剰に恐れたり、恥をかきそうな場面を避けたりするので、結果的には自己評価が低く、自己肯定感に乏しい人間になってしまいます。

もちろん、このような性格があるから社交不安症を発症するわけではありませんが、発症リスクそのものを高める要因としては十分考えられます。また達成感や成功体験を経験する機会が格段に少なくなってしまうため、症状を持続させてしまう因子にもなりうるのです。

社会的な要因

人の注目が集まる状況で「恥ずかしい思いをした」、「屈辱的な扱いを受けた」、「みっともない姿をさらした」など、自分では上手に対処することができず、受け入れがたい経験があると社交不安症の発症リスクを高めます。

また自分がそうした受け入れがたい経験をしたわけではなく、間接的に誰かがそういう経験をしているのを見た場合も、リスクの可能性はあります。

ただし、人前で恥ずかしい思いをしたことがあっても、社交不安症になっていない人も実際にいるわけなので、これまで生きてきた中で体験した出来事や事柄だけを見て社交不安症の全てを説明することは難しいです。

あくまでもひとつの要因として捉えることが大切です。

脳内で起きている可能性があること

「遺伝的要因」、「環境的要因」、「社会的要因」が相互に関係し合って、脳内において神経伝達物質の機能異常であったり、脳の部位の活動異常があったりするのではないかと言われていますが、具体的にはどのようなことが起きているのでしょうか。

神経伝達物質の機能異常

私たちの脳内には神経伝達物質という、神経から神経へと情報を伝達するために分泌される物質が存在しています。

脳には約1000億ともいわれる神経細胞(ニューロン)があり、複雑で膨大な神経ネットワークを形成しています。そのネットワークの間を情報が行き交うことで、運動、知覚、情動、自律神経などが機能します。

しかし情報伝達に必要な神経伝達物質が何かしらの影響を受けて、神経細胞間でのやり取りが正常に機能していないのではないかということが考えられています。この考えは「モノアミン仮説」と呼ばれています。

モノアミン仮説とは

脳内における神経伝達物質の中でも「ドーパミン(ドパミン)」、「セロトニン」、「ノルアドレナリン」が気分や不安などの感情に大きく関与していることから、これらの物質が何かしらの影響を受け、神経細胞間でのやり取りが正常に機能しないことで、症状が起きるのではないかという仮説。特に社交不安症の場合は、「セロトニン」との関係性が指摘されている。関係する物質が、構造上の共通点から「モノアミン」と総称されることからモノアミン仮説と呼ばれる。

モノアミン仮説に関しては、仮説を検証すべく色々な研究が行われていますが、すべての当事者にこの仮説が当てはまるという証拠は出揃っておらず、かと言ってこの仮説を覆すような反証もないため、暫定的に支持を得ているというのが現状です。

モノアミン仮説に照らし合わせ考えると、不安症のひとつである社交不安症はセロトニンの機能低下が指摘されています。

扁桃体と眼窩前頭皮質の活動異常

社交不安症の人の脳内活動を調べると、「扁桃体」が過剰に反応しやすく、また「眼窩前頭皮質」が扁桃体を上手にコントロールできていないことが確認されています。

つまり扁桃体の活動異常あるいは眼窩前頭皮質の活動異常が少なからず発症に関係していると言えます。

なぜ活動異常が見られるのか、その背景には遺伝的要因や環境的要因が関係していますが、具体的にどの要因がどう影響しているのか断定することは難しいです。

扁桃体とは

扁桃体は側頭葉の奥に存在するアーモンドの形をした脳の部位。大脳辺縁系のひとつでもあり、恐怖や不安といった情動反応、そしてその記憶の形成に重要な役割を担っている。また記憶を司る海馬、自律神経を司る視床下部などとも神経ネットワークを形成しており、このネットワークを介して扁桃体が反応し、予期不安や恐怖感情を引き起こし、さらには交感神経の活動を促進させ、震え、発汗、心拍数や呼吸数の増加などの身体症状をもたらす。

眼窩前頭皮質とは

眼窩前頭皮質は前頭葉の腹内側面にある部位で、眼窩(目玉)のすぐ後ろに位置する。人の表情の読み取り、周囲に対する共感、適切な社会行動、意思決定など、社会性に関わる能力を司り、「その人らしさ」にも反映されるため、脳の部位でも個人差が大きいといわれている。

ただ扁桃体や眼窩前頭皮質といった部位の活動異常が、その部位だけで起きている可能性もあれば、神経伝達物質の分泌が悪くなっているゆえ、眼窩前頭皮質が扁桃体を上手にコントロールできていないという、神経ネットワークも含めて起きている可能性もあります。より細かいことは、今後、医学が進歩することで明らかになってくると思います。

社交不安症の治療

社交不安症の治療については「薬物療法」と「心理療法」の二つに軸で治療がすすめられます。

薬物療法

社交不安症の原因に神経伝達物質であるセロトニンが関与していることもあり、セロトニンの機能を調節する目的として、「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」が処方されます。

日本では以下の4種類が認可されていますが、どの薬が適しているかはその人の体質や症状の程度にもよるので、主治医の指示を仰ぐようにしてください。

  • パロキセチン(商品名:パキシル)
  • セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)
  • エスシタロプラム(商品名:レクサプロ)
  • フルボキサミン(商品名:ルボックス、デプロメール)

またこの他に、状況に応じて使われるものに、不安や緊張を軽減させる目的として抗不安薬、動悸やふるえを軽減させるβ遮断薬があります。

抗不安薬としてはエチゾラム(商品名:デパス)、β遮断薬としてはプロプラノロール塩酸塩(商品名:インデラル)がよく聞かれます。

一時期、デパスやインデラルは医師の処方箋なしに購入することができましたが、現在では規制がかかり購入することができなくなっています。その代わりとなる薬に関して、ネット上で情報がやり取りされていますが、薬は用法・用量を間違えてしまうと取り返しのつかない事態になってしまいますので、必ず医師の指示を仰ぐようにして下さい。

特に医師の指示を無視し、自分で薬を断ったり、薬の服用回数を増やしたりするケースがありますが、余計に治療を長引かせてしまいます。

また薬は魔法ではありません。あくまでも治療を支える一つの手段でしかありませんので、「自分で自分を治す」という気持ちを持って、症状の改善に努めていくことが大切です。

心理療法

一言に心理療法といっても色々な療法が存在します。ここでは代表的なものを中心に取り上げます。

認知行動療法

認知行動療法」というのは、その目的として、社交不安症を抱える人が持つ認知的なパターンを修正することで、不快な感情の改善を図ることにあります。

また認知行動療法では、否定的な思考を肯定的な思考に転換することを重視するわけではなく、あくまでも否定的な思考によって非現実的な視点になっている部分を、より現実に適した視点を獲得するのに重きを置きます。

そして認知的技法と行動的技法を土台にして、セッションを繰り返し行い、少しずつ認知的なパターンを修正し症状の改善を目指していくのです。

特に認知行動療法のひとつである「曝露療法(エクスポージャー法)」は社交不安症の治療に用いられることも多く、あえて不安や恐怖を感じる状況や場面に身をおき、「大丈夫だった」という安心感を獲得するとともに成功体験の積み重ねを目指します。

ただ曝露療法の導入部分では、清水の舞台から飛び降りるつもりで取り組む必要があるため、ハードルが高いのも事実で、やり始めの段階で断念してしまうケースもあり、一緒に取り組む人の存在が重要になってきます。

森田療法

森田療法」は、対人恐怖症研究の第一人者である森田正馬先生が1919年に提唱した、「あるがまま」を主体とした心理療法です。

不安という感情は、人間が生まれながらに備え持っている防衛的なメカニズムのひとつであり、その感情自体はごくごく自然の反応で、「病的なものとしてみなさない」というのが前提としてあります。

そして「不安は不安のままに、あるがままにしておこう」という考え方から、人と会って話すことへの不安、人前で赤面してしまうことへの恐怖を「あるがまま」にしながらも、より良い自己実現、「生の欲望」に向かって行動できることを目的とするのが森田療法の特徴です。

対人関係療法

社交不安症の人は、人間関係や対人関係に一定の不安や恐怖を感じています。そして不安や恐怖を感じてしまう背景には、少なからず人との接し方に関して悩みや問題があります。

対人関係療法」では、対人関係の悩みや問題に焦点を当て、「どのように人とのやりとりを行ったらいいのか」、「自分にとっても相手にとっても好ましい関係を構築するにはどうしたらいいのか」などを考えたりしながら様々な役割を演じ、コミュニケーションスキルを学びます。

そして様々な役割を演じる過程で、自身の人間関係の問題を自分で解決する力を身につけたり、答えとなるものを見つけたりして、コミュニケーションに対する不安レベルを下げることを目的とするのが対人関係療法の特徴です。

マインドフルネス

マインドフルネス」という言葉は、最近でもテレビや雑誌で特集が組まれるほど人気のテーマなので、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

マインドフルネスは「今、この瞬間」に意図的に意識を向け、またそこに価値判断を下すことなく注意を向けている心理的状態のことをいいます。そして、その状態を導く技法として「マインドフルネス瞑想」というものが存在します。

マインドフルネス瞑想では呼吸を大切にし、たとえ雑念が浮かんでも呼吸に再び意識を戻すことで、注意のコントロールが向上し、ひいては自分へのとらわれを減らし、不安やイライラを減少することが期待できます。

またマインドフルネス瞑想は「デフォルト・モード・ネットワーク」という脳内におけるアイドリング状態を導き、脳の様々な部位の過剰活動が抑えられます。もちろん扁桃体の活動についても同様です。

マインドフルネスについては今後も医学的な見地から解明されてくることが多いと思いますし、マインドフルネスと他の心理療法を比較し「どちらがより治療の成果が高いのか」ということも明らかになってくると思います。

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